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BUMP OF CHICKEN『必然の下にリリースされた初のベスト盤を語る』

BUMP OF CHICKENがデビュー13年目にして、初のベストアルバムを2枚同時リリース。珠玉のナンバーを詰め込んだ、バンドの軌跡を辿るこの2タイトルは、“必然的に”いま世に送り出すことになったという。メンバー4人に話しを聞いた。

いまのバンドにとってベスト盤のリリースは必然なこと

――BUMP OF CHICKEN、ベストアルバムです。どうですか?
増川弘明(Gt)嬉しいですよ、すごく。この前ライブやって、昔の曲やっても知らない人たちもいるんだなと思ったりとか、そういう人たちにも届けられるというのが、単純に嬉しいですね。
藤原基央(Vo&Gt)すごく自然に……ベスト盤を出すことが必然になって。僕たちのその必要性を自分たちの方から能動的に感じることができて、改めて考えると、バンドがいま、そういう所に来てるんだっていうのがすごく嬉しいですね。いまのバンドの状況を、もっと1人ひとりにわかってもらうにはどうしたらいいか。いままでやってきたことを大切にして、守りつつ伝えていくにはどうしたらいいか。ほかにもう方法がなかった。自然にそうなった。これはほんとにすげえなっていう(笑)。
升秀夫(Dr)ほんとに嬉しいっていうのが感想ですね。ベスト盤を出せるということは、それだけの年月をバンドとして活動してきたということであって、10年以上も活動し続けられたことは、ほんとにありがたいことだなと。実際自分も聴いてみて、振り返ることができたりして。いろんな聴き方があると思うんですけど。

――改めて、27曲を全部聴いてみて、その感想はどうでしたか?
そうですね、基本的には昔を振り返ったりしないんですけど、やっぱりベスト盤となると、若干客観的に聴ける部分があって。そうすると、いま、ちょっとこういう部分が足りないんじゃないかとか、忘れてたものがわかったりして、単純に勉強になったなと(笑)。
藤原僕はね、実はまだ聴いてないんですよ。オリジナルのフルアルバムを、できたばっかりのものを聴くということはしますけど、そうではないじゃないですか。むしろ、じゃあベスト盤だってなった時に、いろんなベストがありますよね。各アルバム曲も入るとか、カップリングなんかも入るとか、ファンの人が投票して選ぶとか。そこに関しては、僕らはまったく選べなくて。だから、どうしたらいいかなってなった時に、早い話でシングルってものがあるわけですよ。いままで僕らの10数年のバンドの歴史のなかで、その時々の自分たちを紹介する役割を担ってきた曲がシングルなんですけど、それがまとまるっていうのが自分たちにとっては、納得できる話しだったんですね。

――なるほど。
藤原とはいえインディーズの頃は、シングルっていう考え方がそもそもあまりなかったので、スタッフが客観的な視点で数曲選んで入れてくれたんですけど。そういう風にまとまっていって、ほかにもシングルではないけど入ってる曲とかもあるんですが、MVを作ったりして、シングル的な役割を担ってたりする曲なんですよ。たとえば「ギルド」とか「Stage of the ground」もそうだったし。だから、中身に関しては、僕ら自身ではまったく選べなかったんです。そういうものなので、まず僕はいまやることをやろうと思って、ベストアルバムの方は聴かずに、次の新曲を作ってたんだと思います。
直井由文(Ba)僕は全部聴いてます。それで、いまBUMP OF CHICKENは精力的にレコーディングをしていて、僕もそのことしか考えてなくて、ネタ探しになっちゃったんですよね。藤原くんが作った曲に、どんなリズムでどんなベースで、ってことしか最近ほんとに考えてなくて。昔の曲が良くないわけじゃなくて、1曲1曲、自分でその時のベストを常に求めていた結果、ベストアルバムが出せるってことだと思うんですね。だから、いま藤原くんが作ってくれた曲、生んでくれた曲に対してベストな自分でありたい気持ちしかないので、それを振り返ったところでネタ探しにしかならないんです(笑)。

