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女優専門事務所に強運の異端、唐田えりかの転機

戸田恵梨香や有村架純ら実力派女優と同じ芸能事務所に所属する若手女優・唐田えりか。映画出演2作目にして『寝ても覚めても』(9月1日公開)ヒロイン役を掴み取ったかと思えば、同作は『第71回カンヌ国際映画祭』コンペティションに招待され、人生初のレッドカーペットをカンヌで踏むという強運ぶり。そんな大成を予感させる“運”と“引きの強さ”を持ち合わせる期待の新鋭の軌跡と転機に迫った。

演技への苦手意識が芽生えるなかで出会った作品

『寝ても覚めても』撮影現場での唐田えりか、東出昌大、濱口竜介監督

『寝ても覚めても』撮影現場での唐田えりか、東出昌大、濱口竜介監督

 スカウトから芸能界入り。もともとモデル志望で、16年にドラマ『こえ恋』(テレビ東京系)で本格的に女優デビューをするも、演技に対して自信が持てなかった唐田は、出演作を重ねていくなかで苦手意識が芽生え、芸能活動を続けることを悩んでいた。

「ずっとつらくて、毎日泣いていました。演技を楽しいと思えない、自分には向いていない。女優を“やらなくてはいけない”になってしまっていて、勝手に自分で自分を苦しめていたんです。18歳で上京して20歳までがんばって、そこで向いていないと思ったら辞めると、母と約束していました」

『寝ても覚めても』撮影現場のメイキングカット

『寝ても覚めても』撮影現場のメイキングカット

 そんななか、そのときは知る由もない“運命の出会い”となる今作のオーディションを迎えた。独特な演出で知られる濱口竜介監督だが、そのオーディションも変わっていた。世間話をして、1シーンぶんのセリフを感情を込めずに読むだけだった。

「どういう作品、役柄かも知らされないオーディションでした。プロデューサーさんと濱口監督と世間話をしているときに、演技を楽しいと思えないことも正直に伝えていて。手応えもまったくありませんでした。でも、オーディションが終わってから台本をいただいて、こういう作品だと知ってから、絶対に出演したいと思ったんです。受かったと聞いたときには、運命のようなものを感じました」

これまでの芝居への向き合い方を覆された現場

 そうして迎えた現場では、それまでの芝居への向き合い方を覆されることになる。クランクイン前のワークショップでは、役者がそれぞれの役になりきって世間話をしたり、映画本編とは関係のないストーリーを作って演じたりした。主演の東出昌大ほか温かい共演者に囲まれ、信頼関係が育まれていくうちに自然に不安も消えた唐田は、肩の力を抜いて撮影に入ることができた。そこでの濱口演出は、唐田の1つの転機になった。

「『なにも考えなくていいから。ただ共演者に頼ってください。みんなの演技をしっかり観てください』と言われて、これまでのようにいろいろ考え過ぎることがなくなって、いい意味で無の状態で現場にいることができました。みなさんの演技を観て感じたことが、自然に出てきました。そういう感覚は初めてで、演技ってこういうことだと教わった作品になりました。濱口監督は、本番で初めて感情を入れて演じさせて、その場で生まれる空気を大切にする方です。撮影はほぼ順撮りだったんですけど、すべてがつながっていて、なにも考えることなく、感じながら演じていました。私にとって初めて楽にいられた現場。それまでの苦手意識を吹っ切ることができました」

 そんな現場は、ヒロインという重責のある立場にも関わらず、撮影が楽しみになっていたという。そこには、キャスト、スタッフの信頼関係が築かれていたことも大きいが、なかでも率先して気を配っていた主演の東出昌大のサポートは、唐田の背中を力強く押していた。

「東出さんは現場中も台本をずっと繰り返し読んでいて。セリフは覚えているのに、『読むたびに新しい発見があるし、この作品のことをずっと考えていたいから』とおっしゃっていました。その姿勢や台本の読み方から、改めて自分を振り返ることができました」

期待と不安が入り交じるなかの挑戦

 唐田にとって今作は、ようやく女優としての入口に立つことができた作品になった。そして、そのクランクアップの日には、思わぬ知らせも待っていた。K-POPが大好きで、韓国での活動にも意欲を見せていたなか、韓国の芸能事務所・BHエンターテインメントへの所属が決まったのだ。そして、そこからトントン拍子に大手メーカー・LGエレクトロニクスのCM、Brown Eyed Soulのナオルのミュージックビデオに出演して韓国でも注目を集め、今作でのカンヌ国際映画祭では、取材オファーが立て込んだ韓国メディアのための取材日が設けられた。

 運と引きの強さも加わって(?)躍進を続け、この先のさらなる飛躍を予感させる新鋭・唐田。演技が楽しく感じられるようになったいま、次への期待と不安が入り交じるなか、これからの挑戦を語る。

「作品を観るたびに放心状態にさせられる河瀬直美監督の作品に興味があります。あと、『アイスと雨音』を観て感動して、映画終わりに松居大悟監督のサイン会に並んで『一緒にお仕事したいです』って直接お伝えしてきました(笑)。私、運だけは昔から強いんです。姉に今回のカンヌ行きを話したときに「運だけでここまできたか。あとは実力だな」って言われました(笑)」
(文:編集部・武井保之)

『寝ても覚めても』

 カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先で亮平と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に、戸惑いながらも惹かれていく朝子。そして、ふたりは仲を深めていく。しかし、朝子には亮平に告げていない秘密があった。亮平は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦(ばく)に顔がそっくりだったのだ――。

監督:濱口竜介
出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知(黒猫チェルシー)/仲本工事/田中美佐子
9月1日(土)全国公開 【公式サイト】(外部サイト)
(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

提供元: コンフィデンス

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