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人気VTuber・樋口楓がアーティストデビューした理由「前は歌うことに全く興味がなかった」

 様々なバーチャルラーバ―が動画配信を行うVTuberグループ・にじさんじの樋口楓が、16日にメジャー1stアルバム『AIM』をリリースする。2年前から活 動を始め、音楽活動や声優デビューなど、VTuberの地位向上に大きく貢献しているにじさんじの一員として、年々ファン層を広げている。今年の年初に『NHKバーチャル紅白歌合戦』に出場し、3月には1stシングル「MARBLE」でLantisよりアーティストデビューと、着実に活躍の場を広げている。かつては「歌うことに全く興味がなかった」という樋口に、今作に込めた思いとVTuberの現在地を聞いた。

「失恋ソングで泣く意味が分からなかった」ファンに気付かされた“歌詞”の素晴らしさ

――初期の配信では雑談をされていましたが、「歌ってみた」を始められたきっかけを教えてください。

樋口楓それまではインストの曲ばかり聞いていて、歌うことにも“歌詞”にも興味がなかったし、失恋ソングを聞いて泣く意味が正直わからなかったんです。でも、ファンの方からファンメイド曲を作っていただけるようになって、樋口楓について歌詞を一生懸命起こしてくださって、「私ってこんな風に見られているんだ!」「歌詞ってこんな意味があったんだ!」と歌詞に興味を持つようになり、理解できるようになったんです。それからは歌うのが楽しくなってきました。
  • 16日にリリースされる樋口楓1stアルバム『AIM』

    16日にリリースされる樋口楓1stアルバム『AIM』

――そしてついに1stアルバムをリリース! おめでとうございます!

樋口楓ありがとうございます!内容については、全部相談しました。とくに歌詞。アルバムのキャッチコピーが「17歳の少女が今を叫ぶ」というものなんですけど、歌詞の原案を全部私が発信してクリエイターさんにお渡しする流れで。VTuberを始める前から今にかけて、2年半活動してきた今だからこそ感じること を曲にするということで、いただいた歌詞を見て、私はこの時そうは思わなかったとか、そこまで前向きではなかったとか。生意気ながら、それをフィードバックして作り変えてもらうこともありました。

――“樋口楓らしさ”が歌詞にしっかりと込められているということですね。

樋口楓はい。私自身の足跡…軌跡的なものに仕上がっていると思います。

Lantisに自らプロデュース依頼「“歌わせる”のではなく“歌いたい”曲を作ってくれる」

樋口楓

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

――デビューシングルも含めると、影山ヒロノブさんや光増ハジメさんも作曲に参加されています。Lantisさんらしい布陣ですね!

樋口楓Lantisは、私の好きな『ラブライブ!』のアーティストさんたちもいるレーベルで、VTuberを始める前から好きでした。アニメのワンシーンをダンスに落とし込んだり、その後ろでモニターが鳴っていたりにすごく衝撃を覚えたんです。VTuberの樋口楓、VTuberとして活動してきた記録として残っている樋口楓、あと樋口楓を考察してくれるファンと、いろんな人が織り交ざったライブや音楽での一体感を作れるのはLantisしかいないと思い、自らプロデュースをお願いしました。

――実際にタッグを組んでどうでしたか?

樋口楓Lantisは、樋口楓に“歌わせる”んじゃなく、樋口楓が“歌いたい”曲を作るという方針で、1人のアーティストとして見てくださっている実感がすごくあります。グッズや宣伝まわりにしても、アイドル好きとかアニメ好きに向けたキャラクターっぽいものというよりは、純粋にロックが好きで樋口楓を好きになった人でも受け入れやすいようなデザインを考えて作っていただいて、本当に感謝しています。

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

――アルバムの曲順はどのように考えられましたか?

樋口楓曲順も私のアイデアを採用していただきました。単純に時系列なんですが、聞いていただくと、VTuberを始めていない0の地点から、VTuberを始めて葛藤を感じて、ファンの人と出会って段々前向きになっていけた流れが分かると思います。で、最後に「MARBLE」という曲で2次元と3次元の壁を破っていく目標を叶えていきますっていうテーマも込められました。
  • 樋口楓1stアルバム『AIM』

    樋口楓1stアルバム『AIM』

――タイトル『AIM』(=照準)に込められた思いは?

