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“海辺で爽やか”路線から一変、型破りなポカリ新CMに反響 CGでなく“85メートル”のセットにこだわった理由

 ポカリスエットの新CM『でも君が見えた』篇が、公開日にはTwitterトレンド入り、約1週間でSNS上での再生数が1000万回を超える反響を呼んだ。ポカリCMといえば、デビュー間もない新人女優が海辺で爽やかな汗を流すイメージがあるが、これまでと全く違うアプローチで話題となっている。本作に込められた思いとこだわりを大塚製薬・宣伝部の上野隆信氏に聞いた。

演出、出演女優、主題歌すべてが話題に… それぞれを選んだ理由とは

 今作では85メートルにおよぶ巨大セットが組まれた。オーディションでヒロインに抜擢された15歳の若手女優・中島セナが、起伏のある学校の廊下をほかの生徒とは逆方向に駆け抜け、その先の扉を開くと、藤の花が咲き乱れ、桜が舞い散る幻想的な空間が広がるという独特の世界観で描かれている。その映像作品としての完成度の高さに、「こだわりがもはや狂気の世界に片足突っ込んでる」「ポカリの新しい広告えげつない…青春の疾走感と儚さ、全部盛り」「歪んだ空間全てが実物のセット。むしろCGであって欲しかった…」などのコメントが数多く寄せられている。
――本CMはどのようなコンセプトでストーリーを制作されましたか。

CMコンセプトのキーワードは『FIND MY WAY』です。自分の道を進むのは大変だけど、そこにはきっと、たくさんの喜びが溢れている。いっしょに走る仲間がいれば、もっと勇気が湧いてくる。迷いながら、それでも前を向きながら、今を生きるすべての人に、ポカリスエットもまた寄り添い、力になりたいというストーリーを立てて表現しました。

――公開と同時に大きな話題になりました。

「ポカリのCM最高」「このCM、CGじゃなくてセットなの?」「床が動いていてクオリティがすごい」「芸術的」「すごすぎて泣いた」といった、CMの完成度の高さを称賛する声が数多く寄せられました。また、既存のファンの方含め、このCMで初めて中島セナさんを知った方からも、「とてもカワイイ」「笑顔がステキ」 という声と共に、「透明感があり、ポカリにすごく合って る」等、我々にとっても嬉しい反応も多数ありました。初出しの段階では未発表だった主題歌についても、「歌っているの誰?」と、アーティストを特定するコミュニケーションが生まれ、更に話題を呼びました。先に述べた『FIND MY WAY』という企画意図がしっかり伝わってくれたと感じています。

――オーディションに参加した約400名の中から、中島セナさんを選ばれた理由を教えてください。

クールな印象を持つ中島セナさんですが、オーディションの際、質問に応える中島さんは自然体で、とても笑顔が魅力的でした。それでいて、一つひとつの回答から、しっかりと芯のある子だと分かりました。“自分の足で立っている強さ”を持つ、ポカリスエットのヒロイン像にピッタリだと感じ、中島さんにお願いさせて頂きました。

――さらなる話題を呼んだ主題歌のA_oさんは、どのようなイメージで選ばれましたか。

CMを作るにあたり、『FIND MY WAY』を体現し、その世界観を共に作ることのできるアーティストを探していました。そのなかで、ROTH BART BARONさんの作られる音楽と、アイナ・ジ・エンド(BiSH)さんの唯一無二の歌声に強く惹かれ、お2人のタッグによるアーティスト「A_o(エーオー)」が誕生しました。書き下ろして頂いたCMソング「BLUE SOULS」は、"温度が高い星ほど青い光を放つ"――そんな言葉から着想し、青い二つの魂が惹かれ合い、その想いが多くの人に広がってゆく景色をイメージしています。夏に向けて「BLUE SOULS」は進化していきますので、楽しみにしていてください。

「当初はCGプランの話出ていた」“巨大セット”と“風”で作られた幻想的映像美の舞台裏

――CG技術ではなく85メートルにおよぶセットを使われたことにも称賛の声が数多く寄せられていました。セットにこだわった理由は何でしょうか。

当初CGプランの話がでていましたが、「ポカリらしさはフィジカルだから、実際にヒロインの子が走って汗をかくのを表現したい」という話になり、CGをやめて85メートルの動く美術セットを制作いたしました。ポカリスエットのCMは「生命力」を主題としており、“ポカリスエットらしさ”とはリアルな「汗」の表現であり、そこはブランドとしてもとても大切にしているところでしたので、普通では考えられないかもしれないですが、リアルな表現にこだわりました。

