工藤大輝も太鼓判、気鋭のアイドル・フィロソフィーのダンスが聴かせる“本物の音楽”

 4人組アイドルグループ・フィロソフィーのダンスの両A面シングル「イッツ・マイ・ターン」&「ライブ・ライフ」が初週1万3440枚を売り上げ、最新9/10付週間シングルランキング7位に初登場。今年2月発売の前作アルバム『ダンス・ファウンダー(リ・ボーカル・バージョン)』の初週1772枚から7倍以上となる好セールスで、自己最高の順位、初週売上枚数を記録した。この急激な躍進の背景には何があるのか? さっそく探ってみた。

“アイドル通”Da-iCE・工藤も注目

 同グループは2015年、コンテンポラリーなファンク、R&B、哲学的な背景を持つ歌詞をアイドルに歌わせるというコンセプトのもと、音楽プロデューサーの加茂啓太郎氏がオーディションとスカウトで集めたメンバーによって結成。同氏は、これまでに氣志團やNUMBER GIRL、Base Ball Bear、相対性理論など、数々の人気バンドを輩出してきた新人発掘・育成のスペシャリストだ。

 彼女たちは肩書きこそアイドルだが、結成時のコンセプトにもあるように、ハイクオリティな楽曲・パフォーマンスを持ち味とするグループ。いわゆるアイドルファンだけでなく、幅広い音楽ファンにリーチすることができており、その証拠として、定額制音楽配信サービスのなかでも特にコアな音楽好きが集まる「Spotify」でも、彼女たちの楽曲はよく聴かれている。

 また、“アイドル通”として知られ、自身のラジオ番組やネットコラムでもアイドル界の考察を行う、5人組ダンス&ボーカルグループ・Da-iCEの工藤大輝も、フィロソフィーのダンスに一目置く。週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』6/25号のアイドル特集に“有識者”として登場した時には、「今後さらに躍進すると思うグループ」として彼女たちの名前を挙げ、「メンバーがバンド出身で、アーティストとしてのスキルがすごくあるので、一歩抜けているなと感じています」(工藤)と力説していた。

躍進の突破口を開いた音楽フェス

 工藤の予想通り、今回大きく飛躍したフィロソフィーのダンスだが、ポイントはどこにあったのだろうか。

 これについて加茂氏は、「『Tokyo Idol Festival』、『サマーソニック』、『@JAM』等のフェスで噂を聞いて観に来てくれたオーディエンスがライブを観てファンになり、リリースイベントに参加してくれたのが主な要因かと思っています」と、今夏の多彩な音楽フェスへの参加が突破口を開いたのではないかと分析する。

 ライブが高評価を受ける前提には、もちろん楽曲の良さがある。毎回、楽曲作りには並々ならぬこだわりが注がれているが、新曲も同様。「サウンド・プロダクションのクオリティーを上げるため、サカナクションなどを担当する浦本雅史氏、ノーナリーブスなどを担当する兼重哲哉氏にミックスをお願いしました」(加茂氏)というように、細かなチューニングが行われている。

パッケージにもこだわり満載

 また、加茂氏自身が“コレクター”であることから、パッケージや収録内容にも強いこだわりが。新作「イッツ・マイ・ターン」&「ライブ・ライフ」は全3形態で発売されているが、A面の2曲以外は、カップリングもDVD(映像特典)もジャケットも、全て異なる仕様になっている。
  • 「イッツ・マイ・ターン」 &「ライブ・ライフ」 フィロソフィーのダンス

    「イッツ・マイ・ターン」 &「ライブ・ライフ」 フィロソフィーのダンス

 過去にはアナログ盤という形式でのリリース実績もあるが、「アナログをリリースするのは良い音で聴いて欲しいという理由がありますが、“フィジカル・メディア・フォーエバー”という気持ちで作っています」と加茂氏は語る。

 かつて昭和の音楽シーンは職業作家たちがアイデアと知恵を持ち寄り、アイドルを通じて、最新かつハイクオリティな“本物の音楽”を次々と世に送り出していた。そのDNAは今も受け継がれてはいるものの、当時のような世代を超えたスタンダードが生まれることは非常に少ない。そこにはもちろん社会全体の変化もある。ただ、コアな音楽好きが聴いても、ライトなリスナーや子どもが聴いても、みんなが“面白い曲”と思える音楽が少なくなったということも要因のひとつだろう。

 そのなかにおいて、“フィロソフィー”を名に冠し、シーンに登場したアイドルたちが、ハイクオリティな楽曲と、高いダンススキルなどをもってして、ある種の“衝撃波”を起こした。その背景にあるのはメンバーたちや、加茂氏をはじめ、彼女たちを支える音楽のプロたちの強固な音楽への“哲学”と、ストイックな“音楽愛”だ。

 アイドルだけではなく、アーティストとしても高いポテンシャルを持ったグループメンバーの実力と才能。加えて、プロデューサーの加茂氏をはじめ、グループを支えるスタッフ陣の音楽への熱き情熱、愛情が、幅広い層の心を捉え始めている。

(『コンフィデンス』9/10号掲載)

提供元: コンフィデンス

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