DJ和のコンピCDが異例のヒット、なぜ30代の思い出を刺激するのか?
『ラブとポップ』のコアターゲットはDJ和と同世代
「今、30歳前後の僕らの世代は、小・中学生の頃までは情報が遮断されてました。中3くらいでガラケーを持つようになって、高校に入ると皆が持っている感じ。遠出するわけでもないから生活圏も狭くて他人の影響を受けやすい。クラスという狭い世間の中で音楽を共有していました。だから、その頃にヒットした曲を聴くと、当時の思い出がふわーっと膨らんで、懐かしさが増すんですね。今の若い子たちは、ほぼスマートフォンを持っているので、SNSを通して趣味の合う人と繋がることができるから、クラスの仲間と無理に話を合わせる必要もない。そういう意味では、00年代までがギリギリ、みんなの共通の音楽、共通のJ-POPが存在していた時代なんじゃないかと思います」(DJ和/以下同)
ヒット曲に法則のない00年代は多様化の時代
「サービスエリア」という、非日常空間での実演販売DJイベントが大好評
今回、彼は、自身の原点とも言える海老名サービスエリアでの実演販売DJイベントを行った、同所は、08年のゴールデンウィークにデビュー作『J-ポッパー伝説』を携えてDJ実演販売を行った思い出の場所でもある。
「僕らは下り方向でプロモーションを行うことが多いんですが、あそこは、これから行楽に出かけようとする人が立ち寄る場所ですよね。トイレに行ったり、屋台で腹ごしらえしたり。車から降りた瞬間からワクワクする非日常な空間、観光地なんです。だから、CDの実演販売もけっこう自然に入り込めている気がしました。「久々にCDを買った」という声を聞くと、SAってそういう衝動を起こさせることができる場所なんだなって」
J-POPミックスへの理解を深め、新たな楽しみ方を提案した10年の歩み
「今の30歳前後くらいまでが、ギリギリ衝動買いした経験のある世代だと思います。これだけのヒット曲が入っていたら、本当は安すぎるくらいなんですが、CDを久々に購入する層に関心を持ってもらうには、「お得感」の創出は重要だと思って、思い切ってこの価格にしました」