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「レゴに見えない」「ぜひ商品化してほしい」…ガンプラじゃないの? レゴビルダーが“本気出した”ガンダムがすごい

写真左/タコザク 制作・画像提供/YOGO氏 写真右/『1/26ユニコーンガンダム「可能性の獣」』 制作・画像提供/セイレイ氏 (C)創通・サンライズ

写真左/タコザク 制作・画像提供/YOGO氏 写真右/『1/26ユニコーンガンダム「可能性の獣」』 制作・画像提供/セイレイ氏 (C)創通・サンライズ

 SNSで発表されるオリジナリティあふれるガンプラの数々。これらは、ベースとなるプラモデルをカスタムし、塗装などでオリジナリティを出していくもの。一方で、ガンプラを使わずにガンダムシリーズに登場するモビルスーツ(MS)を立体表現する人たちも存在する。今回紹介するふたりの“ビルダー”は、LEGO(レゴ)を使って、MSを制作。多くの人から賞賛された。説明書も何もない、まったくゼロの状態からどのようにしてMSを作り上げるのか?

レスキューロボからガンキャノンを創造し、本格的に“レゴでガンダム”の世界へ

 幼稚園に上がる前からレゴに親しんでいたというYOGOさん(@yg45yg)。「当時から一度説明書通りに作っては、すぐに崩して作り変えて遊んでいた、と聞いています(笑)」と話す通り、ビルダーとしての素養はそのころから培われてきた。そんな同氏がレゴでMSを制作しようと思ったのは、あるきっかけからだった。

「息子が生まれ、レゴで遊ばせていたのですが、『レスキューロボ』のセットを組み替えたらガンキャノンっぽいものが出来たので、これは面白いと思いました。その後しばらくして本格的に取り組むようになり、ネットに先人たちの作った素晴らしいMSが上がっており、それらを参考にするようになってレベルが上がりました」

 レゴ店のコンテストでも入賞するほどの腕前で、『タコザク』『リックドムII』などを制作。これらは、あるクリエーターから刺激を受けて制作したという。

「とさしん。さん(@tosashin1028)のイラストを見て衝動的に作り始めました。これまでのイメージを一新する素晴らしいアレンジで、作ったら絶対に楽しいと直感しました。案の定、とても楽しかったです」

 写真の『タコザク』を制作する際には、さまざまな部分に気を配った。そこには、レゴとガンプラの大きな違いがあるからだという。

「胸部と肩はイラストのイメージを出せるように留意しました。この辺りのバランスが、この機体デザインの肝だと思ったためです。一方で、脚部は大きめ、背面のタンクは小さめになっていますが、これはレゴで作った際の安定性を高めるためです。実は、レゴでMSを作る場合に一番難しいのは自立させることなのです。腕が大きくなっているのは、簡単に言うと自分の技術不足でコンパクトに纏められなかったせいです。結果的には強そうでこれもアリかなとは思っています」

 ガンプラのように必要パーツが箱にまとまっていないレゴ。それゆえ「制作時の苦労」もガンプラとは異なるという。

「これはレゴならではなのですが、形状がイメージにぴったりなので使いたいと思ったパーツがあったのですが、手元には必要数がなく、しかもこれが割とレアなパーツだったため使用を諦めかけていました。ところが、ダメ元でツイッターで呼びかけてみたところ、近所のレゴ仲間が奇跡的に持っていて譲って貰うことが出来たのです。他にもレゴでは、使いたいと思った形のパーツでも目的のカラーが製造されていなかった、というハードルが立ちはだかることも多々あります」

 説明書もなく、パーツ集めも苦労するなか、レゴでのMS作品を作り続ける同氏。その魅力はどんなところにあるのだろうか?

「レゴMSには元キットが存在せず、誰が作っても自分だけの作品になるという利点があります。また、パーツ種類が豊富で、かつ精度も非常に高いため、創作素材として大変優れているということもあります。プラ板を切り出したりパテを盛ったりするより早く形を作ることができるので、気の短い自分にはピッタリです。加えて、小さな子どもでも遊べるようにある程度の大きさ以上になっていて老眼に優しいこともメリットですね(笑)。正直、レゴは制約が多いですが、これからも『レゴだから出来なくても仕方がない』と妥協せずに、作品を作っていきたいと思います」

YOGOさんの近作「ジ・オ」

YOGOさんの作品に出会って、今年4月からレゴビルダーとしてMSを制作

 このYOGOさんの作品に出会ったことで、自身もビルダーになったのが、セイレイ(@seirei526)さん。

「レゴでMS作品を多く制作されておられるYOGOさんが作ったガンダム・エアリアルを初めて拝見したとき、『自分の家にもレゴでできたガンダムを飾りたい』と強く思いました。今の私の作風に大きく影響を与えてくださいました」

 今年4月に、初の作品としてエアリアルのヘッドディスプレイを制作。さらに『1/26ユニコーンガンダム「可能性の獣」』の制作過程をXで報告すると、その途中経過の完成度の高さから、多くの人が期待し、応援した。

「前作(エアリアル)の制作過程をSNSに投稿し、皆さんに完成まで見てもらえたこと、応援コメントをいただけたことがとても楽しかったので、今度はエアリアル以上に時間がかかるものを作りたいと思いました」

 さまざまなMSがいる中でユニコーンガンダムを選んだのには理由があるという。

「UCは2つの点においてとてもよい作品になると考えたからです。1つ目は、UCの設定にあるデストロイモードはとてもメカメカしく私の作風と相性が良いと思ったこと。2つ目にUCでおなじみの『可能性の獣』という単語。これはさまざまな作品が作れるレゴの可能性と重なる部分があり、そういった意味合いでもレゴで作るMSはUCが良いのではないかと考えました」

 制作するうえで苦労したのは、YOGOさん同様「自立」だった。

「レゴでは接着剤など一切使用しないので、組み方だけでその重さを支える必要があります。もちろんスタンドを設けるという選択肢もありますが、見栄えを考えるとやはりスタンドを必要としない作品にしたいと考えました。そのため実際に重りを使用して耐荷重試験を行い、外れたブロック周辺の組み方を変更、再度試験を繰り返し行う事で現状は安定して自立できています」

 “自立問題”もクリアし、作品が完成すると多くの賞賛の声が上がった。

「(注目され話題を集めたのは)ひとえに『レゴの可能性』だと思います。レゴは誰もが知っている人気玩具であったことに加え、『レゴでこんなものも作れるのか』『レゴでできているとは思えない』そういった驚きが多くのいいねにつながったのではないかと思います」

 そんな同氏が考えるレゴでMSを制作することの魅力は「思い通り作れた時のうれしさ」。

「レゴは既存する形(ブロック)から造形するため、自由自在に形を作ることはできません。ただ、そこに楽しさをとても感じます。私の場合ですが、オリジナルのロボを組み上げると、造形も自由なので自己満足や妥協が容易にできてしまい、組み方やブロックの選択、その組み合わせにあまり時間を使わないことが多いです。使うブロックや組み方に偏りが生まれてしまうので、よく使うブロック、よくする組み方だけで制作が終わってしまうこともあります。その反面、『再現ビルド』では、その形状を表現するためにいろいろなブロックでさまざまな組み方を試し造形するので、思い通りの形が作れた時のうれしさや、新しい組み方でぴったり収まった時の気持ちよさは、レゴでMSを制作する魅力と言えるのではないでしょうか。
 私は、ガンプラと見間違えるほどの密度あるビルドを意識しています。今後も『彼らしい作品だ』と言ってもらえるような作品の制作に取り組んでいきたいと思います」

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