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アジア各国で中国進出が活発化、カギ握る「IP開発」隣国の動き

 中国のIT企業アリババ、テンセント等の勢力が拡大し、中国のコンテンツマーケットが大きく変化している。同時に中国進出を狙うアジア各国の動きも活発化しているが、そのカギを握るのが「IP開発」だ。小説や漫画原作をアーカイブ化する組織を設立した台湾政府担当者らに話を聞いた。

中国の動画配信サービス、利用者は5億7900万人

 中国インターネット情報センター(CNNIC)によれば、中国の動画配信サービスを利用するユーザー数は、インターネットユーザー全体の75%を占める5億7900万人。中国の巨大IT企業アリババやテンセント、バイドゥが運営する動画配信サービスが大きくシェアを伸ばし、競争も激化している。それに伴い、差別化を図るオリジナルコンテンツ制作のニーズが高まっているが、そのカギを握るのが「IP =知的財産権」の開発だ。

 3月に香港で開催されたエンタテインメントコンテンツ国際マーケット『香港フィルマート』では、中国本土のキーマンを招いたパネルディスカッションが行われ、IP開発に関する話題が集中した。

中国のIP開発を話題に「香港フィルマート」でパネルディ スカッションが行われた

中国のIP開発を話題に「香港フィルマート」でパネルディ スカッションが行われた

 バイドゥの動画配信サービス「iQiyi」のヴァイスプレジデント・Chen Xiao(チェン・シャオ)氏は、「中国国民は原作(小説や漫画)を元に映像化したドラマを求めています。満足度の高いオンラインドラマをいかに作ることができるかが、ヒットのカギになっています」と述べた。アジアをはじめ世界各地で実績を作っている中国の制作スタジオCiwen Media のプレジデント・Ma Zhong Jun(マー・チャン・ジュン)氏もこれに同意し、「人気のある原作者はさらに人気を集め、テレビも映画も人気原作者のIPを取得することに力を入れています」と強調。

 今後の対策として、中国のスタジオCroton Cultural Mediaでエグゼクティブ・プレジデントを務めるLiu Zhi(リュウ・チィ)氏は、「一般受けするドラマだけでなく、ニッチな層に刺さるドラマもあります。そのため、どのターゲット層にヒットさせる作品にしたいのかをより分析し、その上でIPを取得していくことがこれからは大事なのではないでしょうか」と指摘した。

 こうした中国の現状に、海外勢も目をつけ始めている。なかでも隣国で中華圏の香港、台湾は言語や文化の利点を活かし、早くも動きを活発化させている。

中国でも小説、漫画原作を映像化に繋げる流れを

 台湾政府は、中国進出を視野にIP開発の先行投資を開始。台湾文化部が全面サポートする形で、出版前の小説や漫画の原作をアーカイブ化する組織「XMediaMatch(X stands for cross)」を立ち上げた。

『香港フィルマー ト』にブース出展 した台湾政府がサ ポートする組織 「XMediaMatch」。 来場した台湾文化 部 課長の陳文? 氏がインタビュー に答えた

『香港フィルマー ト』にブース出展 した台湾政府がサ ポートする組織 「XMediaMatch」。 来場した台湾文化 部 課長の陳文? 氏がインタビュー に答えた

 台湾文化部 課長の陳文?(チン・ウェントィン)氏は組織化の狙いについて、「台湾で出版された小説や漫画原作の多くが映像化に繋がっています。一本化したプラットフォームを作ることで、さらにその流れを加速させていきたい」と話している。プラットフォームには恋愛、ミステリー、ファンタジー、スリラーなど多岐にわたる分野の130作品が並んでいる。テレビや映画、アニメーション、ゲーム分野での展開を見据えて、国際コンテンツマーケットに出展し、コンテンツバイヤーに売り込む活動にも力を入れている。

 ブース出展していた先の『香港フィルマート』の会場内で担当者に話を聞くと、「130作品のなかで『剣魂叙初』というファンタジー作品は多くのメディアから引き合いを受けていて、まずは中国でのドラマ化を目指しています」と、早くも反応があることを明かした。

 香港も中国市場にフォーカスする動きが加速している。独立系の制作プロダクションに所属する、ある香港人プロデューサーが中国向けにオリジナルドラマ作品を開発する理由を教えてくれた。

 「中国作品のクオリティはまだまだ低い。ドラマを制作できる人員不足の問題もあります。だから、我々香港人が中国市場でヒットする可能性のある作品を開発することは大きなビジネスチャンスになります。今、企画中の作品は都会を舞台に仕事と結婚の選択に悩む女性たちを主役にした総制作費3億円のもの。キャスティングも重要です。アンジェラベイビーなど香港と中国で活躍する女優の起用を考えています」

 日本が中国進出を目指していくうえで、先行する台湾、香港勢の戦略から学べるものは多そうだ。

文/長谷川朋子

(『コンフィデンス』 18年6月4日号掲載)

提供元: コンフィデンス

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