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女性俳優、“40代の壁”をどう乗り切る? 「格落ち」ではなく「多才」と評価されるに至ったバラエティ進出

  • バラエティに本格進出している女性俳優陣(C)ORICON NewS inc.

    バラエティに本格進出している女性俳優陣(C)ORICON NewS inc.

 『ラヴィット!』レギュラー出演の矢田亜希子、『ポップUP!』の高岡早紀、『ドーナツトーク』他の水野美紀など、ベテラン女性俳優のバラエティ本格進出が増えている。もちろんこれまでも女性俳優がバラエティに出演することはあったが、若手が知名度や人気層を上げるための“ステップ”、もしくは旬を過ぎた俳優の“格落ち”という、負の印象も少なからずあった。俳優としての地位を固めた彼女達が、従来は避けがちだった素の表情や私生活をさらけ出すバラエティに挑むようになった背景とは。

俳優業と「両立」しながら、好感度を左右しうる“コメンテーター”まで務めるベテラン勢

  • 長谷川京子

    40歳でバラエティMCに挑んだ長谷川京子(C)ORICON NewS inc.

 以前より、『グータンヌーボ2』MCの長谷川京子(当時40歳)、子ども番組『シャキーン!』で奇抜な髪型が話題になった広末涼子(当時40歳)、『所さん!大変ですよ』MCの木村佳乃(当時41歳)など、“40代”の女優がバラエティで活躍する姿は散見された。

 だが昨今は、『ラヴィット!』の水曜レギュラー・矢田亜希子(43)、『ポップUP!』の金曜レギュラー・高岡早紀(49)、『ドーナツトーク』MC、『〜夢のオーディションバラエティー〜Dreamer Z』、『突然ですが占ってもいいですか?』MCの水野美紀(48)など、近年さらにその傾向が高まっているように見える。

 時に本音トークや無茶ぶりも求められるバラエティ番組は、従来であれば大物俳優は避けがちな印象があった。特に女性俳優ではそれが顕著であり、番宣以外で人気女性俳優、ベテラン女性俳優らがバラエティに出演すると「これは豪華!」と思わせられる節がある。

 だが今や、共通して“40代”の女性俳優が、バラエティに「シフト」するのではなく、俳優業と「両立」する形で幅を広げている。たった一言放った言葉が炎上のきっかけとなったり、トークの一部抜粋で図らずも叩かれたりしてしまうネット時代において、好感度を左右しうる”コメンテーター“まで務めているのは、その危険に自ら身を投じているようにも感じられる。

かつては“神格化”されていた大物俳優のバラエティ進出、SNS普及で“格落ち”感を払拭

  • 吉永小百合

    70代でも主演を張り続ける稀有な存在・吉永小百合(C)ORICON NewS inc.

 「ここから日本の芸能界のある特性が見えてきます」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「主演俳優として一世を風靡した彼女達。ですが40代以降、役が狭まってきている印象は否めません。シナリオ上、母親、上司役などステレオタイプな型にハメられてしまう場合が多い。虐げられているとまでは言いませんが、シナリオ次第で、40代以上の女性俳優が活躍できる物語はたくさん作れるはずなんです」(同氏)

 変わらず今でも主演を張る俳優と言えば、吉永小百合・沢口靖子・天海祐希・松たか子・米倉涼子・篠原涼子ら。限られた座席を手にした彼女達にしても、配役の傾向は偏っている場合が多い。かつて主演俳優として一世を風靡したベテラン俳優でも、40代以降は出目が限られるという現状はある。

「ただ、実力のあるベテラン女性俳優が脇で美味しい役を手にすると、主演クラスの“若手”が食われてしまう可能性もある。そのバランスも考えてのことかもしれませんが、彼女らの経験・実力を考えれば、現在、“おじさん俳優”が大活躍している現状を見る通り、そのバランスをシナリオ・演出でうまく取って、より面白い作品が作れるのではないかと考えることもある。芸能界は人気商売。若手に人気が集まりがちと言っても、そこだけに甘えていては、日本のドラマや映画が衰退していくのでは…との危惧も多少抱いています」(衣輪氏)
 それでも、これまでは“神格化”されていた女性俳優は、どうしても素の表情を見せるバラエティに本格的に進出することは“格落ち”感があった。だが今はSNSやYouTubeの普及により、俳優界でも親近感が人気に反映される時代になったことも大きいかも知れない。

 実際、矢田亜希子や高岡早紀はインスタグラムで多くのフォロワーを獲得し、長谷川京子はYouTuberとしても活躍、デビュー以来ブログやSNSを一切やってこなかった広末涼子も、今春初のエッセイでプライベート話も赤裸々に綴っている。

バラエティで光るベテラン俳優陣の“経験値”、若手人気に集中しがちな極端構造の改革にも?

 こういった変化は、もちろんバラエティや情報番組界にとっては大歓迎だろう。テレビの視聴者の高齢化が進んでいることもあり、誰もが知っているベテラン俳優が出演してくれることは、願ったり叶ったり。

 木村佳乃の『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)での反響は言うに及ばず。コメンテーターとしても、若手俳優となると当たり障りのないコメントになりがちだが、経験豊富で、すでに好感度を確立しているベテランであれば、含蓄やユーモアのあるコメントが光る。

「ベテラン俳優の方々にも多くインタビューしてきましたが、彼女たちはインタビューに答えるのもうまい。天海祐希さんや米倉涼子さんなどは歯に衣着せず、フランクにまるで友人のように接してくれながらも、記事のキーワードとなる言葉を必ず発してくれますし、宮沢りえさんなどは非常に文学的な表現で興味深く内情を語ってくれる。内田有紀さんも、文字数に合わせて削るのがもったいないほど、すべてが素敵な言葉を次々と発してくださいます。つまり、彼女らはそもそもコメント慣れしている。若手とは“経験”が圧倒的に違うと思い知らされることが多いため、バラエティやコメンテーターとして活躍できるのも当然と言えるかも知れません」(同氏)

 一見すると役柄は狭まったかもしれないが、積み重ねてきた人生の重みが違う。それを“エンタメ”として人に伝えることも、そこで自身の“格”を落とさずしてプライベートを見せる力も、歳を重ね、経験を重ねたことで、すでに身につけている。

 例えば『グータンヌーボ2』では、上品なコメントが多い西野七瀬に対し、田中みな実にばしばし突っ込む長谷川京子は、“姉御キャラ”としての毒舌コメントも角が立たない塩梅で場を盛り上げていた。
  • 水野美紀

    子育て本も出版している水野美紀(C)ORICON NewS inc.

 加えて、日本の映画・テレビ界の不況もあるかもしれない。以前であれば、人気・実力のあるベテランが出演となれば、1本でがっつり稼げるギャラが担保できていただろうが、昨今では大物俳優ですら1本あたりのギャラが削減されている。そうなるとギャラの安い若手にオファーがいくこともあるだろうし、出演したとしても、ギャラは以前より下。ベテランであろうと、役者1本で勝負するには厳しい時代だろう。

 とは言え、役者業と両立する以上、バラエティに魂を売らずして、俳優としての価値も維持し続けるバランス感覚は大変なものだ。最近では俳優1本、バラエティ1本でも「休業宣言」するタレントが多く、どちらか1本でも相当な精神的負担が想像される。だからこそ、どちらも一線で活躍するには、やはりベテラン俳優にのみ成せる業なのかもしれない。そして、人気若手に集中しがちな日本の芸能界において、こういったベテラン勢の新たな活躍が、お互いにとって健全な環境を作り出す可能性に期待したい。


(文/中野ナガ)

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