「およげ!たいやきくん」は童謡? 誕生100周年を機に再評価の機運高まる

童謡の魅力を改めて伝えつつ“新たな童謡”シーンにも期待
 そして今、童謡は大人が聴いて歌って楽しむものになった。

「安田姉妹は最近、地方の人口1万ほどの町など丁寧に廻ってコンサートを行っています。町の方から声をかけていただいて訪ねますが、観客層は60〜70代の方が多く、『ふるさと』や『赤蜻蛉』に泣いてしまう方や、初めてコンサートに来たという方も多いんですよ。さらに由紀さんは幼稚園を廻って、童謡をお母さんたちに教えてもいます。お母さんたちが歌って子どもに伝えないと童謡文化が途絶えてしまう、と言っています」(ユニバーサルミュージック PrimeMusic 部長 佐藤芳裕氏)

 80年代に童謡の復興とブームを起こした安田姉妹だが、彼女たちに続く新しい歌手にもそろそろご登場願いたい。勝手ながら、クラシックとポップスをつないできた平原綾香や、あの声が歌ったら?と想像するだけで震える小田和正、けれんみのない歌声の浜田真理子など、どうだろう?

 また、近年はさまざまなアーティストがコンサートで童謡・唱歌を歌っている例も多く、そうしたものを集めたコンピCDなども欲しいし、イクメンなパパを対象にした「おとうさんの童謡コンサート」なども企画して欲しい。さらに、若いリスナーを対象にAbemaTVあたりが童謡合唱団を結成してドキュメンタリーを見せてくれたら? などと希望する。

童謡を未来につなげる ニュースターへ! ベイビー・ブーが「小田原童謡大使」に

5 人組コーラスグループ、ベイビー・ブーが今年 7 月、童謡100 年に際し、北原白秋ゆかりの街で ある神奈川・小田原市より、先輩グループのボニー ジャックスと共に「小田原童謡大使」に任命された。 「ハモネプ」をきっかけに話題を集めたベイビー・ ブーは、新境地を求め11 年より新宿の「うたご え喫茶ともしび」に通い始め、童謡唱歌なども自 身のレパートリーに。童謡唱歌を歌い継ぐニュー スターとして注目を集めている。

5 人組コーラスグループ、ベイビー・ブーが今年 7 月、童謡100 年に際し、北原白秋ゆかりの街で ある神奈川・小田原市より、先輩グループのボニー ジャックスと共に「小田原童謡大使」に任命された。 「ハモネプ」をきっかけに話題を集めたベイビー・ ブーは、新境地を求め11 年より新宿の「うたご え喫茶ともしび」に通い始め、童謡唱歌なども自 身のレパートリーに。童謡唱歌を歌い継ぐニュー スターとして注目を集めている。

 さらに言えば、歌い継ぐだけでなく、新しい童謡ヒットもほしい。かつて白秋が暮らした小田原市の「童謡大使」に今年選ばれた5人組男性コーラス・グループのベイビーブーは、うたごえ喫茶を活動の拠点にして「花が咲く日は」をコツコツ歌い続けてヒットの兆しが見えたり、ユニバーサルミュージックは一般公募で新しい童謡の作詞コンテストを開催。こうした新しい動きにも期待を寄せたい。

 駆け足で童謡の歴史と現状を辿ったが、個々の曲や詩を作った人たちの物語や背景を知ると、さらに興味が高まる。それだけでもドラマや特番ができそうだ。童謡100年、さらなる注目が集まってほしい。

(文/和田靜香)
【参考文献】
●『童謡の百年』著・井手口彰典/筑摩選書
●『童謡誕生100 年記念誌「明日へ」』編集・日本童謡協会/銀の鈴社
●『童謡 心に残る歌とその時代』著・海沼実/NHK 出版
● 2018 年6月28日(木)付 日本経済新聞・夕刊・10 面 広告特集「エンターテインメント・クロスロード」

提供元: コンフィデンス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索