たまさかの逢瀬に
日本ではマイナーな存在だが、欧米のブランドでは長年にわたり大切にされてきた“4シーターオープン”というカテゴリー。「アウディA5カブリオレ」の試乗を通し、スポーツカーとは一線を画すその趣に触れた。
4シーターオープンは日陰者?
トヨタを筆頭に世界有数の自動車メーカーを自国に抱えながら、日本には根付かなかったクルマのカテゴリーがある。“4シーターオープンカー”だ。「レクサスIS C」など過去に例がなかったわけではないが、2018年現在、日本メーカーにおいては絶滅種だ。高温多湿、梅雨があってバカンスのない日本においてオープンカーは、一部のスポーツカーを除いて日陰者の存在だ。
一方で、冬季の日照時間が短いヨーロッパでは、日光浴は大切な生活習慣となっている。また、屋根の開く“カブリオレ”はそもそも馬車をルーツに持つものとして重宝され、代を重ねてきた。だから歴史や粋を重んじたモデルは、ハードトップではなく“幌(ほろ)”を用いている。特にこのカテゴリーに最も注力するのはドイツメーカーだ。メルセデス・ベンツは、「C/E/Sクラス」に、BMWは「2/4/6シリーズ」のすべてにカブリオレをラインナップしている。
これに対し、ドイツ御三家のひとつ、アウディが持っている数少ない4シーターオープンのひとつが、2017年に登場したA5カブリオレである(本国では「A3」にもカブリオレが存在している)。ルーツは1990年代にデビューした「80」ベースの「アウディ・カブリオレ」だが、A5としては2世代目となる。ベースとなるのは、もちろんA5クーペだ。...