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手塚理美、芸能活動50周年を機に「こだわりなくす」

 ドラマ『明日の約束』(17年10月期放送/関西テレビ・フジテレビ系)で、ヒステリックな“毒親”藍沢尚子を好演した手塚理美が、『第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で「助演女優賞」に輝いた。今年は彼女にとって、芸能活動50周年となる記念イヤー。息子たちの“巣立ち”を機に、一昨年から再び女優業に邁進中の手塚に、本作での役作りや今後の活動スタンスについて聞いた。

精神的にも体力的にもキツかった“毒親”役

――「助演女優賞」おめでとうございます。まずは今のお気持ちをお聞かせください。
手塚理美 今回は感情の起伏が激しくてヒステリックな母親という、全身全霊で入っていかなければ乗り切れないような難しい役でした。ですので、途中から撮影外の時も尚子さんが乗り移ってくる感じがあって、家に帰ると息子に「尚子さんになってるよ!」なんて言われたこともありました(笑)。精神的にも体力的にもキツイ部分もありましたが、今の時代を切り取った素晴らしい作品、また素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと出会い、こうして賞までいただくことができ、努力が報われたというか、本当に嬉しかったです。お話しをいただいた時は、息子と抱き合いました。

――役作りに苦労されたということですが、どういったプロセスで役に寄り添っていったのでしょうか?
手塚 毒親というか、そもそも「母と娘」って同性というところで、多かれ少なかれどこかに確執みたいなものがあると思うんですよね。今回の場合は、母親がただひたすら娘を愛している、そこをまずテーマに決めて、ブレないようにやっていこうというのがまずありました。毒親といってもいろいろな演じ方があると思いましたが、実際にそういうお母様をお持ちになる方などからは、今回の役のような親御さんもいるというお話しを聞いていましたので、おこがましいですけれど、私が思いきりさらけ出すことで、視聴者の皆さんに改めて親子関係を考えていただいたり、世間にはこういう親子もいるんだよということを知っていただいたりできたらいいなと思いました。怖いとか、震撼したとかいろんなことを言われましたけど(笑)、やるからには徹底的に尚子さんを演じようと思いました。

――ガツンといこうと。
手塚 そうですね。毎回出し切るのでクラクラしながら。でも、日向(井上真央)に対してあんな風に感情をストレートに出す女性なので、疲れた表情で演じてはいけないんだろうなこの人は、って思いました。

『明日の約束』で“毒親”藍沢尚子を好演した手塚理美 (C)関西テレビ

『明日の約束』で“毒親”藍沢尚子を好演した手塚理美 (C)関西テレビ

娘役の井上真央とは「なるべく話さないようにした」

――あれだけお母さんに言われているのに、日向は帰ってくるんですよね。よくあの家に帰れるなと思っていましたが、手塚さんはどうお感じになっていましたか?
手塚 私も最初に台本を読んだ時、私だったら帰らないですって言いました(笑)。でも日向の場合は、神社で日向をかばったことで尚子さんの腕が不自由になってしまったがために無視できなくなってしまったというか、普段はヒステリックに言ってくるのに、ケガをしてしまったことに対して尚子さんは日向を責め立てることがないですし、そういうところでまた心を掴まれてしまったんでしょうね。お互いに依存し合っている親子なんだろうな、とは思いました。

――撮影を振り返って印象に残っているシーンやセリフはありますか?

手塚 やっぱり、毎話の最後の日記のシーンですよね。あそこがすべてを物語っていて、「必ず守るように、ママは日向が大好きです」っていう。あとは最終回で、日向が初めて尚子さんに歯向かって家を出て行くシーンは、すごく印象深いですね。(井上)真央ちゃんとの最後のシーンというかね。

――カメラが回っていない時、井上さんとはどのように接していらっしゃったんですか?
手塚 やっぱり今回は、ほとんど話をしませんでした。多少は冗談も言いますけど、なるべく話をしないようにしていましたね。ただ私が、8話くらいから台本というか、どういう風に演じていったらいいか悩み出しまして。やっぱり、本庄さん(工藤阿須加)を怒鳴りつけるあのシーンが、私の中で生理的に受け入れられなかったんですよね。なので8話以降は、真央ちゃんやプロデューサーさんと細かくお話しをさせていただきながら、撮影していったという感じでしたね。特に後半はすごく苦しかったですが、それだけ役にのめり込むことができたということだと思います。

いろんなことを実験しながら成長していきたい

――息子さんたちの“巣立ち”をきっかけに、16年頃からセーブを解いて再び女優業を積極的に行っておられますが、今作を経た手塚さんが次にどのような役をやられるのかすごく興味があります。
手塚 私、今年で芸能活動50周年を迎えるんですね。今までは結構こだわりみたいなものがあったんですけど、今度はそのこだわりをなくしていこうかなっていう。日本人だから髪は黒いほうがいいかなとか、役者としてもいろんな役をやるためにニュートラルにしておかなきゃいけないなとか、いろいろ思っていたんですけど、一度「私はこれだ」みたいなものを、50周年を機に出したいなと。なので、髪の毛もバッサリと切って染めてみました。今回『明日の約束』という本当に良い作品に恵まれたので、この先また違った役を皆さんの前でお見せしたいと思いますし、いろんなことを実験しながら成長していけたら良いなと思います。

(写真:鈴木かずなり)

提供元: コンフィデンス

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