GACKTとして生きる確固たる信念とは

ミュージシャンにとって今は死ぬほど苦しい時代

――そんななかでもし、でき上がってきた楽曲が納得いかないものだったら、どうなってました?
GACKT 最終的にダメだったら、アルバム自体をやめるつもりだった。だってさ、ボクやDJ陣のためでなく、あくまで聴く人たちのためにやっていることなわけで。そのクオリティに達してない作品を出すことを誰も望んでないし、誰の得にもならない。ムリに出してしまっても、返って自分たちの名前が落ちてしまうからやる必要はない。それはDJのみんなわかっていると思うし、音楽は本来、そうあるべきものじゃないか? そこを曲げて商業主義だけに走ってしまっているから、音楽業界はダメになった。実際に現在、そうなっている部分がほとんどじゃん。

――GACKTさんは今年でソロデビュー15周年を迎えますが。この15年間は“商業主義”との戦いでもあった?
GACKT その渦中にいたし。いわゆる売れ線の曲を作って欲しいと言われたことも何度もあったけど、ふざけんなって。だったら他のヤツに頼めよってさ、ひっくり返してた。で、もっとキャッチーにとか、カラオケで歌える曲をって言われるほど、絶対そういう曲にならないようにしようって反発があって、とにかくボクにしか歌えない曲をやっていこうって方向にどんどん進んでいった。でも、ボクにしか歌えないからこそ、ファンも聴いてくれる。マスのビジネスをやって3,4年人気が出て終わるっていうのも、やりたければやればいいけど、ボクにとって「ロック」は生き様だから。だからその生きざまを3年4年で終らせるつもりはないし、誰かにコントロールされるつもりもない。それがGACKTとしての15年であり、その信念でここまでやってきた。

――その信念と方法論によって、唯一無二のスタンスを築いてきたと。
GACKT でも最近、世の中的にニュースとかで「何でGACKTはCDも売れてないのに、あんな生活ができるのか」みたいなことを書いてる記事が載っていて。ボクからしたら、それを書いた人の理解度が低すぎるとしかいいようがない。だってさ、今はもうミュージシャンの活動はCDの売り上げがメインではない。CDの売り上げメインでやってるのは、握手会付けてやってる一部のアイドルだけ。CDバブルはiTunesの出現によって崩れていて、CDを音楽のツールとしているミュージシャンにとって今は死ぬほど苦しい時代。でもボクはこういう状況になるのはわかっていたから、自分が生きていくための音楽ビジネススタイルを確立してきた。で、そこで得た利益でコンサートをやったり音楽活動をやっているわけで、それを知らない人は世の中にたくさんいるんだろうね。

ロックに生きてないと、GACKTなんてやっていけない(笑)

――そんな独自のGACKTスタイルを貫き、成功できた理由は何だったと思いますか?
GACKT 自分の考えていることがはっきりあったからなのか、たまたまGACKTだからできたのかはわからない。ただ、ボクのライブって基本的にものすごいお金がかかってるんだよ。自分のやりたいことを形にしようとすると結果的にそうなってしまうし、赤字になってしまうこともあるけど、ステージを観た人たちは“GACKTじゃなきゃダメ”だって思ってくれる。なぜならボクのライブはすごく特殊だし世界にひとつしかないもので、ただ音楽を聴くのではなくGACKTの世界観、アイディンティティーってところを観て感じもらっている。要は他の人では代用がきかない内容になっているわけで。だから赤字になってもボクは絶対にGACKTとしてのやり方を崩さない。結果的にそのアイディンティティーが別の効果を生み、違う形で利益を生むってこともわかっているから。それがここまでボクがGACKTスタイルを確立できた理由かな。

――GACKTさんはその言動なり主張が、ファン以外の人にも一目置かれていますよね。先日もブログでパリのカフェで体験した人種差別問題について言及されていて。世界中からコメントが寄せられていましたが、そういう“ご意見番”的な立ち位置にいることはどう思っています?
GACKT ボクは、何が正しくて何が間違っているかって是非を世の中の風潮的にどう受け取られるかなんて気にしない。ボクはボクの基準で生きていて、50年後、100年後のひとたちが振り返ったとときに、こんなやつがいたんだって面白がってくれたら、それでいい。ボク自身は、自分の行動が間違っているとは思ってない。ただ、100%正しいことだとは言えないよ。

――間違っていない=信念はひとつだけど、正しい=価値観は多様だということ?
GACKT そう。ボクには、自分は間違ってないっていう確固たる信念みたいなものがあるだけ。多様な世の中の価値観に合わせて生きなきゃいけないとは思わない。実際、自分勝手に生きてるし。で、正直、生きづらいと感じることもある。メディアもボクなら叩きやすいから叩くって連中もいまだにいるだろ?でも、いいやって。だってもし本当に間違ったことをやってたら、とっくにボクは消えていなくなってるだろ?(笑)それにミュージシャンが自分の生き方を提示できなくて、何がミュージシャンだよ。そこを曲げたり隠して生きていくならミュージシャンなんかやめろよ、そんなのロックじゃねーよってさ。そこが多分、ボクの古いところなんだろうし、「ロックって何?」って聞かれたら、「ボクがロックだよ」って言えるとこじゃないか?

――んー、カッコ良すぎます(笑)。
GACKT ロックに生きてないと、GACKTなんてやっていけないから(笑)。ボクはこれからもっと世界を視野に入れていこうと思っていて、だから今は日本に住んでいない。だけど、こうして海外から日本を見ると、未だに“鎖国風土”が続いていてすごく遅れているのがよくわかる。そして、そのためにチャンスを何回も逃しているのもわかる。それって悲しいと思わないか? ボクは日本人の嫌いなところはいっぱいあるけど、日本人としての誇りもそれ以上に腐るほど持っていて。それなら、まずは自分が日本人として世界でやっていこうと思ったから、今、日本を離れている。ただ、決してこれは楽な道ではない。おとなしく日本にいれば叩かれないし、金もかからない。でもあえて楽じゃない道を選ぶ。それがボクの生き方。

――あえて茨の道を行くと。でも20周年、30周年のGACKTさんがどうなっているか。さらに楽しみになります。
GACKT 顔晴る(がんばる)よ。っていうか、顔晴ってる(笑)。

(文:若松正子)
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