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“ジェンダーレス女子”中山咲月、悩んだ10代「過去を黒歴史にしたくない」

 有村架純演じる中学校教師と男子生徒の“禁断の恋”を描いたTBS系ドラマ『中学聖日記』。吉田羊扮するバイセクシャルのキャリアウーマンと、若き女性バーテンダー・青山更紗役を演じた中山咲月のキスシーンが、「麗しい」「尊い」などSNSで話題となった。その中山は、性別を感じさせない中性的かつミステリアスな存在感で“ジェンダーレス女子”“王子”と言われ、同世代の女性にカリスマ的な人気を誇る。初出演となった『中学聖日記』でも、体当たりの演技で確かな爪痕を残し、11月9日公開の映画『ヌヌ子の聖★戦 〜HARAJUKU STORY〜』では男性役で出演する。昨今、ジェンダーレス男子の目覚ましい活躍の一方で、枠内でも淘汰されてきた感もある。その対極にある“ジェンダーレス女子”枠で独走状態の中山咲月とは、いったいどんな人物なのだろうか?

中山咲月の動画インタビュー

自身のジャンルとポジションに悩んだ中学時代

 中山は1998年生まれの20歳。2011年にティーン誌『ピチレモン』(学研教育出版※当時)の専属モデルとしてデビューし、中性的かつミステリアスな存在感で同世代の女性から絶大な人気を誇っている。巷では“ジェンダーレス女子”“王子”と呼ばれるが、「自分から直接“ジェンダーレス女子”と発信したことは一度もないんです」と涼しげな目で話す。
「そもそも髪の長さがミディアムだったり、スカートを穿いてたりする自分になんとなく違和感はあったんです。“周りの子はみんなスカートが好きなのに、なぜ私は好きじゃないんだろう”とか。中学生では制服がスカートだったので特に抵抗を感じていました。そんな時に見つけたのが韓国モデルのKiteさん。髪はショートカットでファションはメンズライク。実は女性だったということに衝撃を受けて。“私もこの人みたいになりたい”と憧れたのが、メンズライクなファッションを始めたきっかけです」

 それまでの彼女は何かにハマるという経験が一度もなかった。周囲に反対されると執着することなく手放すような子だった。だが、メンズライクなファッションだけは違ったという。当時、母親から「スカート穿かないの?」とも指摘を受け、周囲は女性らしいスカートを好んで穿いているが、そんな孤立無援のなかでも孤独は感じなかった。
「派手なファッションが好きな子もいれば、そうじゃない個性の強いお友達もいた。同じように私も“スカートが好きじゃない”それが個性なのだと思った」

 そうした多様性のなかで芽生えた自我に、「中学生時代は自分と初めて向き合えた時代だったのかもしれません」と振り返る。

“過去を黒歴史にしたくない”という覚悟と信念を貫く女気

 10月9日より放送スタートした『中学聖日記』で、ダイニングバーのバーテンダー・青山更紗役で出演し、バイセクシャルのキャリアウーマン・吉田羊との謎めいた関係を熱演している。ドラマ初出演ながら大先輩の吉田とのキスシーンに体当たりで挑み、SNSでは「麗しい」「キレイ」といった好印象な書き込みが目立った。
「初めてのドラマの現場でしたので最初は緊張しました。ですがメイク室などで相手役の吉田羊さんが『私も女性とのキスシーンは初めてかもしれない』など気さくに話しかけてくださり、徐々に緊張はほぐれて。周囲からは『堂々としているね』と言われたりしましたが、実際はそうでもありませんでした(笑)。でも、私はそういったネガティブ面を表面に出したくない。カメラが回ったらプロとして演じなければなりませんから」

 そんな彼女は自身のブログで「イケメン女子なら周りにたくさんいて、同じような魅力を持った人間なんて山ほどいる。もっと中身が溢れ出る人間になりたい」と綴っている。これについて中山は「見た目は服を着てしまえば、髪を切ってしまえば、誰でも格好良くなれる。ですが最終的には、内面から魅力的に見える人が格好いい。“内面からイケメンに”というのは常日頃考えています」と解説する。
「私のモットーは人に迷惑をかけないこと。そして常に成長を止めないこと。前へ前へと進んでいきたい。それと、友人のバースデーとサプライズをするなど人を幸せに笑顔にするのも好き。そうすることで私の幸せにもなるんですね。だから今やらせていただいているモデルや女優のお仕事は、もしかしたら私の天職なのかもしれません」

