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SHAUN、50億回再生のヒット曲「Way Back Home」日本語版リリース 世界的プロデューサー視点で語る日韓音楽の違い

  • シンガーソングライター/ 音楽プロデューサー/DJのSHAUN

    シンガーソングライター/ 音楽プロデューサー/DJのSHAUN

 シンガーソングライター/音楽プロデューサー/DJとして活躍する韓国出身のSHAUN(ショーン)。EXOやSHINEEなど人気アーティストの楽曲制作やプロデュース、BTSの「Dynamite」Remixバージョンを手がけるなど、K-POPを牽引する1人として幅広く活躍している。2018年に韓国でリリースした「Way Back Home」は、全世界でストリーミング50億回再生を突破する大ヒットを記録。日本でも様々なアーティストがカバーし、TikTok関連動画は500万本以上投稿されるなどのムーブメントを起こした。そして今回、リリースから約5年を経て、同作のオリジナル日本語歌詞バージョンをリリースするSHAUNに、本作の制作秘話や日韓音楽の違いをプロデューサー視点で語ってもらった。

5年間に渡るロングヒットに「不思議」 日本でもTikTok Weekly Top20にランクイン

――2018年にリリースした「Way Back Home」が大ヒットしたときは、どのような心境でしたか?

SHAUN リリースから約5年経ったいまも様々な国の人が聴いてくださっていて、こんなにも長い間、世界中のたくさんの方々に愛してもらえるのはなぜなのだろうと「不思議」な感覚です(笑)。でも、すごくうれしい気持ちでいっぱいです。

――元々、どのようなイメージで作られた曲なのでしょうか?

SHAUN 元々、何年も前に作っていた曲があって、お蔵入りした曲はハードドライブに入れたまま放置していました。その後、軍隊に入る前にハードドライブを整理していた時に思い出して、改めて曲を作り直してみようと思ったんです。

――その音源をベースに作ったのが「Way Back Home」なんですね。

SHAUN でも、実はそのデータファイルは開かずに、頭の中で“確かこんな感じの曲だったかな”と思い出しながら作ったのが「Way Back Home」なんですが、作り終わった後に原曲を聴いたら、全然違っていて驚きました(笑)。当時から色々な感性や経験を積み重ねていく中で、自分の中で自然と曲が熟成されていったんだと思います。
  • 今月新たに配信された「WAY BACK HOME」日本語版

    今月新たに配信された「WAY BACK HOME」日本語版

――「Way Back Home」の世界的ヒットを受けて、その後の活動におけるプレッシャーのようなものは感じませんでしたか?

SHAUN 責任感は生まれましたが、次のヒット曲を出さなければいけないというプレッシャーは感じませんでした。なぜなら、「Way Back Home」と同じような現象をもう1度起こそうとは思わなかったからです。僕はライブで多彩な楽曲を届けたい思いで制作をしているので、“ヒットを出し続けること”が音楽活動をする目的になってしまうと、これまで大事にしてきた自由な表現が失われてしまう気がするんです。

――なるほど。SHAUNさんが理想とする音楽の形はどのようなものでしょうか?

SHAUN 僕が目指すのは「映画音楽」です。悲しいシーンには悲しげな音楽が流れ、激しいアクションシーンには臨場感のある音楽が流れるなど、シーンに合った曲を楽しめますよね。鑑賞後は映像と共に記憶に残ることも多く、どこかで映画音楽が鳴った瞬間にその映画のワンシーンを思い出しますし、鑑賞当時の自分の記憶が蘇ったりもします。時々、「『Way Back Home』を聴くと、この曲と出会った当時の自分の姿や情景を思い出します」と言ってくださる方がいるのですが、その度に“この方の人生のサウンドトラックになれたんだ”と誇らしい気持ちになって、それがモチベーションに繋がったりします。

――素敵な表現ですね。日本では本国でのリリースから4年後にTikTok Weekly Top20 で1 位を獲得しましたし、カバー動画やダンス動画といったコンテンツもたくさんアップされています。こういった反響をどう思いますか?

SHAUN 本当に嬉しく思っています。この感謝の気持ちを表したくて作ったのが、今回の日本語歌詞バージョンなんです。ただ、これまで自分の曲の歌詞をいろんな国の言語で訳したものを見てきましたが、“ちょっと残念だな”、“この部分はちゃんと伝わるだろうか”と思うことが正直あったんですね。なので今回は、オリジナルの歌詞の感情やメッセージが伝わるような日本語歌詞を願っていたら、作詞家の岡嶋かな多さんが素敵な日本語歌詞を書いてくださいました。

日本の音楽市場は「外部が入りづらい」 世界規模のアイドル市場を持つ韓国も課題感

  • 日本のアニメや漫画が好きで、秋葉原に足繁く通っていたというSHAUN

    日本のアニメや漫画が好きで、秋葉原に足繁く通っていたというSHAUN

――SHAUNさんは日本の音楽もよくお聴きになるそうですね。

SHAUN アニソン、J-POP、ロック、インディーズロック、ボカロなどを聴いています。中でも特に好きなのは、90年代にヒットした音楽で、ZARDやB’z、ビジュアル系のロックバンドが好きです。この時代の音楽はメロディーに強度があって、一度聞いたら忘れないぐらいのインパクトがありますよね。

――韓国と日本で活動する上で、何か違いを感じることはありますか?

SHAUN 韓国は、外国の音楽業界のあらゆる要素をK-POPに取り入れて、うまくミックスさせながら音楽を作る傾向があるので、海外のチャートにランクインするアーティストが多いように感じます。日本の場合は良くも悪くも国内向けに制作された音楽が多く、外部が入りづらいように感じます。でも、ソロアーティストやシンガーソングライターのプロモーションや公演に関して言えば、日本のやり方が優れていると感じることも多いです。
――例えば、どういったところでしょうか?

SHAUN バンドやアーティストが段階的にレベルアップできるような会場が多く存在することです。最初は50人キャパのクラブでライブを行っていたアーティストが、1年後には500人キャパ、その翌年には1000人キャパのホール、次は2500人キャパの会場と、少しずつ段階を踏めるようなインフラが整っているんです。韓国の場合は、500人キャパの会場の次は2000人キャパの会場しかないので、一気にハードルが高くなってしまうんですね。そういう意味で、日本の音楽シーンが少し羨ましくもあります。韓国はアイドル市場があまりに大きくなってしまいましたが、ほかにも素敵なアーティストがたくさんいるので、それぞれがもっと自由に音楽を広げられるようになればいいなと思っています。

――アーティストとしても、プロデューサーとしても、SHAUNさんがK-POP業界を益々盛り上げてくれることを楽しみにしています。最後に、日本のファンのみなさんに向けてメッセージをお願いいたします。

SHAUN 今後の日本での活動に関するミーティングを日々行いながら、たくさんの企画を考えていますので、期待していてください。「Way Back Home」日本語バージョンのリリースは始めの一歩で、いつか必ずワンマンコンサートをやりたいと思っているので、これからも応援していただけたら嬉しいです。


(取材・文=奥村百恵)
Sponcered by ワーナーミュージック・ジャパン

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