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『リバース』P、藤原竜也は「本当に天性の役者だと思った」 脚本家とドラマ制作の裏側語る

有識者と視聴者が共に支持する“質の高いドラマ”を表彰する、オリコンの「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」。第8回目となる17年4月期は、湊かなえのベストセラー原作を藤原竜也主演で連続ドラマ化した、TBS系金曜ドラマ『リバース』が「作品賞」及び「脚本賞」をW受賞した。今作のプロデュースを担当した新井順子氏と、脚本の奥寺佐渡子氏は、『夜行観覧車』『Nのために』に続き、湊作品の連続ドラマ化は3作目。同じく脚本を務めた清水友佳子氏も『夜行観覧車』に続き、2作目の参加となった。原作は10年前に起きた親友の死をめぐるヒューマンミステリー。最後の1ページで、すべて真相が明らかになる衝撃のラストが大きな話題となった。連ドラ化にあたり、脚本作りには相当な苦労があったという。新井氏、奥寺氏、清水氏に改めて受賞の喜びの声を聞くとともに、制作秘話を語ってもらった。

サスペンスだけど、笑えるシーンを入れられたのも楽しかった(清水)

――作品賞&脚本賞のW受賞となりました。まずは今のお気持ちからお聞かせください。
新井 素直に嬉しいです。作品賞は全スタッフ・全キャストの力がひとつになったからこそ頂けるものだと思いますので、何より嬉しいです。それに脚本づくりは試行錯誤を重ねに重ね、2人には本当に苦労をかけたので、脚本賞も同時受賞できたことにも安堵しています(笑)
清水 本当に苦しい作業でした(笑)。でも、これだけ苦しんで、それでもやり切れたことだけでも満足していましたが、その結果、こうして評価していただくことができ、これからも書いていって良いんだな、と思うことができました。本当に嬉しいです。
奥寺 なにより、原作者の湊かなえ先生には本当に感謝しています。実は連続ドラマの脚本の経験はそれほど豊富ではなく、今回は特に、次回への繋ぎとなる流れを考えるのがとても難しかったですが、監督やプロデューサーなどスタッフの方々と相談しながら、みんなで作り上げることができました。
  • 新井順子プロデューサー

    新井順子プロデューサー

――湊作品の連続ドラマ化という点では、3作目となりました。
新井 湊さんの作品は毎回、本当に難しいです。今回もプロット作りから相当、時間をかけました。
奥寺 新井プロデューサーから『リバース』という作品を連続ドラマ化するというご提案が届き、それから一緒にプロットを作り始めました。湊先生とも打ち合わせをさせていただき、原作の意図やシーンへのこだわりやディテールを確認させていただきました。こういう機会を設けたのもの今回が初めてでしたね。
新井 1作目の『夜光観覧車』は40代主婦の家族サスペンス、2作目の『Nのために』は20代の純愛ミステリーを描きました。そこで3作目は、湊作品には珍しい男性を主人公にした作品にしたいと考えていました。
奥寺 過去の2作よりもポップにしたいというのは、最初の打ち合わせからありましたね。男同士でわちゃわちゃしている感じを出したいと話していました。
清水 サスペンスでしたが、笑えるシーンを入れられたのも楽しかったですね。奥寺さんが書かれた第1話でも、「顧問の先生じゃないの?」「老けてる…」「やめろよ、傷つくだろ」といったやり取りや、「ホラー映画みたいだ」といった思いがけないセリフが出てきたり(笑)。試写室でもみんなで笑いながら観ていました。
新井 そうそう。「羊飼いにでもなってさ」とか突然、言い出したり(笑)
――先ほどもおっしゃっていましたが、どのような点が特に難しかったのでしょうか。
新井 もちろんミステリーの部分ですよね。トリックをバレないようにしながら、新たな事実をにおわせていく作業でしたから。私自身も上がってきた脚本について、「何か違うんですよね…」と、何度も直してもらった場面もありましたね。
清水 何か余計なことをやらかしちゃってないかって、とても心配でした。「このセリフではバレてしまうかも?」とか「このしぐさで大丈夫?」と気になって、何度も推敲しました。
奥寺 今までのキャリアのなかでも一番といっていいくらい構成が難しかった。特に9話のラストから10話は悩みました。それをやはり、主人公・深瀬の恋人役、越智美穂子は、表と裏のある役で、「裏ではこうなのだから、ここでこんなセリフはマズい」とか悩むことも多かったです。演じた戸田恵梨香さんのお芝居にずいぶん助けられました。

TBS系 金曜ドラマ『リバース』より (C)TBS

TBS系 金曜ドラマ『リバース』より (C)TBS

――10話は原作にもないオリジナルストーリーが足されました。
新井 私自身、原作小説を読んで「なるほど!」と驚嘆し、これで終わらせるのも湊作品ならではで、さすがだな思いました。ドラマ化にあたり、どのように終わらせるか悩みましたが、9話かけてずっと観てきた深瀬が谷底に落とされて、その後どうなったのかを描いてみたいと考えました。もちろん“イヤミス”が好きな方には余計なことだったかもしれませんが、深瀬を少しだけでも救ってあげたいと思ったんです。それがドラマの醍醐味でもあるのかなと。

藤原さんは本当に天性の役者なのだと感じた(新井)

――キャストについてはいかがでしたか?
奥寺 皆さんの演技は本当に想像以上でした。脚本に入る前にキャスト方々の過去の出演作品を観て、素敵なところや好きなところを私なりに理解してから執筆していったのですが、それ以上の魅力を感じました。皆さん、実力も人気も兼ね備えた方ばかりでしたので、いち視聴者としても毎回観るのが楽しみでしたね。
新井 藤原さんの演技は素晴らしかったですね。立ち振る舞いの頼りない感じもとても自然でしたし、本当に感嘆しました。1話でサッカーボールを蹴るシーンなどもそうですが、それほど演出はしていないのに、深瀬がやっていそうな仕草になっていたり、本当に天性の役者なのだと感じました。

――最後に、今後チャレンジしたいドラマは?
清水 ミステリーに対しては苦手意識もありましたが、こうしてやり遂げることができて、難しい反面、やりがいも感じました。今後もミステリーにもチャレンジしてみたいですね。また、群像劇もやってみたいですね。今回は役者の皆さまに何倍にも面白い作品にしていただきました。これからも、今回の作品ように面白いものを作っていきたいです。
奥寺 連続ドラマの脚本についてはもっともっと勉強する必要があると思っています。また、次は人が死なないお話を書きたいですね。人が亡くなってしまうお話って私自身も深刻になりすぎてしまうので。今後はもっとゆるく観られるドラマも書いてみたいですね。それと群像劇はもう1回チャレンジしたいです。
新井 サスペンスも好きですが、ポップなものとかラブコメなど、明るいテイストの作品も、もっと手掛けていきたいですね。個人的にはめちゃくちゃ泣けるドラマも観たいですね!

提供元: コンフィデンス

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