新CEOが語る、ドリームワークス作品3つの強みと映画配信への見解
アニメの伝統と歴史のある日本で成功することが重要
過去にワーナー・ブラザースで『ハッピー フィート』などの製作総指揮を手がけてきたデファリア氏は、昨今の中国市場が急拡大を遂げるなかでも、アジアにおいて日本映画シーンを重要視している。
「日本マーケットは非常に重要です。数字的な面はもちろんですが、とくにアニメにおいては、和製アニメの伝統と歴史がある国で、私たちが作った作品が受け入れられるかどうか。そこで成功を収めることが重要なポイントになります」
デファリア氏によると、スタジオジブリに代表される日本アニメは、ハリウッドスタジオのアニメとは表現そのものが異なり、観客を奪い合うような競合にはならないという。
「たとえば宮崎駿監督や高畑勲監督の作品は、アメリカでも大規模公開され、ファンも多いのですが、こうした日本の伝統的なアニメは、同じジャンルでの勝負にはならないんです。(元スタジオジブリの米林宏昌監督作である)『メアリと魔女の花』も、もうすぐ全米公開されるのですが期待値は高い。私自身もとても楽しみにしています」
ドリームワークス作品の強みとなる3つの特徴
1つ目は「制作に時間をじっくりかけて、複雑かつ見た目にも美しいディテールにこだわった世界観を作ること」、2つ目は「独創的で魅力的なキャラクターを作ること」、そして3つ目は「世界観とキャラクターをしっかりと結びつけた、楽しくてだれもが共感できる痛快なストーリーを作りだすこと」とデファリア氏は説明する。それは、新作『ボス・ベイビー』が全世界で540億円を超えるヒットになっている要因にそのまま当てはまる。
こうした王道とも言えるドリームワークスの伝統的な理念を引き継ぎながら、新たな改革にも取り組むという。「我々は、作品の企画から最終的な仕上げまで、すべてを自社スタジオで自社社員が行っているのですが、これはコストが非常にかかります。基本的にはこのやり方を継続しつつ、ビジネス的な改善には着手しようと思っています。また、現在は多方面にわたるビジネスを手がけていますが、純粋なアニメーションスタジオに一本化し、良質な長編映画を作ることに最注力していきます」とアニメ制作会社としての筋肉質な体制作りを宣言する。
ネット動画配信の拡大、メジャースタジオ同士の買収など、米映画界はまさにいま、業界全体に大きな変化の波が訪れている。そんななかでドリームワークスはどこに向かっていくのだろうか。
「ストリーミング配信が映画の一般的な視聴方法になりつつあるのは事実で、我々も重要視しています。やはり好きな時間に好きな場所で視聴できるという選択肢の幅は魅力的でしょう。ただ、ドリームワークスが今後どうするかは、コムキャストグループとしての方針に沿ってということになります。個人的には大きなスクリーンで観てこそ映画の魅力は伝わると思っています。いま言えるのは、ドリームワークスはこれからも映画館のスクリーンで観たいと思わせるような作品を作っていくということです」と力強く語った。
(文:磯部正和)
クリストファー・デファリア氏
ドリームワークス・アニメーションCEO
米ワーナー・ブラザースの重役として『ゼロ・グラビティ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』など世界的大ヒット作の製作総指揮を務める。2017年、ドリームワークスCEOに就任。同年に『トロールズ』『ボス・ベイビー』を全米でヒットさせている。
ドリームワークス・アニメーションCEO
米ワーナー・ブラザースの重役として『ゼロ・グラビティ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』など世界的大ヒット作の製作総指揮を務める。2017年、ドリームワークスCEOに就任。同年に『トロールズ』『ボス・ベイビー』を全米でヒットさせている。
『ボス・ベイビー』
監督:トム・マクグラス
キャスト:アレック・ボールドウィン、マイルズ・バクシ、ジミー・キンメル、リサ・クドロー、スティーブ・ブシェミほか
吹き替えキャスト:ムロツヨシ、芳根京子、宮野真守、乙葉、石田明(NON STYLE)、山寺宏一ほか
全国公開中
【公式サイト】(外部サイト)
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