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熱狂するコンテンツを、AbemaTV制作局長・谷口達彦氏

2018年6月取材・掲載記事の再掲載

(C)MusicVoice

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 <エンタメ界の30代 Vol.01>
変革期を迎えているエンターテインメント業界。テレビ最盛期やミリオンヒットが続出した時代に青春を過ごした30代は今まさに、その最前線で活躍している。その30代は今何を考えているのか、その人の考えや業界の展望を、リレー形式でインタビューする本企画。記念すべき第1回目は、インターネットテレビ局「AbemaTV」の編成制作本部・制作局長で、サイバーエージェントの執行役員でもある谷口達彦氏。「AbemaTV」の今を語ってもらうとともに、これまでどのような道を歩んできたのか、パーソナルな部分に踏み込んだ。【取材・企画=山本圭介(SunMusic)/文・撮影=木村陽仁(MusicVoice)】

原体験

 「誰もやったことがない、または出来ないだろうと思われていることに挑戦するのは、もちろん大変です。でも、このコンテンツを提供したらユーザーは熱狂してくれるだろうなという期待感の方が勝っています」

 冷静な語り口だが、言葉の節々から情熱が滲み出ている。谷口達彦氏、34歳。いま、注目を集めるインターネットテレビ局「AbemaTV」の編成制作本部・制作局長だ。

 サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で設立した「AbemaTV」は、ここだけでしかみることの出来ないオリジナルコンテンツと品質の高い映像・配信技術などを強みに急成長している。新しい地図の稲垣吾郎と草なぎ剛、香取慎吾が「ありのまま」と「感謝」をテーマに、“今まで出来なかった”ことを実現していく姿を72時間にわたり赤裸々に放送した完全生放送の特別番組『72時間ホンネテレビ』を始め、亀田興毅選手の現役復帰企画、藤井聡太氏の将棋のオリジナル番組など、斬新な企画で視聴者を釘づけにしている。なかでも『72時間ホンネテレビ』では、開局以来最多の視聴数7400万以上を記録し、それらの功績が認められ、放送文化向上に貢献した作品や個人、団体を表彰するギャラクシー賞でフロンティア賞を受賞した。

 開局から2年、これまで数々の企業が挑戦してきた動画メディアの域を脱し、AbemaTVは、「マスメディア」としての地位を確立しようとしている。

 「手探り状態で始めましたが、ようやくその挑戦権は獲得したのかなと思います」。気を引き締めるように控え気味に語る谷口氏だが、その言葉には自信を裏付けるだけの成果の積み重ねが見え隠れする。

 開局からオリジナルコンテンツ制作に関わっている谷口氏。29歳でサイバーエージェントの子会社社長に就任。サイバーエージェントを、当時史上最年少26歳で東証マザーズに上場させた藤田晋社長の面影を感じさせる。その谷口氏はこれまでどのような道を進んできたのだろうか。

 谷口氏がサイバーエージェントに入社したのは2006年。テレビ全盛の時代に青年期を過ごした同氏がインターネット業界の門を叩くきっかけを作ったのは大学時代。ある携帯サイトが主催するファッションイベントにインターン制度で従事したことだった。

 「インターネットとエンターテインメントの融合に初めて触れたのがその時で、あの時の熱狂や興奮、自分の挑戦したいフィールドがここにあるなと感じられる原体験でした。インターネットの可能性に未来を感じて、先駆者が作り上げた成熟した市場よりも、自分の活躍が産業の成長や企業の業績に直接影響を与えるような仕事に就きたいと思いました」

 同社の内定を得た谷口氏は、藤田晋社長に社長室への配属を直訴する。当時、東京ヴェルディに資本参加していた同社。その業務の中心的な役割を担っていた社長室が、谷口氏の目に「インターネットとエンターテインメントの融合を実践している部署」として映った。希望が叶い社長室配属となった谷口氏に早速、転機が訪れる。2004年にスタートした「アメーバブログ」が、芸能人ブログを強化することになったのだ。谷口氏はその広報(プロモーション)を担当することになった。SNSの走りともいえる「アメーバブログ」。芸能人が直接発信するだけでなく双方のコミュニケーションの場として絶大な人気を得た。まさしく谷口氏が思い描いていた「インターネットとエンターテインメントの融合」だった。

 「子供の頃から慣れ親しんでいた芸能やエンタメ、音楽。芸能人ブログが入り口でしたが、インターネットと掛け合わせることで新しいものが生み出しはじめているという感覚がありました。AmebaStudioというスタジオ施設の運営や音楽ライブ、K-1などの協賛活動、テレビへのパブリシティ仕込みなどを担当していました。そういうリアルやエンタ−テインメントをインターネットと組み合わせることで今までなかったことが少しずつ提供出来るようになっていきました。当時はそういう事に没頭していましたね」

 ここでの経験が谷口氏の決意を固くさせる。

 「インターネットとエンターテインメントの融合を生業にしよう。そこのドメインから軸足はブラさない」と。
 5年続けたアメブロのプロモーション。この頃にはアメーバ事業の役員会にも出席するようになっていた。その中で芽生えた「自身でも会社経営をしたい」という思い。再び藤田社長に直訴する。2013年、芸能人による生放送番組を毎日放送する「AmebaStudio」を運営する子会社として設立された、株式会社アメスタの社長に就任した。29歳だった。谷口氏は社長として「インターネットとエンタ−テインメントの融合」を、さらに踏み込みインターネットとリアルのクロスメディアとして展開していく。

 そして、2015年に「AbemaTV」が開局される。谷口氏は、藤田社長指揮の下で「インターネットとエンターテインメントの融合」を「AbemaTV」でどう実現しようとしているのか。サブスクリプションサービスの台頭など市場環境も含めて話を聞いた。ここからは一問一答で届ける。

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