 中山の“前進”への想いは強く、現在のスタイルに行き着いたきっかけは、ファッション雑誌『ピチレモン』のモデル時代に遡る。
「例えば『ピチレモン』時代、私服でのスカートは苦手だったんですけど、“これを着こなしてやろう”ぐらいの気持ちで臨んでいました。そもそも私は“過去を黒歴史にしたくない”想いが強いんです。むしろ『ピチレモン』があったからこそ、自身の違和感に気付き、自分が見えてきた面もある。そういう意味でも『ピチレモン』時代はよい思い出であり、楽しいお仕事だったと言えます」

“男装”とまとめられることへの違和感も、似た悩みを持つ人を後押ししたい

 SNSを中心に話題を集め始めている彼女が、これほど注目されると中山に続くジェンダーレス女子も生まれてきそうだ。そうした状況に躊躇せず、「ライバルができるのは嬉しい」とアツい一面ものぞかせた。
「実は燃えるタイプなんです。モデルや女優で私と同じようなスタイルは、今の日本では私しかいないので、ライバルもいない。だから昨日の自分と戦うようにしています。昨日できなかったことを今日はできるようにする。とにかく“過去”には戻りたくないし、常に今の自分と戦う。でもいつかライバルが出現してしのぎを削りあえたら楽しいでしょうね」

 中山が言うように日本では欧米と比べ、ジェンダーレス女子のモデルや女優は見られない。男装で歌って踊る風男塾などはいたものの、中山のような立ち位置のモデルや女優は稀有な存在だ。
「海外ではジェンダーレスの女優さんやモデルさんは多いと聞いています。私自身、Instagramで流れてくる彼女らの投稿を見るのが好きなのですが、日本人では見かけませんね。だから今の私のお仕事は、自分にしかできないと意識して臨むようにしています。これからも唯一無二の存在であり続けたいですね」

 その唯一無二の存在の中心でもあるメンズライクなファッションについて、“男装”とまとめられることには違和感があるようだ。
「私からすれば“好きなファッションをしている”だけで、皆好きなファッションをしているじゃないですか。私もその1人なんです。当時、“ジェンダーレス女子”という言葉がなかったから、ということもありますが、それによって私も自分がなんのジャンルなのか、どういうポジションにいるのか、悩んでいた時期もあります。きっと、中学時代の私のように、自分のジャンルやポジションに悩んでいる人はたくさんいると思います。自身の性別で悩んでいる方もいらっしゃるかもしれない。私はそういう方に“大丈夫だよ”って、私の“存在”で示したい。そういう方々の背中を押せる人間になれたら嬉しく思います」

 11月9日より公開の映画『ヌヌ子の聖★戦 〜HARAJUKU STORY〜』では、男性役で出演。ヒロインのオーディションを受けにいったが、監督からの提案で劇中の人気バンド「ORION」のリーダー・久保昭人役に抜擢された。
「男性を男性が演じる魅力と、女性が演じるからこそ出せる見せる魅力には違いがあると思います。男性の仕草を演じるのは難しいですが、女性だからこそ出せる美しさを武器に戦っていきたい。あと、自分の負の面を出すのが苦手なので、苦手だからこそ悪役などにも挑戦していきたいと思っています。劇中で歌ったのも楽しかったので、機会があればアーティストの仕事もできたら。あと私はメイクをしている男性も素敵だと感じるので、もし今後、男性コスメが流行ったならそのモデルもやってみたいです。これからもいろんな私を見せられたら。私の中身をもっと知っていただき、共感いただけた方がファンになってくれたらとてもうれしく思います」

 出演作の役でも“ジェンダーレス”な活躍を見せつつある中山咲月。“性別”や“枠”に囚われない女優・モデルとしての活躍に期待したい。

(文/衣輪晋一)

提供元: コンフィデンス

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