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土屋太鳳がミュージカル・アニメに出演! 俳優と歌手、ハイブリッドの歌唱力で魅了
豪華俳優陣も参戦 SF色のある青春エンターテインメント
ほか本作のヒロインで過去を抱える女子高生・サトミに福原遥、AIマニアの理系男子に工藤阿須加など豪華キャストが参戦。音楽はNEWSや、Mrs.Green Appleなどにも楽曲を提供する高橋諒による書き下ろし。錚々たるキャスト・スタッフが作る作品だ。10月27日には同作のサウンドトラックもリリースされ、土屋の歌声をしっかりと聴くことができる。
“息遣い”などの役者としての“芝居”と、さまざまな顔を見せる独自の歌唱
感じられるのは「希望」と「やさしさ」だ。土屋太鳳の声は高く透き通っている印象だが、同曲の歌声では、これが土屋だと知らなければ気づかないほどの独自の世界観を作り出している。「やさしさ」の正体はおそらく“ミックスボイス”だろう。裏声(ファルセット)の一種で、電話に出ると急に声が高くなる、それだ。こうした裏声的技術は、ミュージカル俳優が歌うと「力強く」なってしまう。声域が広がって高いところまで地声で歌うため、この独特の「やさしさ」は出せないのだ。
もう一つのポイントは、歌詞の捉え方が、圧倒的に“俳優”であること。本来のミュージカル俳優は声量が表現力につながるが、土屋は役者として、シオンという少女の役作りをし、理解し、“シオンが歌っている”と分かるよう歌っている。結果、シオンの“世界観”が生み出され、シオンではなければ表せないメッセージソングとなっているのだ。また、通常のミュージカル楽曲より伴奏やドラムが多用されているのもポイント。これにより、同作品が「アニメーションの楽曲である」ということも印象づけている。
次に『Umbrella』。始まりは、往年の名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』の楽曲『オン・マイ・オウン』を思わせる静かなピアノ。そこへシオンが囁きかけるように歌い出す。この楽曲も“ミックスボイス”であり、また土屋が“俳優”であることがより明確になっている。一つひとつの言葉をシオンとして紡ぎ出し、特にラストの「きっと光が射すよ」の部分は歌い手ではなく、明らかに俳優の“芝居”の歌い方に。
4つの楽曲の中ではもっともミュージカルっぽくなく、曲調はまるで違うが、いわば大ヒット映画『ラ・ラ・ランド』の楽曲『アナザーデイ・オブ・サン』のような“映画調”の楽曲だ。最初だけ静かに、寂しそうであり、強弱は少なめで、途中からドラムが入って静かな盛り上がりを見せていく。特に歌詞「雨の音で」以降は、ミュージカルではなく流行歌のような歌い方も見せている。
かように歌でいろんな表情を見せる土屋だが、特筆すべきは息遣いのうまさ。これもミュージカル俳優より俳優が得意な技法であるため、また独特の印象を生むのだろう。また、伸ばす部分にしても、ミュージカル俳優であれば力強くビブラートで表現するところを、土屋は非常にストレートに。ビブラートがゆるく、浅く、早い。無理に“やっている感”を出さないことが、土屋のイメージ“純朴さ”を最大限に表しており、彼女がこの歌を歌う“意味”ともなっている。
ミュージカルアニメの真骨頂 土屋だけが持つ“素朴”さが曲に唯一無二の個性を
これは土屋じゃなければ歌えなかっただろう。先述した通り、土屋の歌い方には“素朴”さがある。素朴で、繊細で、優しい。これがミュージカル俳優だと、優しくは表現できるが“素朴”さはなかなか出せない。ここで土屋は女子高生という少女特有の、伸びしろや未来を感じさせている。ミュージカルのプロをくさすわけではなく、無理をして技量を振りまかないことで、土屋は唯一無二の“個性”を魅せている。
ラストは『You've Got Friends 〜あなたには友達がいる〜』。一曲目の『ユー・ニード・ア・フレンド 〜あなたには友達が要る〜』のタイトルのもじりでも分かるように、一曲目のアンサーソングのような立ち位置を取っており、歌い出しは2曲とも同様。一曲目との違いは伴奏だ。ここではオーケストラが強弱を調整しており、より土屋の表現力が見えるよう作られている。一曲目は土屋のささやきが聞こえるような…四曲目は希望や夢がつまっているような。そうして、土屋は見えてき始めた“光”を歌っていく──。
『ユー・ニード・ア・フレンド〜』に関してはショートVer.でアニメPVが発表されている。映像と歌詞がリンクしており、世界観の一部を知ることができる。では、フルバージョンはどう違うのか。フルVer.では、まず、悩んでいる友達に、「大丈夫? 辛い?」との問いかけが行われる。ここまではショートも同じだ。しかしフルではこの後、「孤独を抜け出すにはこうした方がいいよ。歌ったら気づいてもらえるよ」という“寄り添った”シオンの気持ちが描かれる。これが入ることで、ショート・フル共通の「だから一緒に歌おうよ」というラストへの物語性がより増すのだ。
アニメに登場するショートVer.を、フルで聞くとより“物語”の深みが増す仕組みになっている。是非、劇場でアニメを観た後、これらのフルVer.を聞いてもらいたい。土屋が表現する細やかで繊細な感情が、より強く、あなたの心を光で溢れさせるはずだ。
(文/衣輪晋一)
映画「アイの歌声を聴かせて」オリジナル・サウンドトラック
高橋諒によりフィルムスコアリング式で制作された至高の劇中BGM、主人公シオンを演じる土屋太鳳による劇中歌ほか、咲妃みゆが歌う劇中アニメ「ムーンプリンセス」の劇中歌を収録。
ブックレットにはライナーノーツ、作曲家 高橋 諒×作詞家 松井洋平 対談、土屋太鳳特別インタビュー等を掲載。
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