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オンライン開催で大盛況の『スペシャアワード』を下支え 外出先でプレステができるKDDI『5G SA』とは?

本会場との距離感を感じさせない、一体感のあるやり取りを展開したGINZA 456会場

本会場との距離感を感じさせない、一体感のあるやり取りを展開したGINZA 456会場

 3月15日、オンライン配信で行われた『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2022』(以下/スペシャアワード)。このイベントと連動する形でKDDIは、“5G SA×8K”を利用したサテライトライブイベントをGINZA 456 Created by KDDIで開催した。「5G SA」は、聞き慣れない方も多いと思うが、いわゆる「5G回線」を利用してエンターテインメント界をより豊かにするサービスと言われているもの。これが実生活やビジネスにおいて、どのように私たちの生活に関わってくるのか。この夏以降、私たちの生活でも体験できるという「5G SA」が“何か”を知るために、同イベントで「5G SA」を実体験してきた。

別会場なのに違和感ない中継のやりとり “距離”を感じない臨場感、一体感でライブ演出の多様化も

 そもそも「5G SA」とは何なのか。簡単に言ってしまえば、ユーザーとサーバーの間に「専用道路」を通すようなものだ。これまでは、繁華街など人が多く集まるエリアでは遅延、回線の切断が発生することがあった。これはコア設備に一世代前の4G設備(EPC)を利用している現行の5Gでも生じるが、「5G SA」は新しく5GCというコア設備を利用。ネットワークスライシング技術(=ネットワークの各種リソースを論理的に分割し、さまざまなユースケースに応じて独立したネットワークを構築する)を活用することで、専用道路として、他の通信に影響を受けない安定した通信を実現することができ、5Gのみで成立する技術ゆえにSA(スタンドアローン)と称される。難しい言葉を使っているが、高速・大容量・低遅延通信が可能なため、「低遅延で高画質な音声・映像を安定的に提供できるもの」ということが言える。
  • 8Kカメラでの美しい映像、高音質でライブイベントを楽しむ観客

    8Kカメラでの美しい映像、高音質でライブイベントを楽しむ観客

  • 8Kカメラでの美しい映像、高音質でライブイベントを楽しむ観客

    8Kカメラでの美しい映像、高音質でライブイベントを楽しむ観客

  • GINZA456会場のネットワークを担った「5G SA」対応端末

    GINZA456会場のネットワークを担った「5G SA」対応端末

 そして、この技術を活用したのが今回のイベントだ。『スペシャアワード』の本会場とGINZA456会場は中継が結ばれ、同時にライブ配信されるわけだが、驚くべきことに、このライブ配信は、スマートフォン『Xperia(TM) 1 III』をベースに「5G SA」に対応させた端末がネットワークを担っているということ。これまでのような、専用の大きな機材を利用することなく、スマートフォンを置いておくだけなので、場所も取らなければ設置もシンプル。

 また、本会場で撮影された高精細8Kカメラによる映像は美しく、授賞式で『BEST ROCK ARTIST』に選出されたマカロニえんぴつのライブも、非常に鮮明な音であたかもライブ会場にいるかのような感覚に。さらに驚いたのは本会場と、GINZA456会場での中継のやりとりは、タイムラグは感じられず、距離を隔ててのやり取りとは思えないほど自然な流れ。これによりライブ会場さながらの一体感と臨場感を覚えたのか、最初は緊張していた観客も徐々にリラックス。回線速度によるストレスがほぼないことによって、人と人、心と心の物理的な距離は、さらに縮まるのだと思った。

 KDDI次世代ビジネス企画部グループリーダーの森田恵美氏は、今回のイベントでの手応えを、新技術への期待感と共にこう語る。

「お客さんの反応から、美しいライブ映像を観られておそらくびっくりされたんじゃないかなと思います。また、こういったイベントを運営する側からしても、今までですと、中継車などの専用の設備や回線工事が必要だったのですが、『5G SA』対応のスマートフォンだけあればライブを送受信することができます。つまりコストと手間が大幅に低減させられるのです。『5G SA』対応のスマートフォン一つあれば、どこでも高品質なライブを楽しめるわけで、音楽事業者にとってもエンドユーザーにとってもうれしいサービスになっていると自負しております」

