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軽快なトークもさく裂!ピアニスト・清塚信也、横浜で圧巻のパフォーマンス 『oricon Sound Blowin’ in YOKOHAMA』

 いち押しの新人アーティストを発信していく、オリコン主催の恒例イベント『oricon Sound Blowin’』が『横浜音祭り2016』とタッグを組んで、10月22日、国内外で活躍するピアニスト・清塚信也出演の特別編『oricon Sound Blowin’ in YOKOHAMA』を開催。神奈川県横浜市の大さん橋ホールに集まった約750人の観客を魅了した。

クラシックを清塚ならではのスタイルでわかりやすく紹介

 コンサートは、合唱曲としてもよく知られるバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」のゆったりとした美しい調べからスタート。続いて清塚信也のアレンジによるモーツァルトの「キラキラ星」、ショパンの「ノクターン第2番 作品9-2」という、誰もが耳にしたことのある有名曲をメドレーで披露し、観客を港町・横浜の夕暮れにふさわしいロマンティックな気分へと誘う。この日のコンサートは2部制で行われ、第1部はクラシックで構成。マイクをとった清塚は、「CDがなかった時代に、作曲家たちがどんな思いで楽曲を作ったか。その熱情と伝統を感じながら聞いてほしい」と語り、バッハ、モーツァルト、ショパン、ベートーヴェン、リストの性格や特徴、エピソードをその時代の状況も交えながら解説。その後、ベートーヴェン「ピアノソナタ第23番『熱情』第3楽章」、リスト「愛の夢」、ショパン「英雄ポロネーズ」を演奏すると、会場にはひと際大きな拍手が沸き起こった。
 清塚のコンサートは、笑いを誘うユニークなMCも人気だが、本コンサートでもその魅力をいかんなく発揮していた。たとえばショパンの「英雄ポロネーズ」について、「“ポロネーズ”はポーランドに伝わる踊り」という解説を行った後、「“ボロネーゼ”じゃないですよ、ボロネーゼはスパゲティですからね」とコメントするなど、観客を独特な清塚ワールドに惹き込み、クラシックコンサートには珍しい、リラックスムードを演出した。会場には、チェリストの向井航氏も登場し、清塚のオリジナル曲「祈り」をデュオで披露。次いで、向井による「チェロは人の声、音域に一番近い楽器といわれている」という紹介のもと、エディット・ピアフの歌で、シャンソンを代表する曲として世界中で知られる「愛の賛歌」を共演。演奏後、「チェロは女性の身体に似ていると言われている」と向井が語ると、清塚は、大柄の向井に向かって「それ、バイオリンですか?」と語りかけるなど、仲の良いトークで会場を沸かせた。
 さらに、清塚とは小学校2年生の頃から同じ音楽教室に通っていたという幼馴染のバイオリニスト、山本翔平が登場。まずは、世界的バイオリニスト、クライスラーの名曲「愛の悲しみ」をピアノとのデュオで披露。次いで、バイオリンの名曲として人気のモンティの「チャルダッシュ」を清塚、向井、山本の3人で演奏した。向井は「リハーサルで突然、参加するよう言われたので、楽譜はなく、尺を聞いて書いたメモを見ながら弾きます」と裏話を披露した。

ドラマや映画で使用されたオリジナル曲演奏 人前で初披露する曲も

 ドラマや映画で使われた清塚のオリジナル曲を中心に構成した第2部は、清塚、向井、山本のトリオ演奏による「なぐさめるということ」(連作ショートフィルム「Life works」vol.3「なぐさめるということ」)で開幕。舞台上に設置されたスクリーンには横浜が舞台の男女のストーリーが映し出され、その映像に合わせた展開で、観客を惹きつけていった。さらに映画『ポプラの秋』のメインテーマ「ポプラの秋」、ドラマ『コウノドリ』で使われた「微笑みの生まれる場所」、ドラマ『遠い約束〜星になったこどもたち』メインテーマ「遠い約束」を演奏すると、観客は、クラシック音楽とはひと味違った優しいサウンドに身をゆだねた。向井、山本の2人が退席すると、清塚は「ここからが本番でございます」と語り、笑いを誘った後、「初めて人前で披露する」というHuluオリジナルドラマ『代償』のエンディングテーマ「代償」をソロで熱演。その後、四季をテーマにした「春よ、来い」(松任谷由実)、「summer」(久石譲)、「枯葉」(コズマ)、「Merry Christmas Mr.Lawrence」(坂本龍一)を独自のアレンジで演奏すると、観客は芳醇なサウンドに酔いしれた。

 最後のコーナーでは、TBS系 金曜ドラマ『コウノドリ』で使われた曲を披露。主演の綾野剛と話し合って作ったというメインテーマ「Baby,God Bless You」、人生の輝かしい瞬間を表現した「Brightness」に続き、「原作に忠実にしたかったので、立って弾ける曲を作った」という「Sound Seeker」では劇中と同じように“立ち弾き”を披露。「プロのピアニストからしたら、立って弾くのは大変なだけでなんのメリットもない。原作者にどういう理由で立って弾くのか聞いたところ、『なんとなく』と言われた」と笑えるエピソードを紹介しつつも、息を飲むほどの力強い圧巻のパフォーマンスで観客を魅了した。
 その後、「取り乱してすみません」と笑いをとると、「最後は全力でピアノの素晴らしさを伝えたく、技術の高さ、僕の手の速さ……手が速いというと語弊があるけれど、手の速さを見つけて終わりにしようと思います!」とコメントし、「ガーシュインメドレー」を熱演。盛大な拍手が沸き起こる中、アンコールでは「トルコ行進曲」から始まって、途中、スーパーマリオブラザーズのゲーム音楽などを盛り込んだ、清塚独特のユニークなアレンジを加えたメドレーで観客を魅了し、割れんばかりの拍手喝采の中、笑いと興奮、陶酔の2時間は幕を閉じた。

(文/河上いつ子 写真/鈴木かずなり)

『横浜音祭り2016』とは

 3年に一度の音楽フェスティバル『横浜音祭り2016』は、美しい港の景観をはじめとする観光資源、先進的な文化芸術・創造都市として培ってきた文化拠点やアーティストたちといった横浜の魅力を十分に活かし、横浜の“街”を舞台に開催。誰でも気軽に楽しめ、街中に音が溢れ出し、あらゆるジャンルの音楽と出会うことができる。

 クラシック、ジャズ、ポップス、日本伝統音楽などオールジャンルの音楽を、老若男女問わず様々な人が楽しめるフェスティバル。また、世界レベルのオーケストラや、実力派アーティストによるプログラムなど、横浜の文化のバラエティの豊かさと質の高さを国内外へ発信。

 今年は「スーパーユニバーサル」をコンセプトに、音楽ジャンルのみならず、世代、ジェンダー、プロとアマチュア、障害の有無に関わらず、横浜を舞台に約300のプログラムが楽しめる。

【開催期間】 9月22日(木・祝)〜11月27日(日)
【プレ期間】 5月1日(日)〜9月21日(水)
【会場】 横浜市内全域(横浜の“街”そのものが舞台)

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