あなたが応援してきてくれたおかげでここまで来れた

――増川さんはどうですか?
増川僕は、ベストアルバムの1枚目の方しか聴いてないんですよ(笑)。なんか、1枚目は昔の昔じゃないですか。ちょっと、音とか、聴けないくらいかなと思ってたんですけど、そんなことは意外なほどなくて。すごく高いハートでやってたというか……もっと、いろいろ考えちゃうかなと思ったんですけど。なんか、いい感じだったんです(笑)
藤原でも、総括して言うと、「ガラスのブルース」からいままで、変わった・変わってないの話をすれば、どっちでも言えると思うんです。僕らは新しいことを、ずっとやってきてるんですよ。いまこのインタビューを読んでくれてるあなたが聴いて、そうは思わないかもしれないです。でも僕らのなかでは、非常に重要なことで。
直井そうなんだよね。
増川うん。
藤原毎回、それは結果的なものなんですね。たとえば「ロストマン」にはドラムが2つ入ってるんですけど、ドラムを2つ入れて曲を作ってみよう、じゃないんです。結果的にそうなるんです。じゃあ、ライブでやる時はどう再現しようか? それをミックスしたフレーズでやればいいんじゃない? ってことになって。だから、曲が生まれ持った姿に対して僕たちは常に誠実だったんです。曲が、このフレーズがこの音で鳴ってて、その音を求めてるのに、そこに踏み込まないのはやっぱり、違うと。その曲が求める姿で鳴らしてあげたい、表現してあげたい。それに対して、やっぱりほんとに、周りのスタッフとかが困るぐらいの……。
直井困ってるよね……(笑)
藤原情熱があって。興味があって。音楽をやる上で、ほかのことにはそんなになくてね、逆に言うと。だから結果的に言えば、毎回自分たちのなかでは新しいものなんです。でも、じゃあこの曲新しいねって言われると、別にそういうことでもなかったりとかもするんです。だって、いつも通りだもん。いつも僕たちは曲が望んでる姿を探してきただけですからね。だからほんと、毎回同じこと言ってると思います。

――だから、ほんとに1曲目の「ガラスのブルース」から最後まで、そうした意味でこのベスト盤というのは、まさにドキュメントとしてちゃんと成立していると思います。
藤原それで、僕ら最初はGREEN DAYとかコピーしたりして、ワイワイやってたんです。楽しかったです、その時からずっと。でも、初めて「DANNY」とか、オリジナルをちょっとやって「あれ? 自分たちの曲やるっておもしろいね」ってなって。基本的にはお家でやってたんですよ、僕たち。
直井そうだよ。お家バンドですよ。
藤原だけど勇気を出して人の前に立ってみたんです。そしたらありがたいことに、インディーズの頃からそれを聴いてくれる人がいて。それで、千葉でワンマンできるようになって、下北でワンマンできるようになって、都内でワンマンできるようになって、1個1個ステージを上ってきたというか。結果的なものなんです。自分たちで、じゃあ次こうやろうぜっていうことではなかったんだよな?
うん。
藤原なんか、必然的にそういうふうになっていく。

――だから、BUMP OF CHICKENはそういう必然の下にベストアルバムを出せるんだっていうことなんですね。
藤原うん。多分ね、CDを出すとか、そういうステップっていうのは細かく言えばあるんだけど、1個1個の必然があって、その度に少しずつお客さんが増えてくれて。で、同時に、聴いてくれる人がいるっていうのは、自分たちにとっては本当にありがたいことで。で、いま、2013年のBUMP OF CHICKENがいるわけですけど。いま、僕たちに必要なことは、ベストアルバムを出すことなんです。これをみんなに聴いてもらう必要がある。そんで次のアルバムを出す。アルバムなのかシングルなのかわかんないけど。多分そういうことなんだ。必然的なことなんです。きっと昔から応援してくれてる人たちは、戸惑ってる人もいると思うんですけど。
直井そうだね。
増川うん。
藤原興味がなかったらそれでもいいです。だって(CDを)持ってるでしょ、昔から応援してくれた人たちは。ありがとう! 安心して「ふーん」って見ててくれればいい。だから僕たちにとって、非常に必要なことなんです、これは。バンドはいまそういうところに来てる。あなたが応援してきてくれたおかげでここまで来れた、ってことですね。
(文:渋谷陽一(ロッキング・オン))

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