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「“作画崩壊”ドアンザク」に「クラウン、無駄死にではないぞ!」…ファーストガンダム「ザク」の名シーンをガンプラで見事に再現

 さまざまな、手法、技術を駆使し、オリジナリティあふれる作品をSNSを通じて発表し続けているガンプラモデラー。一方で、さまざまなアイデアを用いて、原作の名シーンを再現する人も。今回紹介する2人のモデラーは、ガンダムシリーズの“名敵役”であるザクを用いて、『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)の名シーンを再現し、大きな反響を呼んだ。それぞれの作品に込められた思いとは?

第5話「大気圏突入」“炎表現”はまさかのミカンのネット「調理場で見つけて思いついた」

 モデラーの正晃さん(@snoopy12261)が、ザクを用いて再現したのは、ファーストガンダム第5話の「大気圏突入」でガンダムを深追いしたため母艦に帰れず、そのまま散っていった一幕。ザクのパイロット・クラウンとシャアの切ないやり取りも含めて、ファーストガンダムの名シーンとして知られている。同氏は、このシーンに特別思い入れがあったわけではないという。

「正直、このザクが燃え尽きるシーンよりも、直後のガンダムが股間からビニールみたいな物を出して、それを被って大気圏突破するシーンの方が印象に残っているし、『こんなカッコ悪いので良いのか(笑)』と思いました。思い入れとかも特にはなかったですね」

 ではなぜ、本作を制作しようと思ったのか? それは、調理場であるものを見つけ、思いついてしまったためだという。

「調理場につるされていた玉ねぎを見てふと思いつき、ちょうど作りかけのザクがあったので何となく撮ってみました」

 玉ねぎやミカンを入れるネットを見かけただけで、作りかけのザクを組み合わせ、名シーンを再現しようという発想はなかなか出てこないだろう。ザクは細部まできっちり制作されており、目の肥えたモデラーが賞賛するほど。一方でネットは逆にチープさを残し、そのギャップがいい味を出している。

「こだわった点は、チープでお粗末な感じを出すために、あえてネットの底を塞ぐビニール紐が見えるように撮ったことです。ザクについては、基本的なことですが、ゲート跡や合わせ目の処理などを行いました。個人的な好みでスジボリも少しだけ追加しました」

 SNSで発表したところ、衝撃的な作品に3.3万ものいいねを獲得。賞賛の声があふれた。

「寄せられた多くのコメントで、大勢の方に観てもらえている実感が湧きました。コメントに『シャア少佐!助けてください!』『クラウン、無駄死にではないぞ!』などの寸劇(?)があって、見ていて楽しかったです(笑)」

 本作を通じて伝えたいメッセージを聞くと、「クラウンの駆るザクは、ガンダムを深追いしすぎた為に母艦に戻れず、大気圏に突入して燃え尽きてしまいました。目先の功を焦って、無理しないことが大切だと思います」と極めて冷静な回答。一方で、ガンプラについては、今後も楽しみながら作っていきたいという。

「『ガンプラ』は夢中になれる趣味ですね。せっかくの趣味なので楽しみながら、原作へのリスペクトをもって作ることを心がけています。今後も楽しみながら制作できればと思っています」

第15話「ククルス・ドアンの島」…“作画崩壊”が有名も「子どもたちと一緒に描きたかった」

 仁王立ちするザクに子どもたちが寄っている水辺のジオラマを制作したのは、モデラーのすみちーさん(@YMS07B_sumichi2)。本作で表現したのは、ファーストガンダム第15話の「ククルス・ドアンの島」。昨年このエピソードにフィーチャーした映画も公開されるなど、ファンの間ではなじみ深いシーンと言えるだろう。

「実は、最初からドアン専用ザクを作るつもりではありませんでした。旧キットの1/144 量産型ザクを仮組みし、姿を眺めていたら、だんだんと旧キットの独特のフォルムがドアン専用ザクに似ているなと思い始めたのがきっかけでした」

 同氏も話す通り、このエピソードが一躍話題になったのは、ここに登場する「ドアン専用ザク」の頭部が、通常のザクとバランスが異なり、ガンダムファンの中で“作画崩壊”として語り継がれているから。昨年3月に行われた映画の会見で監督の安彦良和氏もこれに言及し、「見るに堪えなかった」と明かしている。すみちーさんは「当時は家庭用のビデオデッキもない時代でしたので、“作画崩壊”についてはまったく気が付いていませんでした(笑)。大人になってから見直してみましたが、確かにあの画はすごいですね(大笑)」と話すが、イメージは映画版だったという。

「テレビ版をモデルとして忠実に再現すると頭部は相当デフォルメが必要だと思います。ただ、映画版の『ドアン専用ザク』がテレビ版をオマージュしつつも、かっこ良かったのでそれを意識して改造してみました。
 ホームページなどで調べてみると、映画版の『ドアン専用ザク』は脱走後に倒した相手の機体から部品を回収してドアン自身で改修を行った設定になっていました。ですので、今回のガンプラでは、顎の部分をいったん切り離し、取り付け角度を変更して再接着して、ドアン専用ザクの特徴的な面長な印象を出すように心がけました。頭部のパテ盛りやヤスリがけだけで3日くらいかかったと思います(笑)」

 制作にあたって、テレビ版の15話を見直してから制作に取り掛かったという同氏。同話というと、ザクの頭部にばかり目が行ってしまうが、子どもたちもしっかり表現したいと思ったという。

「ドアン専用ザクをヴィネット(小型の立体模型)化するのであれば、子どもたちも一緒に登場させたくなりました。なので、ヴィネットの再現場面を、浜辺のドアン専用ザクと子どもたちのシーンに決めました。写真撮影は背景を海っぽくしたかったですが、滋賀県在住なので琵琶湖の畔でごまかしました(笑)」

 “作画崩壊”というガンダム史に残る大きなインパクトを残しながらも、映画化をはじめ、多くのガンダムファンに愛されているドアン専用ザク。最後になぜこんなに愛されているのか、すみちーさんの意見を聞いた。

「『ドアン専用ザク』そのものが魅力的なのではなく、ククルス・ドアンが魅力的なキャラクターなのだからだと思います。守るべきものがある男は強いですし、魅力的ですから」

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