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旧東海道箱根越えウォーキングは、涙のあとに絶景ごほうび!


旧東海道の小田原〜三島間、「天下の嶮」と歌われた箱根越えは東海道一の難所でした。現在も「箱根旧街道」と呼ばれる石畳の道が残り、往時を偲びながらの峠越えができますが、これがホントに苦楽の連続!旅人があまりの辛さに涙を流した、と言われる坂道が延々と続いたあと、頑張って箱根峠を越えるとその先には見事な富士山の絶景が。
今回は小田原から三島までの旧東海道箱根越えウォーキングコースを1泊2日で紹介します。

「箱根八里」の前半4里は、容赦ない上りの連続!

写真:風祭 哲哉

「箱根八里」と呼ばれた東海道の箱根越えは、小田原宿から箱根宿までの前半4里と、箱根宿から三島宿までの後半4里のことを指しています。小田原を出て1里ほどは比較的平坦な道ですが、旧東海道が現在の箱根湯本駅の手前で国道1号線から分岐すると、そこから先の3里は芦ノ湖が見えるまで徹底的に上りが続きます。

写真:風祭 哲哉

旧東海道に入ってしばらくの間は、まだ比較的緩やかな上りなのですが、右手に見える箱根湯本の温泉街を過ぎる頃からどんどん高度を上げていきます。現在は国道1号線が箱根へのメインルートとなっているため、旧東海道は車通りの少ない、うっそうとした林の中を進んでいきます。

写真:風祭 哲哉

箱根大天狗山神社や箱根天聖稲荷大権現神社への入口を過ぎると、「女転ばし坂」。ここは箱根道の難所の一つの急坂で、馬に乗った婦人がこの附近で落馬し死んでしまったためとそう呼ばれるようになったといいます。
その先の割石坂からいよいよ石畳の旧街道に入ります。当時の箱根越えは悪天候になるとすねまでつかる泥道となったため、この石畳が敷かれたのでした。

東海道一の難所!苦しくて、涙こぼれる激坂を乗り切れ!

写真:風祭 哲哉

小田原と箱根宿の中間あたりに「間の宿(あいのしゅく)」と呼ばれる畑宿があります。ここは峠越えの途中で旅人がつかの間の休息をとった場所で、寄木細工でも有名なところ。畑宿本陣跡もあり、また、畑宿寄木会館では、現在でもその製造工程や作品などを見ることができます。

写真:風祭 哲哉

畑宿を過ぎるといよいよ坂は過激な角度に。
車道は箱根七曲りと呼ばれるペアピンカーブが続きますが、箱根旧街道はそのカーブにも沿わず、山中をまっすぐに上るという暴挙で旅人を迎えます。
お正月の箱根駅伝が行われるのはこの旧東海道ではなく国道1号線のほうですが、あの箱根駅伝よりもはるかに厳しい勾配を登る「山の神」になったつもりでチャレンジしてみてください。

写真:風祭 哲哉

そして迎えるのは東海道で一番の難所であったといわれる樫木坂(かしのきざか)。東海道名所日記には「橿の木の さかをこゆれば くるしくて どんぐりほどの 涙こぼる」と詠まれ、泣きたくなるような坂であったそうです。現在は階段となっていますが、確かにこんな坂がずっと続いたら泣きたくなるレベルですね。
そのあとに続くのは読んで字のごとく猿も滑ると言われた「猿滑坂」。このあたりが箱根越えで一番キツいところ。とにかく頑張ってここを乗り越えてください!

甘酒茶屋で一服すれば、芦ノ湖畔はもうすぐ!

