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脚本家・岡田惠和が語る“朝ドラ”「独特のリズムがあり、まるでトライアスロン」

 オリコンのエンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』が主催し、有識者と視聴者が共に支持する質の高いドラマを表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」が17年4月期(第9回)の結果を発表。「脚本賞」は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』を手がけた岡田惠和氏が受賞した。その岡田氏に、有村架純の起用理由や個性的なキャラクターのキャスティング、同ドラマ脚本についての裏話を語ってもらった。

キャスティングにすごく自信があったので、どの側面からでも脚本が書けました

――脚本家賞を受賞したことについて感想をお願いします。
岡田 NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』で脚本家賞に選んで頂けたことは、非常に嬉しいことです。苦しい時も多々ありましたが、私自身できる限りの仕事をしたと思っております。もちろん、出演者や演出陣に助けていただいたので、その総合評価でもあります。また、ドラマの視聴者に脚本を評価していただけたことに、とても誇りを感じています。

――連続ドラマにかける時間も違いますし、放送が終了して改めてどうでしたか?
岡田 どちらが楽というわけではないのですが、朝ドラには独特のリズムがあります。陸上に例えるとトライアスロンのようで、ある種マラソンよりも大変でした。朝ドラの脚本は3作目ですが、こんなにも注目された中で脚本を書いたのは初めてで、いつの頃からか視聴率を20%獲ることがノルマのようになっていました。連続ドラマは、日々結果を受けて制作しているので、数字によって現場の空気やモチベーションに影響しないことを願っていました。後半良い結果も得られ、辛いことがあっても、視聴者の方がいてくれたことが、心の支えになりました。

――『阪急電鉄』で有村架純さんと初めてお仕事されていますが、有村さん起用に至った経緯を教えて下さい。
岡田 私が希望しました。谷田部みね子は主人公ですが、台詞が殆どない回や他の出演者のエピソードだけの回もありました。そうした出演しない回でも存在感があり、物語の真ん中にいられる人でないといけない。そういう意味で有村さんに主演をお願いしましたし、見事に応えてくれたと思います。

――最初は、10年間の出来事を放送する予定だったと、制作統括の菓子浩氏より聞きました。
岡田 もう少し先の出来事まで書きたいと思っていました。でも、物語を書き進めるうちに、「それから2年が経ちました」と歳月を経るのはどうなのかと。極論を言えば、1年間の出来事でもいいくらいで、繊細に人物像を書きたいと思った結果、歳月を経ることを止めました。想定では、結婚後の話も考えたんですよ。

――続編を希望する声もあります。
岡田 『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)のように『ひよっこ』は、生きている限りいつまでも続く物語です。もし、続編をやらせていただけるなら、スピンオフではなく、本編を書きたいです。というのも、スピンオフのようなことは、本編の中である程度できたと思っています。例えば兼平豊子がクイズ番組で優勝する回も、スピンオフそのものです。それよりは1人ひとりのその後を描きたいです。キャスティングにすごく自信があったので、どの側面からでも脚本が書けました。脚本家としては、ありがたいことですよね。それに、若手の俳優さんも自分の役が活きていると思うと、モチベーションも上がり、より魅力的なキャラクターになる。良い意味で、相乗効果を得られました。

――朝ドラでは、あまり見たことのない展開に新しさも感じました。
岡田 3作目の朝ドラなので、ある種ベテラン扱いをしていただき(笑)、脚本の内容に対して強い要望はなく、自由にやらせてもらえました。自分1人でがんばっているヒロインよりも、普通の女の子の日常をオリジナルで描きたかった。それは脚本だけでなく、キャスティングに関わるなど体制的にも恵まれました。

昭和の街を再現できるロケーションが殆どない、撮影場所が障壁

――過去2作品の経験が、今回の朝ドラで活かされたことはあります?
岡田 どんなに経験しても楽勝で走るマラソンランナーはいないのと同じで、辛くなる時期は必ずあって、そのタイミングはこれまでの経験からわかります。

――ちなみに、どの辺りが辛くなる時期ですか?
岡田 中盤を過ぎたあたりですかね。昭和の東京が舞台になっていますが、今の東京には、昭和の街を再現できるロケーションが殆どない。基本的にスタジオで撮影するしかないので、決まった場所の中で物語を展開させていかないといけない。毎回、撮影場所が障壁となります。そろそろ昭和村を東京にも建ててもらいたいですね(笑)。そうした条件の中で面白く描くには、会話劇にするしかない。私は、会話劇を得意としているので、むいているのかもしれませんが、ロケーションがあると、もう少し動きのあるストーリー展開ができました。

――菓子氏より伺いましたが、『ひよっこ』の核は、ビートルズの来日と聞きました。
岡田 ビートルズの来日は、以前より時代設定の中で書きたかった出来事です。戦後20年を迎え、日本の過渡期であった時代の混乱ぶりはどうだったのか……日本武道館で外国人アーティストがライブを行うとなると批判の声もあったと思います。

――岡田さん自身は、ビートルズ来日時の記憶はありますか?
岡田 姉とテレビを観ていた記憶はあります。みね子の弟・進ぐらいの年齢でしたので、あの感じでぼんやりと観ていましたし、東京五輪もかすかに覚えています。ビートルズが来日した時代の興奮はわからないのですが、姉のテレビへのかじりつきぶりは覚えています。その当時、まだまだ日本が未成熟だった感じが描けると思ったし、ビートルズの存在は知らないけれど大騒ぎになっていたのかなと。現代では、カルチャーショックを受けることはあまり無いことですが、その当時は、個人個人の温度差によっても違ったと思います。

――その役割を峯田和伸さんに託されましたが、すごくリアルさを感じました。ほぼあてがきなのでしょうか?
岡田 『ひよっこ』は、殆どあてがきです。若手の俳優さんは、オーディションに立ち会わせていただきましたし、それぞれのキャラクターを想定して書きました。宮本信子さんや白石加代子さん、和久井映見さんや峯田和伸くんは、私から出演をお願いしたので、脚本を書く上で責任を感じました。

――先程、「和久井映見さんの助演女優賞受賞が嬉しい」と言っていましたが。
岡田 サッカーでいうボランチ(守備的な選手)のような役が和久井さんと峯田くんで、2人のキャラクターがドラマを支え、良い感じに空気を変えてくれました。永井愛子は、最初から和久井さんを想定して書きました。これまでいろんな女性を書いてきましたが、すごく素敵な役が書けたと思っています。それを演じた和久井さんが、とてもチャーミングなキャラクターに育ててくれて、視聴者からも愛される役になりました。これまで朝ドラでの助演賞は、ヒロインの相手役とその家族が選ばれることが多かった。主人公の周辺にいる役でも賞が獲れたことは、出演者の励みにもなりますし、嬉しいことですね。

――今後、興味のあるテーマや作品はありますか?
岡田 またチャンスがあれば、朝ドラの脚本を書きたいです。何歳まで続けられるかわかりませんが、ドラマの脚本を書いていたいですね。そして、1度限りではなく、毎クール『コンフィデンス・ドラマ賞』の候補に上がるように頑張りたいと思います。

提供元: コンフィデンス

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