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「感性による相互理解は言語以上の繋がりを生む」“奏でる”ことで音楽の本質に触れる 山野楽器 山野 政彦×オリコン 小池 恒 対談
音楽ランキング誕生秘話、「反対の声もある中、オリコンさんは情熱で音楽業界を牽引した」
【小池 恒】確かに政光先代社長は僕もよく存じ上げていたのですが、どちらかと言えば先代同士、『オリコン』小池聰行と『山野楽器』山野政光氏が親しかったのです。先代・聰行が1967年ごろ、当時専務だった政光氏に「本当の人気をデータ化し、ランキングを作りたい」と情熱をたむけ、政光氏が2代目・省三社長に進言していただいた。この情熱に省三氏も心をうたれ全面協力をしていただくことに。全国のレコード店を組織化し、それが「太陽会」という調査店組織となりました。また、当時『山野楽器』は芸能事務所「山野音楽興業」を持っていて、オフィスを持っていなかったオリコンに事務所の一角を貸していただき、そこでランキング作成を行わせてもらうなどの支援もありました。そういう意味で弊社と『山野楽器』さんとは約58年前にまで遡るお付き合いなんです。
【山野 政彦】私たち2人が初めて顔を合わせたのは約30年前ですね。私の父親の政光に連れられ、初めて紹介していただきました。たしか小池さんが副社長になった頃でしたよね。しかも同い年(1965年生まれ)だったという…。
【小池 恒】そうですね(笑)。つまり「太陽会」会長を省三社長、政光社長、そして現社長の山野政彦さんと3代のお付き合いを経て、まさに家族ぐるみのお付き合いをさせていただいております。
――お2人のお付き合いも30年ということですが、ビジネスパーソンとして、お互いをどのように見ていらっしゃいますか。
【山野 政彦】昔から全く変わりません。すごく誠実で社会正義のために戦っていらっしゃる方という印象です。例えば、さまざまなランキング化にしても、なかには快く思わない方々もいらしたはずです。ですが、その勢力に負けることなく、「世の人のために重要な情報だ」と勇気を持って発信し続けてきた。
【小池 恒】正義と言っていただきましたが、『オリコン』には正しいデータを出していくというフィロソフィーがありまして、そう言っていただけるのは大変光栄です。僕から見ての山野さんはまず「情熱の人」です。東京・銀座という地価の高い場所でCDなどのソフトを売り続けて来られた。CDというのは値段が全国共通ですから、地価が高い土地でも値段は変わらない。そこでCDを売り続け、楽器や音楽教室なども展開していくのは、音楽産業にとって大きな貢献、功績だと思います。これは相当の情熱を持っていないとできないことです。