樋口楓私のAIM(照準)の先には、いつもファンの方が温かく待ってくださっている。常に夢を声に出して配信中にも話してきましたが、「ようやく叶ったね」と声をかけてくださることが本当にうれしくて。ファンの方と一緒に大きくなっている感じがすごく強くて、その気持ちを皆さんに届けたいという思いを込めました。

紅白出演に驚き、VTuber立ち位置の変化を実感「2次元と3次元の壁を破っていきたい」

――昨今はVTuber業界も大きくなりましたが、現状をどう思いますか?

樋口楓いわゆる企業勢というVTuberもたくさん出てきた中で、もともと歌を歌っていた人や声の活動をしていたりゲーム実況していた人がVTuberにチャレンジしたりと、いろんな層が混じり合ってファンの母数が増えたなっていうのはすごく感じます。それでも、まだまだ新しいVTuberが出てくるだろうという期待もあって。誰でも挑戦しやすい界隈になってうれしいですし、そこから見つけてもらうのは大変ですけど、自分たちがお互い認め合える住みやすいコミュニティがたくさんある印象ですね。

――今年の年始には『NHKバーチャル紅白歌合戦』に出演されていました。

樋口楓2年前は『バーチャルのど自慢』に出演させて頂いて、NHKさんに出られるんだ!と驚きでした。最近、芸能人や声優の方とかもVTuberの話をしてくれることが増えて、新しく入ってきて認めてもらえるかわからない文化でしたが、受け入れてもらえるようになったことを実感しています。『バーチャル紅白歌合戦』でも、YouTuberやプロの歌手の人たち、いろんなジャンルの人たちを混ぜ込んだ企画だったので、多くの人にVTuberを知ってもらえる貴重な機会だったんじゃないかと思います。普段アニメやVTuberに興味がない友達や親戚からも反響があって、時代の変化を感じましたね。私の両親にも、最初は意味の分からない活動だと不安に思われているところがあったんですけど、紅白出演はめちゃくちゃ喜んでくれました。

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

――多くのVTuberが出てきた中で、樋口楓さんが人気を保たれている秘訣は何だと思われますか?

樋口楓私自身何かがすごいというわけではなくて、初めてファンメイド曲をたくさん歌って、初めてにじさんじからデビューして、先駆けて生配信型の活動をしたメンバーだったから、たまたま興味を持ってもらえたんだと思います。強いて言うなら、何もない所に飛び込むことは不安もあるかもしれませんが、飛び込む勇気があったということですかね。私はリスナーさんを同じクラスの隣の席に座っているクラスメイトだと思っていて、私のこともそう思って接してねと言っているので、その距離感が良いのかもしれないですね。あまり敬語も使わないし、リスナーさんのコメントをよく拾うので、ゲーム友達を作りたいという私の当初の思いが伝わっていて、友達感覚でいてくれているのではないかなと思います。

――今後どんなアーティストになっていきたいですか?

樋口楓「そういえばアーティストだったよね」と言われるような、一般の方にも当たり前のように聞いてもらえる身近な存在でありたいですね。2次元と3次元の壁を破っていきたいという思いはずっと変わらないので、それぞれのファンが抵抗感なく絡んでくれたらうれしいですね。そのボーダーレスは大変だとは思いますが、それができるのがVTuberだと思っているので、当たり前のようにお互いの文化に触れあえる未来に貢献できたらうれしいです。

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

樋口楓「アンサーソング」MVより(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.

Kaede Higuchi Live 2021 “AIM”
2021年2月19日(金) 東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN
18:00開場/19:00開演
[チケット料金] 全席指定 7,020円 (税込)
※詳しくは12月16日(水)発売のメジャー1stアルバム「AIM」封入の「樋口楓ワンマンライブCDの封入先行受付申込のご案内」をご覧ください。
(取材・文=衣輪晋一/画像提供=(C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)2017-2020 Ichikara Inc.)

樋口楓「アンサーソング」MV

樋口楓「FRONTIER」MV

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