『民衆の敵』Pが語る“新しい月9”への挑戦
髪を切ってもらい、メイクも薄めに…“篠原涼子らしさ”を封印
「企画の最初のきっかけは、ワイドショーなどを観ていて『不祥事議員も含め今、政治がおかしなことになっている。しかも、その中には一種のエンタテインメント要素を感じるものもある』という気付きでした。そんな時、ある本を読んだところ、市議会議員は倍率が1.2倍で、大抵の人が立候補すると受かるという情報を得た。これは面白い切り口だと考え、普通の主婦だった主人公が市議会議員に立候補する物語を考えたんです」(草ヶ谷氏・以下同)
篠原演じる佐藤智子は、いわゆる一般人の代表。政治の知識もないからこそおもねることなく、おかしいことはおかしいと平気で言えてしまう。草ヶ谷氏はこの人物を篠原のイメージで作り上げた。
「制作陣の想いとしては、今までのドラマの概念にとらわれない挑戦をしたかった。実際、テレビドラマの脚本家の方々とは人物の行動のアプローチや台詞のかけ合いが違い、いい味わいがあります」
さらに本作で特徴的なのは、実在の政治的な事件を思わせる人物やエピソードが数多く散りばめられていること。メッセージ性はあっても、あくまでもエンタメでありたいと考えたことが、黒沢氏に脚本を依頼した決め手になっている。
トレエン斎藤を起用、“俳優芸人”のメリットは
「それは現場のムードメーカーになるだけではない。芸人さんは“表現者”という意味では俳優さんと違いはなく、相手のリアクションに対応したお芝居ができることが特徴的です。相手のお芝居を見て、返し方を即座に変えられますし、逆にこう返して欲しいと誘うようなお芝居もできる。これは芸人さん特有のかけ合いの感覚で、さらに間の取り方が素晴らしい。斎藤さんもこれを機会に多くのドラマのオファーが来るのではないでしょうか」
文/衣輪晋一
(『コンフィデンス』 17年10月23日号掲載)