オーダーメイドスーツの良さ

“自分らしさ”を表現できるものの一つとしてオーダースーツがある。具体的なオーダースーツの良さは次のポイントだと語る。

1　生き方としてのカッコよさ

――自分らしく、カッコいいスーツとはどんなものでしょうか。

「カッコいいも人それぞれで、美的感覚としてのカッコいいは別の話ですが。ここで言うカッコいいスタイルの1つは、服のトレンドではなくその人のキャラや働き方や環境、ライフスタイルに合ったものを取り入れていることではないでしょうか。もう一つは、時代が変わっても普遍的にカッコいいもの、ベーシックなスタイルのスーツですね」

――「現代人ならでは」の「ライフスタイルに寄り添ったかっこよさ」があるということですね。

「例えば、弊社では超撥水性の「アーマー」というシリーズを出しています。男性でロードバイクが流行しています。通勤にスーツ姿で自転車に乗っている人もよく見かけますよね。例えば自転車乗って、雨上がりの通勤ではスーツの裾が濡れてしまう。オフィスについてパッパと手で払うだけで汚れが落ちるという使い方ができます。また、新作ではコーデューラという高耐久性の素材でスーツを作ります。最近はリュックスタイルのワーカーさんが増えましたよね。肩が擦れてツルツルになったりするのですが、それを回避してくれます。そういうライフスタイルに寄った製品を作っていきたいと思っています」


2、（自分にとって）モノとしてのカッコよさ

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「1回目でドンピシャなスーツが手に入ればそれはそれでOK。オーダースーツの楽しさって、1着目があって、2着目は1着目を改善してよりカッコよくなっていく。3回目も…どんどんかっこよくなっていく。育てる楽しさというか、自分の体形に合わせて進化していく、それが楽しいんですよ。だからこそハマってしまうし、買う度にどんどん自分の洋服が好きになっていくのです」

「やっぱり楽しいですよね。買い物ってこんなに楽しかったっけ？と思います。今、僕が着ているのは緑色のチェック柄スーツです。普通の店ではなかなか手に入らない生地を使っています。僕は細身で丈は短めが好きなんです。これはスーツにすると派手だなと思いますが…でもパッチポケットにすると柔らかい印象になります。ラペルも目立たない感じにして、ボタンのところに色を付けたりして自分なりにカジュアルダウンするカスタムを施しています。好きなデザインでもサイズが合わない、好きなデザインがあっても着れないというのは悲しい。オーダーメイドは買って満足するだけではなく、着て満足できるんです」


３　自分の好みと共に“進化”していく

――モノとしてのかっこ良いスーツとしてはどうでしょうか。イタリア、アメリカ、イギリス、どういったシルエットのものが人気なのでしょうか？

「オーダーメイドなので、そういうスタイルに当て込むのではなく、その人の体形と好み合ったものを提供していくというのがまず第一ですね。そこにお客さんが好みの型に寄せていくことができるものです。

イタリアンクラシコ、ブリティッシュスタイル…どれも洋服としてかっこいいですよね。でも日本人に合うかどうかというとちょっと違うと思っています。例えば、外国人の方と日本人では肩の付き方が全然違う。日本人は前肩、前に肩がついている。外国の方は後ろに肩がついていて、胸が張っている。そうなると仕立て方もまったく異なってきます。体型を無視したものは、着ていても「無理している感」が出てしまって、それが変なシワになったりします。スタイル（型）は固執せずにテーラーと相談しながら、その人に似合ったものを探していくことができます。人気のタイプといえば、30代の男性は細身が好きですから、スリムフィットタイプが非常に人気ですね」


4　体だけでなく自分の“生活”にフィットする

多くのファッショニスタが語るお洒落の本質として、第一に自分を知ることの大切さがある。自分のことが分からなければ、自分に似合うものを選ぶことは難しい。自分という素材を見極める第一のハードルを取ってくれるのがオーダースーツだ。

「お洒落が苦手な方は、自分に何が似合うのかもわからない。そういう方はまず、自分のことを知るといいと思います。ファッションの悩みがある方にとって、お店に来ていただくことは、自分のことを知るきっかけになると思います。オーダーメイドは、見た目のカスタムだけじゃなく、その人がどういう生活をしているのか、バックグラウンドも加味してスーツ作り（選び）を手伝ってくれます。どこに住んで、どういう通勤をして、どんな仕事をどんなふうに…職種も大切ですね。通勤電車に乗る時間はどれくらいなのか、クルマ移動なのか…1カ月後に大事なプレゼンが控えている、ということも選び方のポイントになります」

そうして出来上がるオーダースーツは自分の「体」と「好み」と「生活」にフィットするものになっているはず。体型をカバーして美しく見せてくれ、生活にフィットすることでよりアクティブに前向きになれるツールでもある。