常盤貴子、不安を乗り越えた覚悟のドラマ主演 数字偏重の業界へ一石
清水の舞台から飛び降りる覚悟だった連ドラ出演
常盤貴子ありがとうございます。連続ドラマでの主演があまりにも久しぶりだったので、すべてが不安で、清水の舞台から飛び降りる覚悟でした。でも、プロデューサーさんたちのほうが私よりずっと不安だったと思います。その勇気に本当に感謝です。スタッフの皆さんに捧げるという感じですね(笑)。この役柄は、自分自身とリンクする部分があるからこそ、出演がすごく大きな決断だったのですが、その決断をこういう形で評価していただけたことは、ひとつ恩返しをさせていただくことができた思いです。
――蓮見杏子を演じられて感じたことはありますか?
常盤貴子脚本家の篠崎(絵里子)さんがすごくチャーミングな女性を書いてくださって、それを演出の塚原(あゆ子)さんがさらに魅力的に作り上げてくださいました。こういう監督と出会えたことが、久しぶりの連続ドラマに出演した喜びにもつながったくらい。こんな素敵な出会いがあるなら、またやってみたい!と思いました。蓮見杏子は、篠崎さんのセリフと塚原さんの素敵な演出のおかげで、私がもともと思っていた役柄よりもグングン膨らんでいきました。
――原作のほうがクールなキャラクターですね。見やすくなったうえに、共感できるようになりました。女性は、結婚して次のキャリアをあきらめてしまう人も多いなか、法廷に立つ杏子さんが水を得た魚のように活き活きしていくところが、この人お仕事好きなんだって思えて楽しかったです。
常盤貴子私も最初はクールに考えていたんですけど、塚原さんがそこに幅を持たせてくださいました。それが視聴者の方々に見やすくなったんだと思います。私も演じていてすごく楽しかったです。あれだけセリフ量があるのに、覚えるのが楽しかった。もちろん、大変だと思うこともあったんですけど、苦痛ではなかったですね。
ドラマ界に大きな一石を投じた革新的なドラマだった
常盤貴子本当にいい最終回でしたよねぇ!アメリカの原作サイドとの打ち合わせがあるなかで、通常より1ヶ月早くクランクインしていたおかげで、ちゃんとした結末を納得いくまで考えていただけたのではないでしょうか。演じている私たち俳優も、現場のスタッフも、視聴者の方々も、みんなが納得する結末だったということは、奇跡に近いと感じています。
――昨今では、これだけきちっと脚本を固めて進めていくのは、意外と少ないのではないでしょうか。
常盤貴子そうですね。さまざまな評価をいただき、環境も整っていたことで、このドラマの世界観を最後まで貫くことができたのだと思います。
――ドラマが終わった後、唐沢寿明さんもおっしゃっていました。昔は視聴率しかなかったけど、今の時代はいろいろな評価軸があると。
常盤貴子私たちにとっては一番幸せな環境でした。「これがやりたい」と思っている人たちの世界観のなかで生きられることに喜びと充実感がありました。ブレていないって。視聴者のみなさんの記憶にもしっかりと残ってくれたらいいなぁ。今回、こういう革新的なドラマを作れたことは、大げさかもしれませんが、ドラマ界に対して一石を投じられたのでは?と思っています。