AKB48やEXILE SHOKICHIが“革新的パフォーマンス”で魅了、『イノフェス』が示した近未来の音楽ライブ

 J-WAVEと筑波大学が共催する、テクノロジーと音楽の祭典『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2019 supported by CHINTAI』が、9月28日、29日の2日間にわたり東京・六本木ヒルズの各所で開催された。4度目の開催となる今年も、近未来を体感できるプログラムが目白押し。なかでも今回は、挑戦的だった音楽ライブに焦点を当て、そこでの“イノベーション”をレポートする。

ストーリー性を持たせた演出でテクノロジーが活きる

 音楽をベースにさまざまなカルチャー情報を発信するFMラジオ局・J-WAVEと、宇宙など最先端の研究実績で知られる筑波大学がタッグを組む『INNOVATION WORLD FESTA』(通称:イノフェス)は、「少し先の未来に触れ、未来について考えるきっかけを与える」ことを目的にした体験型フェス。

 今年も時代を切り拓くイノベーター、クリエイターらのトークセッションや最先端テクノロジーを駆使したライブパフォーマンスなど、2日間にわたり40以上のプログラムを展開し、2日間で計2万人に近未来体験を提供した。

  • 「ブラックホールと異次元空間への旅」というテーマで展開された、本間希樹氏とVERBAL、サッシャによるトークセッション

    「ブラックホールと異次元空間への旅」というテーマで展開された、本間希樹氏とVERBAL、サッシャによるトークセッション

  • AR三兄弟、ラブレターズ、藤原麻里菜らによる、笑いとテクノロジーの新エンターテインメント“テクノコント”

    AR三兄弟、ラブレターズ、藤原麻里菜らによる、笑いとテクノロジーの新エンターテインメント“テクノコント”

 なかでも今年、熱い盛り上がりを見せていたのが、アーティスト×テクノロジーによる音楽ライブだ。プログラムの数自体が増加したということもあるが、どの演目もただ単にテクノロジーの凄みを利かせるのではなく、しっかりと「ストーリー性」を持たせた演出が行われ、それによって没入感を得られた観客が多かったからではないかと推測する。

EXILE SHOKICHIは、史上初“1曲ごとに香りが異なる”演出で魅了

 国内外で注目を集めるバーチャルタレント・キズナアイは、この日のために用意された専用のLEDディスプレイを使って縦横無尽のライブパフォーマンスを披露。曲によって衣装の早着替えを行ったり、「SkyHigh」という楽曲では、大空をイメージした映像のなかでイキイキ歌い踊ったりと、彼女の魅力が存分に発揮されていた。
 4人組バンド・パスピエは、筑波大学の学生クリエイティブチーム・Nuink.(ニューインク)とコラボレーションし、インタラクティブなAR演出で拡張したスペシャルライブを披露した。まず、ライブスタート時にスマホでQRコードを読み込む。すると、自分自身がスマホ内に閉じ込められてしまうという展開となり、そこから脱出する条件として、ライブを思い切り盛り上げることを要求される。ボーカルの大胡田なつきが、「(脱出するために)盛り上がっていきましょう」と観客を煽ることで会場が一致団結し、場内がぐんぐんヒートアップしていった。
  • QRコードを読み込むと、スマホ 内に閉じ込められてしまうという設定。ライ ブを盛り上げることで脱出できるというス トーリー仕立ての演出で観客を盛り上げた。 なお、ライブ終了後は、画面が割れ脱出成功

    QRコードを読み込むと、スマホ 内に閉じ込められてしまうという設定。ライ ブを盛り上げることで脱出できるというス トーリー仕立ての演出で観客を盛り上げた。 なお、ライブ終了後は、画面が割れ脱出成功

  • パスピ エの大胡田なつき

    パスピ エの大胡田なつき

 今年“史上初”の挑戦を行ったのは、EXILE SHOKICHIと嗅覚演出を提供するScent Buzzだ。今年6月に設立されたScent Buzzは、米津玄師やNissy(AAA)などのアーティストライブや、ファッション、スポーツ系イベントですでに多数の実績を持つベンチャー企業。今回、「1曲ごとに香りが変わる」という部分が初の試みとなった。会場となる六本木ヒルズアリーナには、香りの噴射機を設置。そして、会場に流れ込んでくる自然風をうまく利用することで、曲ごとの香りの入れ替えが可能になっているという。

 香りはSHOKICHIが全7曲のイメージに合った香りをそれぞれセレクト。ロック調の「Underdog」には、ピンクグレープフルーツの香りを。リゾート感のある「サイケデリックロマンス」には、南国風の香りをチョイスし、観客たちは視覚、聴覚、嗅覚と全身でそのパフォーマンスに酔いしれていた。

AKB48は“選抜メンバー”が気鋭のクリエイター陣とコラボ

 indigo la Endは、歌詞を自動で美しくビジュアライズする「Lyric Speaker」とコラボレーション。ステージ上の「Lyric Speaker」と大型LEDビジョンが連動することで、川谷絵音(Vo&Gt)が歌う歌詞が美しく浮かび上がり、メロディーと共に観客席を優しく包み込んだ。
 AKB48は「イノフェス選抜メンバー」19名(【AKB48】岡田奈々、岡部麟、小栗有以、柏木由紀、倉野尾成美、坂口渚沙、向井地美音、武藤十夢、村山彩希、矢作萌夏、横山由依/【NMB48】白間美瑠、村瀬紗英、吉田朱里/【NGT48】本間日陽/【STU48】石田千穂、今村美月、門脇実優菜、瀧野由美子)が、さまざまな分野のクリエイターとコラボ。全編テクノロジーで演出した、この日限りのエンタテインメントショーを披露した。

 ライブは、m-floの☆Taku Takahashiが新曲「サステナブル」(9月18日発売)やヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」など、彼女たちの楽曲をリミックスし、DJスタイルでプレイする形で展開。『SUMMER SONIC』等の大型フェスに出演する映像クリエイター集団・BENZENE by VMTTがVJ(ビデオジョッキー)を手がけ、映像演出でステージを盛り上げた。
 LEDとダンスを組み合わせた演出等で知られるクリエイター・藤本実率いる「m plus plus」とのコラボでは、今回のために製作された新型の“LED手持ちフラッグ”を使い、メンバーが息の合ったパフォーマンスを披露。

 グループの中でもダンスを得意とする村瀬、今村、門脇は、物体の動きをデジタル的に記録するモーションキャプチャーのセンサーを装着。J-WAVEから生まれたAIキャラクター「AI Tommy」の映像をコントロールしながら、他のメンバーとダンスでコラボレーションした。

 また、SYMDIRECTによるインタラクティブ演出も。特設サイトから応援メッセージを送ると、メッセージの1つひとつが大型ディスプレイにさまざまなエフェクトが加わった形で表示されるというもので、メンバーはファンが投稿する「メッセージ=映像」を背景に歌とダンスを披露。メンバーとファンとの絆を深めるような、一体感のあるパフォーマンスとなった。
 これから5Gの時代に向け、ライブ・エンタテインメントの可能性はどんどん広がっていく。パフォーマンスを観ながら、改めてこのイベントが果たす役割の大きさを感じると共に、さらなる音楽ライブのイノベーションに期待が膨らんだ。

Photo by 山川哲矢、安西美樹

提供元: コンフィデンス

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