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“箱絵”ガンダムの次は“メッキ”ジオング…「この人から目を離すな」ガンプラ玄人が絶賛した新進気鋭モデラーの“塗装力”

 プラモデルの制作において、その印象を大きく左右するのが塗装。よりリアルさを求めたり、イラスト風やアニメ塗など二次元に見せるなど、同じガンプラでもその仕上がりで印象は大きく変わってくる。塗装にこだわるモデラー・ニコボルさん(@nicovol48)は前作で、ファーストガンダムをガンプラの「箱絵」風に仕上げ、SNSで賞賛された。そんな同氏は近作として、まるで“メッキ”のような塗装を施したジオングを制作。美しい陰影が立体感をより引き立て、実力派モデラーに絶賛された。新進気鋭のモデラーが考える塗装の醍醐味とは?

“イラスト感”にはこだわらず「ジオングは、カラーモジュレーションが映えて楽しそう」

――近作「ジオング」が、その完成度の高さから、多くの人に賞賛されました。本作制作のきっかけを教えてください。
ニコボルRGジオングの現代的にアレンジされたフォルムやバーニアをこちらに向けたポージングなど、キットの魅力に惹かれて「いつか制作したい」と所持していました。元キットがスカート部や肩アーマーなど細かく分割されているので、カラーモジュレーション(面ごとに明暗をはっきり分けることで立体感を強調する手法)が映えて楽しそうだと感じたのと、大きなバーニアとモノアイも発光表現に挑戦するのにピッタリだと思い、制作することにしました。

――そもそも、ジオングに対しては何か思い入れがあるのですか?
ニコボルテレビアニメでのラスボスとしての巨大な迫力や異形なカッコよさが印象的でした。プラモデルを制作することで思い入れが深くなり、もっと大好きになりました。

――ニコボルさんというと、二次元の「箱絵」をガンプラで表現した“脳がバグる”ガンダムが大きな話題となったこともあり、そのイメージがあっただけに本作には驚かされました。
ニコボル今回はイラスト感を出すことにはこだわらず、スカート内部はメタリック塗料を使用しています。外装部分はメタリックではない通常の塗料ですが、基本色を塗った後に面ごとに影色とハイライトを塗装する「カラーモジュレーション塗装」を行ったあとにエッジにハイライト線をいれており、そこが光って感じていただける要因かなと思います。

――制作時に苦労したところ、こだわったところを教えてください。
ニコボル一番苦労したのは、バーニアの発光表現。蛍光のアクリル絵の具を使用したのですがなかなか色がのりにくく大変でした。こだわったのは、顔周りの表現でモノアイをやはり光って見えるように発光表現し、エッジハイライトがきれいに入るようにしました。

塗装は楽しいけど、工作は苦手「自分のできる技術の幅を少しずつ広げていければ」

――遠目で見てもわかる印象的な作品ですが、インパクトを出すために行った工夫などございますか?
ニコボルキットの設定色はブルーとグレーは2色の塗分けになっていますが、アニメのイメージを尊重したのと、モジュレーション塗装では色がごちゃごちゃしそうだったために1色に絞りました。また、巨大な迫力が感じられるように下からの光源を意識し、腹部や腰の黒い部分は特にハイライトが映えるように塗分けています。

――前作もそうですが、ニコボルさんの作品からは「塗装」の可能性を大きく感じます。ご自身は「塗装」の魅力をどのようにとらえていますか?
ニコボル最近のガンプラは組むだけで、色分けがしっかりされておりとてもカッコいいと思います。さらに、そこに塗装をすることでカラー変更であったり、イラスト風やウェザリングなどの汚し表現、カラーモジュレーション塗装でオリジナリティを加えたり、自分好みの表現の追求ができる。そこが大きな魅力です。僕自身もいろいろな塗り方を楽しんでいます。塗装は好きで頑張っていますが、基本工作は苦手です(苦笑)。今はパテやプラ板でプロポーション改修などにも挑戦していますが、まだまだだと思っています。

――好きなことを伸ばしながら、苦手なことにも挑戦する。素晴らしいですね。本作は、SNSでも大きな反響がありましたが、ご自身はどのように受け止めていますか?
ニコボル今回は箱絵イラスト風とは異なりお手本があるわけではなく、ただ自分自身が好みの塗装表現を追求したつもりで。そこを褒めていただいたり、多くの方々から反響があったことが驚きでもあり、本当にうれしく励みになりました。
 また憧れ、尊敬する凄腕モデラーさんから「この人から目を離すな」という言葉を、僕の制作物を、Xを始めた当初からずっと見てきてくださった凄腕モデラーさんから「身につけたモノが全部盛り込まれている」と仰っていただき、どちらも震えるほどうれしかったです。

――実力派モデラーの皆さんも口をそろえて、「ニコボルさんの成長度が半端ない」とおっしゃっていますね。
ニコボルありがとうございます。特に筆塗りに対しての成長度を褒めていただくことが多いです。最初の作品がなかなか思うようにできずスタート地点が低かったのが大きいと思いますが、皆様から温かい感想をいただいたり、素晴らしい作品を拝見させていただくことで「もっと頑張ろう」という前向きなモチベーションにつながった結果だと思っています。本当に感謝しています。

――今後も、さまざまな塗装表現を追求されていきますか?
ニコボルそうですね。これからも楽しむことを大切に末永く続けていきながら、塗装以外にも自分のできる技術の幅を少しずつ広げていければ、と思っています。

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