驚きのフットワーク
ステーションワゴンの実用性とSUVらしい姿かたちを特徴とする、「メルセデス・ベンツEクラス」の派生モデルに試乗。他ブランドにも見られるお手軽なクロスオーバーかと思いきや、その走りは、驚くほど素晴らしいものだった。
高価だけれどリーズナブル
あの「最善か無か」という社是に心酔する伝統的なファンには「メルセデスよ、お前もか?」といわれちゃいそうなメルセデスの登場である。
「オールテレイン」なる新商品名が与えられたクロスオーバーワゴンの成り立ちは、見たまんまだ。「スバル・レガシィグランドワゴン」や「ボルボXC70」、あるいは「アウディ・オールロードクワトロ」などが1990年代半ばに先べんをつけた“古くて新しい”手法を、最新の「Eクラス ステーションワゴン」に適用しただけである。あえて口悪くいえば「ステーションワゴンの車高をカサ上げしたナンチャッテSUV」ということだ。
その861万円という本体価格は1.95リッター4気筒ディーゼルを積む「E220d」のステーションワゴン系列ではもっとも高価となる。ただし、オールテレインはE220dでは唯一4WDのパワートレインをもたされて、電子制御エアスプリングと可変ダンパーを組み合わせた「エアボディーコントロール(ABC)サスペンション」も標準装備する。
オールテレイン以外のEクラスでABCサスペンションを備えるのはノーマル系最上級となる「E400」と、さらにその上の「AMG」しかない。さらにいえば、シートも電動式の本革で、前後のシートヒーターまで標準でつく。
たとえば、4WDでもなくABCサスペンションもつかない「E220dステーションワゴン アバンギャルド スポーツ(本革仕様車)」の839万円を妥当とするならば、これだけ凝ったハードウエアと専用SUV加飾をそこかしこにあしらいながらも、22万円高にすぎない(?)オールテレインの価格は十二分にリーズナブルといっていいと思う。...