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仲村宗悟の歌詞に込められた思い、音楽的な素養と声優の表現力が花開く
タイアップ曲で初作詞、仲村のメッセージがこもった寄り添う言葉たち
まずはタイトル曲「JUMP」。現在放送中のテレビアニメ『スケートリーディング☆スターズ』エンディング主題歌として制作されたこの曲は、“思い描いていた未来とは違っていても、可能性を信じて進んでいこう”というメッセージを込めたアップテンポのナンバーだ。
タイアップ曲としては、初めて本人が作詞を担当した同曲。架空のフィギュアスケート団体競技“スケートリーディング”に青春をかける高校生たちを描いた物語に寄り添いながら、幅広い層のリスナーを鼓舞するような歌詞は、間違いなくこの曲の軸になっている。どんなに勝ちたいと思っていても、結果が伴わないこともある。どんなにきつくても、思ってもみない出来事があっても、僕らならきっと進んでいける――そんな真っ直ぐな感情をわかりやすい言葉で綴ったリリックには、おそらく、コロナ禍で先が見えない現状や「どんなことがあっても負けないでほしい」という彼自身の思いも反映されているのだろう。“七転八起 日進月歩”など、ノリの良さと強い意味を組み合わせたフレーズからも、仲村のソングライティングセンスが感じ取れるはずだ。
音作りにも積極的に参加、その中心にある表現力豊かなボーカル
そして、すべての中心にあるのは、もちろん仲村のボーカルだ。一つ一つの言葉に生々しい感情を込め、楽曲全体の起伏をしっかりと演出しながら、ポジティブな意志をリスナーに直接手渡すような歌からは、シンガーとしての高い資質が伝わってくる。下積み時代の音楽活動で得たミュージシャンとしての経験、そして、声優として培ってきた豊かな表現力。その二つの要素を併せ持っていることこそが、仲村の最大の強みなのだと思う。「JUMP」のMVでは、真っ赤な衣装に身を包んだ仲村が、大きなアクションとともに全身でパフォーマンス。ボーカルはもちろん、動き、表情を含めた表現力に注目してほしい。
3枚目のシングルで、アーティストとしての本質が露わに
70年代あたりの洋楽ロック、ポップスを想起させるサウンドも印象的。ギター、オルガンなど生楽器の響きを生かした有機的なアンサンブル、ミュージシャンのセンスを生かした演奏からは、仲村の音楽的なルーツを垣間見ることができる。
3曲目の「オブラート」は、アコギと歌を中心にしたオーガニックな楽曲。ソウルミュージックのテイストを感じさせるメロディ、心地よいグルーヴをたたえたアレンジを含め、大人の鑑賞に堪えるポップスに仕上げている。「オブラート」という曲名が示す通り、“透明な膜につつまれ、息ができない”という精神状態を映し出す歌詞も、彼自身のリアルな思いが感じられて興味深い。
1stシングル「Here comes The SUN」、2ndシングル「カラフル」、そして今回の「JUMP」と、作品を重ねるごとにアーティストとしての本質を露わにしてきた仲村。その個性は、声優アーティストのシーンにおいてもしっかりと際立っていると思う。今後の音楽活動にも大いに注目したい。
(文:森朋之)
3rdシングル「JUMP」
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★2/13(土)、ぴあアリーナMMで行われる『オダイバ!!超次元音楽祭−ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2021−』に出演する。
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