写真:風祭 哲哉

延々と続く峠道を上った後に見えてくるのは立派な茅葺屋根の古民家。ここは畑宿と箱根宿のちょうど中ほどにあり、400年の歴史を持つ甘酒茶屋。かつて箱根の関所を通る前の旅人にとっては緊張の、関所を越えてきた旅人にとっては安堵の小休止を取る場所でした。
現在は箱根に関所もなく、箱根越えもマイカーやバスがほとんどですが、こうして厳しい峠を歩いてきた旅人にとっては本当に天国のような場所です。

写真:風祭 哲哉

ノンアルコール、砂糖なし。麹の発酵による自然の甘みだけで作り上げられた甘酒に、毎朝、臼と杵でつきあげている力餅は、昔から変わらぬ看板メニュー。
これ、涙が出るほどおいしいです。ただこのおいしさを本当に実感できるのは、車やバスではなく、歩いて、あるいは自転車で峠越えをしてきた人だけかもしれませんが。

写真:風祭 哲哉

甘酒茶屋でパワーをチャージしたら、箱根宿までの上りはラストスパート。ここから先はさほど辛く感じません。深い森に覆われていた視界が突然開けて芦ノ湖が眼下に見えた時の感動(安堵?)は、言葉では言い尽くせませんよ(笑)。
小田原から約4里16キロ、この日は芦ノ湖畔の温泉で1泊してゆっくりと疲れを癒しましょう。

箱根峠を越えれば、あとは箱根西坂をひたすら下るだけ

写真:風祭 哲哉

2日目は箱根宿から三島宿までの約4里16キロ。芦ノ湖畔からは天気がよければきれいな富士山が眺められます。朝は順光なので特におすすめですよ。

写真:風祭 哲哉

芦ノ湖畔から先、2キロ弱の最後の上りがありますが、これも前日にくらべたら恐るるに足りません。標高846メートルの箱根峠を越えると、あとは三島宿に向かって一気に下ります。

写真:風祭 哲哉

うっそうとしたを急な坂道をしばらく下り続けると、右手に現れるのが山中城址。ここは北条氏が小田原防衛のために築城したと伝えられる中世末期の山城。石を使わず土だけで築かれ、北条流築城術を極めた「障子掘」や「畝掘」が現在でも残っていて、日本百名城とされています。

ごほうびは富士山の絶景や、新名所三島スカイウォーク

写真:風祭 哲哉

この山中城址のあたりから、富士山が右手間近に姿を現してくれます。その近さと美しさは想像をはるかに超えるレベルで、これぞ苦しかった箱根越えの最高のご褒美!しかもここから先は三島まで、ほぼ全行程で富士山が一緒に寄り添ってくれるのです。

写真:静岡県観光協会

そしてこの箱根西街道沿いに生まれた新名所が「三島スカイウィーク」。全長400メートル、日本一長い歩行者専用吊り橋は富士山や駿河湾、伊豆の山並みなどが一望できる絶景吊り橋として人気です。

写真:風祭 哲哉

このあとも箱根西坂ではもっともけわしい急坂と呼ばれる「こわめし坂」などの難所はありますが、下りなので心配無用。やがて少しずつ道は平坦になって、三島の市街地に入ります。
伊豆国の一宮で、三嶋大明神を祭る三嶋大社を過ぎれば三島宿へと到着。ときに厳しく、ときに楽しかった箱根八里の峠越え劇場は終わりを迎えます。

人生やっぱりチャレンジだ!演じてみよう、東海道箱根越え劇場を!

箱根といえば、押しも押されぬ日本を代表する観光地。誰もが一度や二度は訪れたことがあるでしょう。しかしここを歩いて越えてみると、マイカーやバスでは何度行ってもけっして得ることのできない劇的な経験ができるはず。確かに泣きたくなるような苦労もあります。けれどもそのあとに手に入れるご褒美は、何物にも代えがたい至福の瞬間です。
「冬来たりなば春遠からじ」「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。
人生やっぱりチャレンジですよ。さあ、あなたも東海道箱根越え劇場へ、いざ!

■関連MEMO
箱根全山
https://www.hakone.or.jp/midokoro/ishidatami.html
旧街道ウォーキング「人力」
https://www.jinriki.info/kaidolist/tokaido/odawara_hakone/

【トラベルjpナビゲーター】
風祭 哲哉

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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