ORICON NEWS

「あなたにとってポルノグラフィティとは?」 激動の時代25年、第一線で闘い続けてきた偉業

デビュー25周年を迎えた、ポルノグラフィティ

デビュー25周年を迎えた、ポルノグラフィティ

 今年9月、ポルノグラフィティがデビューから25年目を迎えた。デビュー記念日の直前には、オフィシャルYouTubeチャンネルにアニバーサリームービー「あなたにとってポルノグラフィティとは?」がアップされている。ポルノグラフィティというアーティストが駆け抜けてきた時間の長さ、そして功績とは?

デビューシングル「アポロ」は“ロングランヒット”、以降も続々とTOP10入り

 ビデオの内容は俳優の神尾風珠扮する主人公の、少年期から大人になるまでの様々な場面に、ポルノグラフィティの楽曲が寄り添っていくショートムービー。思い出は楽曲ひとつひとつの中に刻まれ、数年経っても曲を聴くだけで蘇ることを伝えたストーリーなのだが、その映像を見ていると、もうひとつの事実に気づく。この25年間で人々が音楽を再生する機器はCDラジカセからMDを経て、スマホになった。世界情勢や大災害の影響で、生活様式にも変化が起きた。小さかった子どもが大人になり、親になる。つまり25年とは、そんな途方もない長さなのだ。デビューから今日まで、ポルノグラフィティがこの激動の時代を乗り越えながら第一線で闘い続けてきたことは、奇跡に近い偉業だと言えるだろう。
  • 「アポロ」ジャケット

    「アポロ」ジャケット

 1999年9月8日にデビューしたポルノグラフィティは、デビュー曲「アポロ」からヒットを続けたものの、そのデビューは鳴り物入りではなかった。「アポロ」のオリコン週間シングルランキング初登場は76位。しかし、そこから週を追うごとに順位をあげていき、最高5位のロングランヒットとなった。これはXやTikTokで振り付けや替え歌などが話題になってヒットに繋がる現代ならありうることだが、もちろん当時にはそんな恩恵もない。

 「アポロ」はロックバンドとしては斬新なデジタルサウンドや、宇宙船アポロ11号を題材にした意外性のある歌詞、まっすぐ耳に飛び込んでくる歌声という、要は楽曲の良さとインパクトが純粋に人々の関心を集めた結果、真っ当にヒットしたのだ。
  • 「サウダージ」ジャケット

    「サウダージ」ジャケット

 そして彼らは、4作目の「サウダージ」でついに1位を獲得する。「サボテン」「アゲハ蝶」「メリッサ」などに代表されるそこからの快進撃は言わずもがなだが、最高位12位で唯一TOP10入りしなかった2ndシングル「ヒトリノ夜」以外、49作品のシングルがTOP10入りし、6作品が1位を記録。そしてアルバムは18作がTOP10入りし、6作が1位を獲得した。つまり、メジャーデビュー以降全作品がTOP10にランクインしたことになる。

いくつものターニングポイントを迎えた彼らが、ブレずに向き合ってきたものとは

1999年デビュー当時のポルノグラフィティ

1999年、メジャーデビュー当時のポルノグラフィティ

 そう言うと、デビューから好調にトップアーティストとして歩を進めてきたように見えるが、長い歴史の中ではいくつものターニングポイントを迎えてきた。最初の壁といえば、バンドとして最盛期にあった2004年に起きた、ベーシスト・Tamaの脱退。故郷の因島から上京してきた友であり、同志として信頼してきたメンバーとの別れは、たとえ本人の生き方を尊重するためであったとはいえ、当時見据えていたポルノグラフィティの未来像に大きな衝撃を与えただろう。

 また、2007年のアルバム『ポルノグラフィティ』からは、デビュー時から続いたプロデューサー・本間昭光氏による楽曲提供をストップし、岡野昭仁と新藤晴一ふたりの詞曲だけに絞った作品づくりが開始された。その流れで2012年には、本間氏によるプロデュースから、事実上のセルフプロデュースへと移行した。ヒット街道に向かってバンドを牽引していたプロデューサーから離れた理由は、言うなれば“導いてくれる力がある安定感より、自分たちで漕いでいるという実感を選んだ”ことにある。すでに売れている状態にあったのだから、余計な曲がり道を避けて現状維持していく手もあったのに、だ。

 しかし彼らは、きちんと苦悩した末に完成した最高の一曲をみんなに届ける覚悟を決めた。何度、分岐点を迎えようともブレることなく自身の進化を渇望し、常に純然たる魂をもって音楽と向き合ってきた彼らだからこそ、愛される楽曲と確固たる地位を守ってこれたのだと私は思う。

 人の琴線を掴んだまま離さないメロディ、スマートでありながら遊び心の絶えないギター、代名詞ともいえるラテンのアプローチ。人生の様々な場面を切り取りながらも聴き手に必ず現在地を実感させる歌詞と、ハスキーでいて圧倒的なレンジと表現力を誇るボーカル。そんなポルノグラフィティにしか描き出せないロックは確実に評価され、リリースする楽曲すべてがランキング上位を獲得するようになった。

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索