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高橋優が歌う桜ソング「シンプルな本来の人間関係を歌いたかった」

 昨年、デビュー5周年を迎えたシンガーソングライターの高橋優から2016年第1弾シングル「さくらのうた」が到着。“シンプルな人と人とのつながり”をテーマにした表題曲は、普遍的な魅力を持った桜ソングとして幅広い層のリスナーに浸透することになりそうだ。今回のインタビューでは「さくらのうた」の制作を中心にしながら、デビュー6年目を迎えた現在の心境、シンガーソングライターとしてのスタンスの変化などについても語ってもらった。「作って歌うという根幹を大事にしたい」という高橋優の現在地をじっくりと感じてほしい。

シンプルな人と人とのつながりを歌いたかった

  • 「さくらのうた」期間生産限定盤

    「さくらのうた」期間生産限定盤

――昨年はデビュー5周年のアニバーサリーイヤーでしたね。どんな1年でした?
高橋優 2015年が始まった時点ではそんなに5周年を意識してなかったんですけど、ベストアルバムが出たり、地元の秋田でフリーライブをやらせてもらったりして、「5年続けてこられたことは、すごくありがたいな」と実感できることが多かったですね。いまは再スタートというよりも、またここから続きをやっていこうという気持ちです。

――歌う内容や音楽的なスタイルが大きく変化するわけではないですからね。
高橋 変えていきたいと思う部分もあるんですけどね。意図的になりすぎず、自分の価値観が変化していくように、自然と変わっていけたらなって。楽曲ごとに何かしらのチャレンジを盛り込んでいきたいという気持ちもありますね。

――ニューシングル「さくらのうた」にも、シンガーソングライターとしての新たな挑戦を感じました。桜ソングにトライしてみようと思ったのは、どうしてなんですか?
高橋 最初から桜の歌を書こうっていう決意があったわけではなくて、結果的に「桜になった」という感じなんですよ。いちばん初めに考えたのは、シンプルな人と人とのつながりを歌いたいなということだったんです。いまって、人との約束やつながりというものがわかりづらくなってる気がするんですよ。複雑化しているように見えるというか…。

――コミュニケーションを求めるあまり、それが負担になることもあるみたいですからね。
高橋 SNSとか、いろんな意味で便利になり過ぎてるところもありますからね。どこからが友達で、誰とどんな約束をして…というのがグチャグチャになってるというか。でも、僕と君との関係のなかで「また会おうね」「お互いに夢を叶えよう」みたいな約束をすることって、本来はすごくシンプルなことだし、ずっと変わらないことだとも思うんです。その気持ちを歌いたいなと思ったときに「ずっと残っていく綺麗なものって何だろう?」ということを考えて。そこから浮かんできたのが桜の花だったんですよね。

――なるほど。確か「太陽と花」(2014年)のインタビューだったと思うんですが、高橋さんが「最近、なるべく友達と会うようにしている」ということをおっしゃってましたよね。“人とのつながり”は、ここ数年の一貫したテーマなんですか?
高橋 おっしゃる通り、ここ何年かはそういうことを痛感してるんですよね。ひとりで作ってひとりで歌ってますけど、“ずっとひとりでいます”みたいな歌は聴きたくないだろうなと思って。時にはひとりで悩むこともありますけど、それよりも友達同士の会話とか、一緒に口ずさんだ歌のほうが思い出に残るじゃないですか。つながりが少ない人生よりも、つながりがたくさんある人生のほうが価値がある気もするし。「一緒にごはんを食べたいな」とか「あいつ、元気かな?」って思えるような人がひとりでもいれば、素晴らしいことだと思うんですよ。そういう本来の人間関係を歌いたかったんですよね、「さくらのうた」は。

MVを手掛けた是枝監督の作品は以前から大好きだった

――「さくらのうた」のMVは映画監督の是枝裕和氏が監修されています。豪華なコラボレーションですよね。
高橋 すごいことですよね、ホントに。是枝監督の作品は以前から観させてもらっていて、『誰も知らない』『そして父になる』も大好きなんです。そんな方とご一緒にできるとは考えてもみなかったんですが、じつはこれも“つながり”なんですよ。2013年に“風とロック”でCARAVAN日本というイベント(東日本大震災の被災地と全国をつなぐために福島、東京、神戸、仙台など全国10都市で開催された音楽イベント)をやらせてもらったんですけど、その土地にゆかりのあるゲストに参加していただいたんですね。たとえば北海道のときは、大泉洋さんと鈴井貴之さんが『水曜どうでしょう』の話をしてくれたりとか。そのイベントを神戸で開催したときに、是枝さんがゲストで、お話もさせてもらったんです。(プロデューサーの)箭内道彦さんと是枝さんもつながってたし、僕もお会いしたことがあるということで、今回のMVの話も決まったんですよね。

――MVにも是枝監督のトーンがしっかり反映されていますね。
高橋 そうですね。今回のMVには、桜の花は一度も出てこないんですよ。門脇麦さんがピンクの衣装を着てバレエを踊るシーンがあって、それが桜の花のように見えてくるっていう…。映像の力ってすごいなって改めて感じましたね。素晴らしいつながりを見せられることが出来て、本当に良かったなって思います。

――2曲目の「運命の人」は切ない恋愛感情を描いたナンバー。この曲ではどんなチャレンジがあったんですか?
高橋 バンドのアレンジがいまだかつてないほどカラフルなんですよ。歌詞がわりと切ないので、メロディ、歌い方、バンドのサウンドは相反するように明るくしたいなと思いました。この歌詞は、僕は実際にこういうポジションになることが多いんですよね、誰かの恋を応援するとか、誰かと誰かを結びつけるキューピッド役になるとか。そういうポジションが好きだし、ここまで自分らしいキャラクターの歌もいままではなかった気がしています。

――高橋さんの素の部分が出ている曲なんですね。
高橋 自分の本当の側面を歌うことって、意外となかったんですよ。自分にとっては当たり前の価値観だったりするんだけど、歌にしてみると思ったよりもおもしろくて。

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