俳優の二階堂ふみ、磯村勇斗が18日、都内で行われた映画雑誌「キネマ旬報」を発行するキネマ旬報社による映画賞「2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン」授賞式に登壇した。ともに出演した映画『月』の演技が評価され二階堂が助演女優賞、磯村が助演男優賞を受賞した。 実際の障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の小説『月』を原作にした同作で、重度障害者施設で働く陽子を演じた二階堂と、さとくんを演じた磯村。二階堂は「最初に制作のお話をお聞きしたときは本当につくっていいものか、すごく考えた。事件が起きてからも、いまだに存在していて我々は当事者であるという意識で社会の問題に向き合う事が大事なのでは。忘れ去られたり、過去の事件になっていくことはよくないこと。作品に参加して、私も自分自身に問い続けたい」は身を引き締める。 『月』のほかにも『正欲』など計6作品での演技が評価されての受賞となった磯村だが、今作では殺人犯という難役に挑戦。「やるとを決めたら覚悟をもって最後まで撮り切りたいと。作品に入ってしまったら誰になにをいわれても背負っていくつもりでいた。なにがあっても受けて入れようと怖いものはなかった」と決意。「“第2のさとくん”がこの映画を見て生まれてしまったら危険だ、と監督と話し、そうならないように試行錯誤で臨みました」と回想した。 そんな初共演の磯村に二階堂は「難しい責任を伴う役。覚悟を感じる場面も多くありましたし、特別な人間とか、異常者ではなく一人の人間として浅はかな人間がそこに存在していることにしっかり向き合われて演じてらっしゃるな、と思いました」と称え、磯村は「役は嫌な女ですけど本人はすてきな役者さん。中身もやわらかくて賢明であり、僕はとても尊敬する役者さんだったので今回、初めての共演で非常にうれしかったです」とリスペクトしていた。