LINEのプレイガイド参入でライブ体験はどう変わる? キーマンが語る3つの新機軸
興行主の意向に合わせたセキュリティ設定が可能
そもそもLINE IDは、電話番号認証がされている1台のスマートホンに1つしか入れられない。そのため、従来のように、不正取得されたIDでチケットを大量購入するといったことは現実的に極めて難しい。万が一、不正が確認できれば、次回からそのIDではエントリーできなくなるといった事後対策も行え、さらに将来的には、数段階のセキュリティ・レベルを用意し、単にスマートホンにLINEを入れているだけでエントリーできないなど、興行主の意向に合わせたセキュリティ設定が可能になるとのことだ。
さらに、急用などでライブに行けなくなった場合も、LINE内にマーケットプレイス的な場として公式リセール機能が用意されており、主催者が設定した価格帯での安心かつ安全なチケットの譲渡が行える。このように、一次流通、二次流通ともに、健全なチケット販売を目指した画期的なサービスと言える。
人とエンタテインメントの距離を近づける
「我々の会社のミッションである“CLOSING THE DISTANCE”として、人と人を近づけるだけでなく、人とエンタテインメントの距離を近づけていきたい。音楽の場合なら、人とアーティスト。その距離感を近づけるのは、リアルな場ではライブです。そこで、もっと“ライブに行く”という敷居を下げたいと考えています」と、LINE TICKET株式会社 取締役の森啓氏は同サービスの目的を語る。
「そのためにも、アーティストさんの公式アカウントをフォローしておけば、日常生活でLINEをやり取りする中で、自然な形でエンタメ情報が届き、LINE LIVEで番組を見たり、LINE MUSICで音楽を聴く中でチケットが買えるなど、ライブへの入口を広げています。さらに、アーティストさんには、LINEチケットでチケットを購入した方だけにメッセージを送れる機能も提供予定にしておりますので、たとえばライブ当日になると、来場者にメッセージを送り、直前には会場までの地図を案内し、終演後は、ステージから撮った自撮り写真やメッセージを送ったり、当日のセットリストをプレイリスト化して、すぐにLINE MUSICで聴けるようにするなど、LINEの各サービスと連携させることで、ライブの“入口”と“出口”で、来場者とアーティストのスペシャルなコミュニケーションを楽しんでいただくことができます」(森啓氏/以下同)
キーワードは“ディスカバー”、“エクスペリエンス”、“セーフティ”
「たとえば、アーティストが、LINE LIVEの番組内でトークや演奏をしたり、あるいはLINE MUSICで音楽を聴いてもらって、そこでファンになれば、すぐにチケットを買えるわけです。それに、スポーツ中継を見ていて、明日のチケットを買ったりと、ライブコマース的に広がりを作れる点が、LINEチケットならではだと考えています。そうやって、日常の中で情報を訴求していく“ディスカバー”、来場者に新しいエンタメ体験を提供する“エクスペリエンス”、そして一番関心が高いと思われる“セーフティ”、この3つのキーワードを基に、本当にライブに行きたいと思っている人がチケットを手に入れられる、そうしたサービスを展開したいと考えています。ただ我々は、そのツールを提供する立場で、実際にツールをどう使うかは、アーティストさんや主催者の方々が、いろんなアイデアを持っていと思っていて、そこは我々も、今後の展開を楽しみにしているところです」