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内野聖陽、恋人役の西島秀俊にラブコール「あなたは私にとって最高のシロさん」

 よしながふみ氏の漫画(講談社『モーニング』連載中)をドラマ化した『きのう何食べた?』(テレビ東京系)で、ダブル主演の内野聖陽と西島秀俊が、『第16回コンフィデスアワード・ドラマ賞』で主演男優賞を受賞した。本作では、これまでの骨太で男くさい役とはひと味違った“オネエ”キャラの矢吹賢二役(通称ケンジ)を熱演し、話題を集めた。撮影ではアドリブも多かったと言う、恋人役の西島とのやり取りについて語った。

「シロさんにとって癒される存在」でいたいなぁと常に思っていた

――主演男優賞を受賞しましたが、まずは率直な気持ちをお聞かせ下さい。
内野 オスっぽい武骨な役柄が多かったので、僕のなかに眠る女性っぽさを楽しくお披露目できる機会に恵まれ、かつ皆さまに楽しんでいただくことができたのなら、心から嬉しく思います。最初はこんなにも話題になるとは思いもよりませんでしたが、今を生きる皆さまの心に届くような作品作りに参加できて本当に幸せです。支えてくださったすべての人に感謝の言葉を伝えたいです。

――同性カップルの日常と食を描いたドラマですが、ケンジ役のオファーが来たときは、どのように思いましたか?
内野 漫画を読んでみて、素敵な話だし、オモシロいと思いました。なので即答に近い形で、特に悩みませんでしたね。内野聖陽のこういう役柄を見てみたいとプロデューサーに言われ、「え、そうですか?」と乗せられて挑戦した感じです。男性同士の生活がごく自然で、性描写を一切禁じ手にした作風だったので、それも多くの方に受け入れられた要因の1つだと思います。特に、“家めし”を大切な人と食べるということが、現代を生きる人々に自然と響いてくる内容だと思いました。

――原作や台本を読んだ感想はいかがでしたか?
内野 漫画を上手くドラマ用に再構成されているところが見事でした。

――内野さんが演じたケンジはいわゆる“オネエ”キャラで一見わかりやすいタイプ。その振り切った演技は、たくさんの方から反響がありました。改めて振り返り、ご自身の役についてどのように感じていますか?
内野 他者と住んでいれば必ずぶつかる嫉妬や尊敬や優しさや意地悪さなど、取り繕うよりそれを自然に出して良い役だったので、掴んでからは楽でした。ただ、自分は賢二さんのようなO型的な資質があまりないと思いこんでいたので、最初はシロさんの方がわかるなーって感じでしたね。でも、人間は多面体なので、皆さん、どちらにも共感できるのではないかなと思っています。

――ケンジという役を演じるに当たり、どのように役を作っていきましたか?
内野 同性愛者の方と西島さんと一緒に食事をしながら、ざっくばらんにお話を聞いたくらいです。あとは、今まで人生でお会いした人から受けたものから影響されていると思います。ケンジはシロさんにとって大型犬のような存在。ご主人さまが大好きでたまらないのです。この図式は、最初から僕のなかであって、そういう「シロさんにとって癒される存在」でいたいなぁと常に思っていたような感じです。

――では、ケンジと似ている部分はありましたか?
内野 男のなかにも、昔なら女々しいと一蹴されてしまうような、繊細な迷いや悩み、ダークな嫉妬心などたくさんあって、私自身のなかにもそういう部分は少なからずあったんじゃないかなと思っています。

シャイでかわいい西島のうれしそうなリアクションにアドリブも

――内野さんが、ケンジという人間を演じていてとても楽しそうにも見えました。実際はいかがでしたか?
内野 ハードなスケジュールにもかかわらず、撮影現場の覇気が高く、女性はもちろん、男性スタッフたちのなかにもこのテーマを“日常あるある”な感じで捉えていた人も多かったのかなと。とにかく、西島さんとのセッションも楽しかったので、そういう空気感は自ずと画面に出たのではと思います。

――彼氏役の西島さんとは、演じる上でどんなお話をしましたか?
内野 大人がごく自然に入っていけるような、あざとい表現は抑えて自然体な作品にしたいねぇ……というようなことを言ったような……忘れました(笑)。

――西島秀俊さんとの最終話でのくだりなど、アドリブが多かったようですが、共演者や監督との話し合いのなかで、アドリブが増えていったのでしょうか?
内野 まず最初に監督さんから自由にやってくれと。そのうち、シャイでかわいい西島さんのうれしそうなリアクションを見てるうちに、どんどんぶっこんでいくのが楽しくなってしまいました。

――今振り返り、西島さんとの撮影を思い出すといかがですか?
内野 食事でNGを出す度に、「ほんっとごめ〜ん」と言い合っていたのを思い出します。とにかく、食事のシーンは、一日中食べていましたから。“NGを出したらイカン!”という気持ちで演じていました。

――シロさんの友人である小日向大策役の山本耕史さんや、その恋人・井上航役の磯村勇斗さんの演技も注目されました。2人についてはいかがでしたか?
内野 それぞれに役柄を楽しんでいるようにお見受けしました。

――撮影の空き時間は、どのように過ごしていましたか?
内野 僕の場合は、リビングでのシーンが大半でした。食べるシーンが多いので、間食をしないように過ごしていました(笑)。

――では最後に、今あらためて撮影を振り返りシロさん役の西島秀俊さんに言いたいことはありますか?
内野 あなたは私にとって最高のシロさんでした。いつも作品づくりに前向きなあなたがいたからこそ、良い現場になっていったのだと思います。心から感謝しています。

内野聖陽最新出演作品 舞台『最貧前線』

太平洋戦争末期、小さな漁船・吉祥丸に徴用の知らせが届きます。ほとんどの軍艦を沈められた日本海軍は、来襲するアメリカ軍の動静をそれでも探ろうと、漁船を海に駆り出して、見張りをさせようとした。特設監視艇となった吉祥丸に乗り込んだのは、元々の漁船の船長(内野聖陽)と漁師たち、そして艇長(風間俊介)とその副官(溝端淳平)の軍人たち。航海経験に乏しい軍人たちは、鯨を敵潜水艦と間違えたり、嵐になる兆しを察知できなかったり、海の職人である漁師たちとことあるごとに対立してしまう。やがて軍人たちは、漁師たちの知識や行動力に一目置くようになり、徐々にお互いに信頼感を芽生えさせていきますが、戦況は厳しく、吉祥丸は海の最前線ともいうべき南方の海域に、わずかな武器を携えて急きょ派遣されることになった――。

原作:宮崎駿『最貧前線』(「宮崎駿の雑想ノート」より)
脚本:井上桂(水戸芸術館ACM劇場芸術監督)
演出:一色隆司
出演:内野聖陽/風間俊介/溝端淳平/ベンガル/佐藤誓/加藤啓/蕨野友也、/福山康平/浦上晟周/塩谷亮/前田旺志郎
8月27日〜29日の神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホールを皮切りに、全国8ヶ所、横浜、豊橋、水戸、上田、新潟、東京、兵庫、大和にて10月まで上演される。

提供元: コンフィデンス

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