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映画『天気の子』新海誠×RADWIMPS野田洋次郎×三浦透子インタビュー

(左から)新海誠監督、三浦透子、RADWIMPS野田洋次郎(C)ORICON NewS inc.

(左から)新海誠監督、三浦透子、RADWIMPS野田洋次郎(C)ORICON NewS inc.

歌うことも、お芝居も、同じだと思っている(三浦透子)

――どのようなオーデションだったんですか?

三浦以前出したカバーアルバム(『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』)を聴いてくださったみたいで、候補に挙げていただいたんです。

野田すぐにデモテープを送ってもらったんですが、その後、ね(笑)、だいぶ待たせしてしまいました。

新海1年くらい(笑)。

三浦オーディション中だという感覚もなかったので、提出したものがどうなったか考えることもなく自然に過ごしていました(笑)。

――映画『天気の子』予告映像で主題歌の一つ「グランドエスケープ」を聴いて、ものすごくエモーショナルだな、と思いました。

野田でしょう!

三浦野田さんのディレクションで、ゆっくり丁寧にレコーディングをしていただいたおかげです。出来上がった曲が送られてきて、それを聴いて、私が歌って、また送られてきて…。歌詞の意味やその曲が物語のどこでどんな映像に合わせて流れるのか。どう解釈してイメージをふくらませるか。歌うことも、お芝居も、同じだと思っているので、私にできることを精一杯しよう、それだけでした。

新海初めて透子さんにお会いしたのは、RADWIMPSのスタジオでしたが、その時の印象は、いま私のやるべきことはこれなんだ、というのだけを見て、事にあたることができる人。何かを、まっすぐに運んできてくれる声だと思いました。

映画『天気の子』(C)2019「天気の子」製作委員会

映画『天気の子』(C)2019「天気の子」製作委員会

――2002年、SUNTORY「なっちゃん」のCMでデビューし、その後、映画、ドラマなどで女優として活動を始めた三浦さんですが、もともと歌手志望だったんですか?
三浦いいえ。高校生の頃から、ナレーションのお仕事をいただくようになって。自分で聞こえる声と、自分以外の人に聞こえる声が違っていて面白いな、と声に興味が湧いて、声を使う仕事もやっていけたらいいな、と思ってたんですが、歌に行くとは。ボーカリストとしてCDデビューしたり、『天気の子』でRADWIMPSさんと一緒に歌ったりできるなんて、不思議な縁だなと思います。

――劇中で使われるボーカル曲は、『君の名は。』よりも1曲多い5曲。前作ではRADWIMPSが作った楽曲に影響を受けて、アニメーションを変えた、ということがあったと聞いていますが、今回は?

新海『君の名は。』以上にありました。最初のストーリーは僕が考えたものですが、洋次郎さんの方が、主人公の帆高や陽菜の気持ちを知っているな、と感じる曲をたくさん作ってくれて。それを聴くたびに新しい気づきを与えてくれました。キャラクターをどう動かしたらいいか迷った時も、洋次郎さんが作った曲を聴くと、きっとこういう動きをするだろう、というのを発見していった感覚がありますね。

野田新海監督は最初に仕事をした時と何も変わらず、誰よりもまっすぐに純粋に頑固に、時に不器用に作品と向き合っていて、だから信頼できる。自分とすごくシンクロする部分もあるし、今回もっと高いレベルで交わって、何かを生み出すことができると確信していました。とにかく、僕はやりきろうと思ったし、新海さんの物語を受けて、僕の中から出てくるものは全部渡そうと思った。それだけでしたね、ひたすら作って渡す、そういう作業でした。

映画『天気の子』(C)2019「天気の子」製作委員会

映画『天気の子』(C)2019「天気の子」製作委員会

新海帆高は16歳の高校生なんですが、あの年代特有の衝動、何かが破裂しそうな感覚というのは、誰もが持っていて、多くの人はいつのまにか忘れて、生きるのが楽になっていくんですけど、RADWIMPSの曲、特に今作の曲を聴くと、あの時の僕もそうだった、と、思い出させてくれるし、帆高や陽菜はいままさにそういう年頃なんだ、ということに気付かされる。あの頃の感覚みたいなものを思い出せるような物語を書きたいと自分でも思うんだけど、たぶん自分の脚本のことばだけだとそこまで届かないんですよ。だから音楽を求めてしまう。

野田もしかしたら、お互い様なのかもしれないですよね。『天気の子』の最初の脚本があったから、帆高と陽菜が走り出すシーンがあったから、僕の中のどこかのスイッチが反応して曲が生まれた。お互いを補い合いながらの作業だったので、最高に楽しめたのかもしれないですね。

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