SEKAI NO OWARI、誰も信用していなかった…紆余曲折経た10周年「“売れなくていい”は逃げ」

 今年、CDデビュー10周年を迎えたSEKAI NO OWARI。現在放送中のドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)主題歌の「silent」は、“10年目の覚悟”を持って挑んだ初のクリスマスソング。今や日本を代表するバンドに成長した彼らが、音楽シーンの最前線を走り続けることの意味と原動力、コロナ禍のストレスで殺伐さが増すSNSとの向き合い方、そして今後のバンドのあり方について語った。

覚悟を持って挑んだクリスマスソング、ポップソングの究極のテーマに向き合えたドラマ主題歌

──新曲「silent」をTBS系ドラマ『この恋あたためますか』主題歌に提供するにあたって、ドラマの制作サイドから何か要望はありましたか?

Fukase 「王道ラブソングを書いてほしい」ということくらいでした。特にクリスマスソングとは言われなかったんですが、僕が書きたくなっちゃったんですよ。
Saori でもクリスマスソングにしようって決まるまでにはかなり時間がかかったよ。
Nakajin 話し合いをしているなかで珍しく長い沈黙があったよね。僕らこれまで作ってきたなかで、明確に「クリスマス」というフレーズを入れた曲はなかったんです。
DJ LOVE 「イルミネーション」(2018年)には「緑や赤の綺麗な光」という仄めかすような歌詞があるけど。
Fukase でもあれは逃げだった。クリスマスソングの怖さというものをわかっていたが故のね。
Nakajin クリスマスソングは、DNAに刻まれるレベルに親しまれている名曲がいくつかあって、しかも何年も更新されてないじゃないですか。そこにあえて挑んでいくには、並々ならない覚悟が必要なのは、きっとどの世代のミュージシャンも感じていると思う。
Fukase でも、もう逃げてちゃダメなんじゃないかって覚悟を決めたんですよね。10周年のこの時期に主題歌の話をいただけたのも、クリスマスソングというポップソングの究極のテーマに向き合えるいいチャンスだったんだと思う。
Nakajin 長い沈黙を破って、Fukaseが「クリスマスソングの新定番を作る」って断言した時には、武者震いする感覚がありました。簡単じゃないぞってわかってることに、あえて挑戦するワクワク感というか。しかも誰も反対しなかった。それはやっぱり、ずっと同じ方向を向いて共同作業をしてきた信頼関係があったからだと思います。
Saori 結果、歌詞と曲にはものすごく時間がかかってしまったんですが。
Fukase それは僕が映画『キャラクター』を撮ってたからというのもある。2ヵ月くらい、撮影現場に出ずっぱりだったので。
Nakajin しかも殺人鬼の役をやりながら、よくぞこの歌詞を書けたなという感じでしたね(笑)。

「売れなくていい」って言うのは、逃げだと思う ヒットを目指さないなら試行錯誤する必要がない

──CDデビューをした10年前、現在の自分たちの姿をイメージできていましたか?

Fukase インディーズでリリースした当時の社長が、「お前ら10年は大丈夫だよ。俺が保証する」って言ってくれたんです。「その代わり11年目以降は、この10年で決まるからな」って。僕はけっこうその言葉が腑に落ちたし、その時その時のやるべきことから(自分たちが)逃げなければ今日現在はあると思っていました。

──やるべきことのなかには「ヒット曲を生み出す」も含まれているのでしょうか?

Fukase ヒット曲を出そうと思ってこのバンドを始めたわけではないんです。だけど「売れなくていい」って言うのは、やっぱり逃げだと思う。ヒットを目指さないんだったら、試行錯誤なんてする必要ないんですよ。誰が理解してくれなくても、自分はこの曲が好きだからいいんだってことですから。
Nakajin 自己完結でいいのなら、共同作業もしなくていいしね。衝突や意見のぶつかり合いもなくて済んでしまう。
Fukase でも、それがないとどんどん孤独に陥りそうじゃない? 自分しか信じられなくなって。「売れなくてもいいや」っていう言霊って本当にメンタルに悪い気がする。実際、そういう人も何人か見たことあるし。
Saori SEKAI NO OWARIは4人だけじゃないしね。スタッフも含めてのチームだから。
Fukase そうだよ。自分だけがわかればいいなら、これだけ大勢のスタッフや家族の生活を巻き添えにしてやることじゃない。いろんな人にとっての大切な曲、それが1曲でも多いほうがいい。ヒットというものはそういう考えや意見交換の結果で生まれていくんだと思う。とにかく僕は寂しがりやなので、皆で大きな目標に向かっていたい。高い山だって皆で登ったほうが楽しいですしね。

──10周年の今年は予定されていたドームツアーが中止に。SEKAI NO OWARIがこれだけライブをやらないのも珍しいのでは?

Fukase はい、でもライブに関してはあまり焦ってないです。その分、曲作りに集中する時間もできました。
Saori 今はライブが普通にできる日を粛々と待っている感じですね。一時期はテクノロジーを駆使したバーチャルライブを模索したこともありました。だけどそれは今じゃない。この10年で築いてきたライブの世界観は、配信では再現できないということがわかったので。
Fukase できたとしてもライブの代替ではない、別物になると思う。どんだけ栄養価の高いサプリがあっても、お腹が減ったときにサプリだけで満足できるかっていうと、人間の欲求ってそんなことじゃないと思うし。また僕らのベーシックである「音楽を作って発信すること」はコロナ禍でも奪われてないので、Saoriの言うようにライブができる日を待っているという状態ですね。

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