外出先でのプレステから家族団らんの一助まで 日常生活を豊かにする『5G SA』の可能性

ゲームストリーミングの様子

ゲームストリーミングの様子

 この『5G SA』の可能性は音楽ライブだけではない。「この技術を活かすことで、我々の生活そのものも豊かにしてくれる」と、森田氏は語る。その身近な例と言えるのが、人気ゲーム機・プレイステーション(R)との連動。KDDIとソニーは2月28日、5G SA環境でプレイステーション(R)のゲームストリーミングの技術検証に成功したのだ。

「本検証では「5G SA」対応の『Xperia(TM)』を使用し、ネットワークスライシングを活用しました。自宅にあるプレイステーション(R)のゲームを外出先のスマートフォンからでも楽しめるゲームストリーミングを想定しており、宅外の「5G SA」対応の『Xperia(TM)』と宅内のプレイステーション(R)を『5G SA』でつなぎ、安定した配信のためにカスタマイズしたゲームストリーミング専用のネットワークスライスで接続。通常のものに比べ、低遅延かつ安定してプレイすることができました」(森田氏)

 固定回線を引いていない屋外やイベント会場でもプレイが可能。つまり、ゲームイベントでも、『5G SA』対応のスマートフォンがあれば、大きな機材や回線工事などなくとも開催が可能という理屈になる。
  • GINZA456会場で『8K VR』を体験する観客

    GINZA456会場で『8K VR』を体験する観客

  • KDDI次世代ビジネス企画部グループリーダーの森田恵美氏

    KDDI次世代ビジネス企画部グループリーダーの森田恵美氏

 また先述した音楽ライブでは、『8K VR』にも対応。『5G SA』対応のスマートフォンとビジュアルヘッドセット『Xperia(TM) View』を使用し、まるで会場にいるかのようなVR体験も提供された。

「昨今は、YouTubeをはじめ生配信を個人的にやっている方も多いと思いますが、そういった方にも最適。低遅延かつ高画質で、よりリアルタイムで視聴者とつながれます。さらに弊社はバーチャル渋谷やバーチャル大阪などのVR空間を提供していますが、そうしたVR空間上で現在の路上ライブのようなことも可能になると考えます」(森田氏)

 こうした技術はIT関連に強い若者だけにメリットがあるようにも思えるが、そうではない。

「このコロナ禍で移動が厳しくなり、リモートでの“つながり”が増えたかと思います。例えば、里帰りについてもためらわれる時期に、おじいさん・おばあさん、お孫さんが、ネットを通じて動画通信をされることも多いと思います。その際、本サービスを活用すれば、より高画質、より低遅延で、より安定通信が提供されることで、さらなる臨場感を持って家族の会話を楽しむことができる。これだけでなく、『5G SA』にはさまざまな可能性が秘められていると考えております」(森田氏)

 もし、ここにVR技術も加わったら…。物理的な距離はあっても、精神的な距離はゼロに近づき、さらなる家族の団らんが築けるのではないかと思わず想いを馳せてしまう。

 この『5G SA』の一般向けのサービスは今夏以降スタート予定。ハイエンドに見えて、意外と日常と身近な場所にあるこの5G SA。離れた場所でもラグなし、その場にいるような臨場感を味わえ、ゲームやVRも楽しめる。配信も家族の団らんにも一助となる。子ども雑誌の未来予想図や映画で描かれる近未来の世界は、ますます間近に迫りつつある。

取材・文/衣輪晋一
■KDDIのリリース
ソニーとKDDI、5G SAでのプレイステーション (R) のゲームストリーミングと8K映像のリアルタイム配信に成功https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2022/02/28/5910.html(外部サイト)

商用環境での5Gスタンドアローン構成の通信試験を開始
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/09/28/5420.html(外部サイト)
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