SILENT SIREN・あいにゃんが語るバンド活動と絵本作家の両立

 今年4月、4人組ガールズバンド、SILENT SIRENのベース・あいにゃん(山内あいな)が、絵本作家としてデビューすることが発表された。幼い頃から絵を描くことが好きで、大学も芸術系の学部に進学。バンドのキャラクター、サイサイくんをデザインするなど、アートワークでも活躍してきた彼女が、なぜ絵本作家を目指したのか、本人に話を聞いた。

絵本作家へのきっかけは 番組の企画だった

「きっかけは、『サイサイてれび!おちゃの間サイサイ』(CSテレ朝チャンネル1)で、メンバーが何かにチャレンジする企画があるんですけど、その中でプロデューサーさんに言われたのが絵本だったんです。全然想像していなかったので、この案が出てきた時はびっくりしたんですけど、すぐにやるからには本気でやろうと思いました。ただ、コンテストに応募して、賞を受賞して初めて、絵本作家への道が開けるので、そこはプレッシャーでした」
 
 未知のジャンルである絵本を描いていくために、絵本教室を開き、自らも絵本作家として活躍している先生に弟子入り。アドバイスをもらいながら、<絵本作家への道>はスタートした。
「絵本と言ってもいろいろな画法があるので、どういったものがいいのか、自分に合うものがなんなのか、アドバイスをもらいながら考えていきました。最終的に、自分の手書きで、柔らかい感じが印象的な水彩画に決まりました。あとは、キーワードを5つ与えられて、それを入れた起承転結のある物語を作る特訓もやりましたね」

完成した絵本は中学時代の自分を投影

 こうしたトレーニングをしながら、ライブやレコーディングの合間をぬって、プロットを作り、絵を描き、1冊の絵本を完成させた。処女作『にゃんにゃんにゃんたのだいへんしん』には、彼女のある思いが込められている。
「絵本には、伝えたいメッセージがないと、気持ちも熱も伝わらないと思って、中学生の頃に抱いた気持ちをテーマにしました。物語は、忍者見習いの猫が自分に自信がなくて、家を飛び出し、周りにいる自分にないものを持っている動物たちに憧れて、変身していくというもの。でも最後には、『自分の大切さ』や『家族愛』に気付いていくという物語なんです。実はそれって私が中学生の時に体験した話が元になっています。中学生の頃、自分に自信がなかった私は、クラスの中でかわいい子に憧れて、見た目やしゃべり方もその子の真似をして変わりたいって思っていた時期があったんです。でも全然なりきれなくて、それは自分自身じゃないし、うまくいかなかった。誰かになるんじゃなくて、自分は自分。自分自身に自信を持つということがテーマの一つ。『家族愛』も、今自分が好き勝手できるのも、家族の支えがあるから。そういう実体験からテーマにしようと思いました。
 あと、構成を考えていくうえで気を付けたのは、テンポ感。小さい子でもページを楽しめる、ページをめくりたくなるような感じになるようにしました」

受賞の瞬間は泣きました

 この絵本は、『第1回CHICORA BOOKS(チコラブックス)キャラクター絵本出版大賞』で優秀賞を受賞。見事絵本作家への道が開けた。
「受賞を聞いた時は本当に嬉しくて泣きました。メンバーも自分のことのように喜んでくれて、『よっ、先生!』って呼ばれました(笑)」

 現在出版に向けて準備を進めているという本作。今後は音楽活動と絵本作家という二足のわらじで頑張っていきたいという。
「自分の脳内にあるもので何かを生み出すという意味では、ベースラインを考えることと絵本を作ることは同じジャンルだと思っています。ただ、絵本に関しては、基本的に一人で考えて一人で生み出すもの。バンドはメンバーの意見が聞けるという点で違いはありますね。私にとってはどっちも没頭できるものなので、これからも両方頑張りたい。
 『にゃんた』はシリーズ化していきたいですし、グッズ化や、バンドとのコラボもやってみたいですね。あと、メンバーを動物化して、『にゃんた』の世界に入れて作品を作ったり。大事に生んだので、大切に育てて、一緒に成長できたらと思っています」
【作品概要】
絵本『にゃんにゃんにゃんたのだいへんしん』
発売予定(時期未定)

提供元: コンフィデンス

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