――“動く床”にも注目が集まりましたが、平面ではなく、起伏やうねる動きのある床を使われた理由を教えてください。

今回のCMコンセプトである「FIND MY WAY」を表現するにあたり、“自分の道を進むのは大変”という部分を表現したく“困難”を表す意味で波打つ床を作り上げました。動く床をはじめ、演出全体を通して「自分らしく生きる」という事を「何かに抗ってでも前へと進む」ことで表現しようと企画が始まりました。その際の表現手法に選んだモチーフが「風(逆風)」です。高低差のある床や揺れ動く壁、舞い散る花びらや回転する緞帳は、その風を表現するために設定しています。また「フィジカルに」「汗をかく」といった意味でも、平坦な道ではなく高低差のある廊下を作りました。
――幻想的な映像に隠された、細かい工夫やセットの秘密等があれば教えてください。

廊下は、床下に仕込まれた特殊なローラーを、ヒロインが走るのに合わせて人力で動かしています。床だけでなく天井も動かしており、躍動感を感じさせる仕上げにしました。紙吹雪はカメラの後ろ側を走るスタッフが手でも撒いており、テイクによってはセナさんの顔に張り付いてしまうこともありました。途中に出てくる扉が最初から丸く歪んでいるのは、外からの風圧で扉が膨れていることを表現しています。

――本作を通して、どのようなことを伝えたいですか。

キャッチフレーズは「手をのばそうよ。届くから。汗が私をつれていく。」。キーワードは「FIND MY WAY」。自分の道を進むのは大変だけど、そこにはきっと、たくさんの喜びが溢れている。いっしょに走る仲間がいれば、もっと勇気が湧いてくる。迷いながら、それでも前を向きながら、今を生きるすべての人に、ポカリスエットもまた寄り添い、力になりたい。そのことが映像を通して伝えられたらと思います。

「がんばれ」から「リスペクト」に… 時代とともに変わるメッセージと変わらぬ理念

――ポカリCMといえば、これまで若手女優の登竜門的立ち位置を形成され、若者たちの健康的で美しく迸る汗のイメージがありました。そのようなパブリックイメージについてどのような想いがありますか。

ポカリスエットは、ずっと「人が本来持つ力をひき出し、身体を整える飲料」という製品プロミスを守ってきました。それをCMでは「生命力」として感じてもらえる事が、ポカリスエットのCMになると思い表現してきました。CMを見ていただいた方が、出演者のひたむきな汗や躍動感から、「生命力」を感じていただけると嬉しいです。
――同シリーズにおいて、根幹の部分で大事にしている共通項、そして更なるチェレンジとしての本作の実験的要素があれば、教えてください。

ポカリスエットは、2015年から中高生をターゲットにコミュニケーションを行なっています。映像表現やキャッチフレーズは、年ごとに変化してきましたが、「人が本来持つ力をひき出し、身体を整える飲料」というポカリスエットの製品プロミスは、当初から変わっていません。時代とともに変化していく世の中に合わせて、メッセージの伝え方、製品の関わり方を柔軟に変えていくことが大切だと考えています。今回のCMでいうと、大きな変化としては、「がんばれ」と応援するポカリスエットから、「汗をかいているすべての人に、寄り添いリスペクトするポカリ」へとポジションを変え、やさしさを意識した映像表現やキャッチフレーズを目指しました。

――今後どのようなCMを作っていきたいですか。

中高生の日常にどれだけ寄り添えるかが、今後のチャレンジ、そしてポカリスエットが達成したいブランドの姿でもあります。その伝え方は、時代の変化・世の中の空気をリアルに感じ、そのときどき中高生たちにいちばん届く表現を模索していきたいです。時代の流れに合わせて表現を変えていくことは、一見その場限りの瞬間的なアプローチに見えます。しかし、ポカリスエットがそうならないのは、やはり人間の根本的な「生きること」に近い製品であるからだと思います。この先も何十年と変わらない製品プロミスが核にあるからこそ、新しいクリエイティブに挑戦していきたいです。

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