ORICON NEWS

小学生で経験した震災の記憶、風化させないために……東北発YouTuber「ほーみーず」初のMVに込めた思い

口に出せなかった当時の絶望とも向き合い、“いつも通りを取り戻す”希望をテーマに

――「もういちど」の歌詞は、ちばしんさん、るかさんが自ら担当。制作にあたっては、どんなテーマがありましたか?

ちばしん まずトラックは高校のときからお世話になっているトラックメイカーの方に作っていただいたんですが、「震災から10年経って、これからも前に進んでいく気持ちや希望、“いつも通りを取り戻す”という力強い曲にしたいです」とお願いしました。あと、東北楽天ゴールデンイーグルスのことも意識してましたね。2013年にイーグルスが優勝したとき、田中将大投手の登場曲がFUNKY MONKEY BABYSの「あとひとつ」だったんです。優勝を決めた試合を球場で観たんですけど、あの曲が聴こえてきたときに鳥肌が立ったことを覚えていて。すごく真っ直ぐだし、たくさんの勇気を与えてもらって……。「もういちど」もそういう曲にしたかったんですよね。

るか 楽天が優勝したときは、宮城、東北にすごい一体感があって。僕は中学の時バスケをやっていて、野球のことは良く知らなかったんですけど、それでもテレビに釘付けでしたね。

――初めての作詞はいかがでした?

るか 「こんな感じにしたい」というものはあるんですけど、なかなか言葉が出てこなくて。ちばしんは作詞の経験があるので、相談しながら時間をかけて書きました。

ちばしん 最初は「ポエムが出来た」って、恥ずかしそうに見せてくれました(笑)。自分のパートは自分で書こうと話していたし、いい歌詞になったと思います。

――グッと心に残るフレーズが散りばめられてますよね。まずは、るかさんの書いた「徐々に高く見える 不安の壁/肌で感じ 押し殺した声」。

るか 震災が起きたばかりのときは、僕も子どもながら絶望していて。でも、もっと被害が深刻だった地域のことを思うと、自分の気持ちを口に出せなかったんですよね。胸の内側に押し殺していたというか。そのときの思いを歌詞にしました。

「大丈夫」と言い聞かせながらも、明けない夜が続いた……若い世代へ向けたエールとしても聴いてもらいたい

――ちばしんさんの「誰かの大丈夫に何度裏切られてだろう」も印象的でした。

ちばしん 震災の当時は全国からたくさん応援してもらえたし、自分でも「大丈夫」と言い聞かせていたんですが、なかなか夜が明けない状態が続いて。そのときのもどかしさ、苦しさを表現した歌詞ですね。震災のことだけではなくて、学生のみなさんには、部活だったり勉強だったり、いろんな壁を乗り越える力にしてもらえたらなと。

――10代の若い人たちにエールを送りたいという気持ちも?

ちばしん はい。YouTubeのコメント欄に自分のことを書いてくれる人も多くて、ときどき悩み相談掲示板みたいなってるんですよ。そういう人たちの心の支えになれたらなって。

――ミュージックビデオは、いわき市の四倉海岸、郡山市の安積歴史博物館などで撮影。現在の東北の風景を見られるのも、素晴らしいなと。

ちばしん 1番は海、2番は学校の教室で撮りました。視聴者それぞれの状況によって、いろいろな思いを重ねられる映像になったと思いますね。

るか 撮影してくれた方がその場で編集してくれて、その映像が既にすごくきれいで。たくさんの方に観てほしいです。

ちばしん YouTubeのオープニング映像を作ってくれた福島在住のクリエイターにお願いしたんですよ。“チーム東北”としてMVを作れたのも嬉しいですね。

――「もういちど」によって、アーティストとしての活動が本格的にスタート。ファンの方の反応も楽しみですね。

ちばしん ふだんはこの髪色で学生服を着て替え歌を歌ってるので(笑)、最初はギャップがあると思うんですよ。でも、「もういちど」はすごくいい曲になったと思うし、繰り返し聞いてもらいたいなと。

るか 1年後、10年後も再生してもらえたらいいなと。ずっと聴いてもらえる曲にしたいですね。
ほーみーず
ちばしん、るかの中学の同級生によるユニットYouTubeチャンネル。 東北No.1YouTuberを目指し、週3本以上の動画を投稿している。2019年YouTuberとして活動開始後、わずか2年で登録者数43万人突破。

YouTubeチャンネル:ほーみーず(外部サイト)
Sponsored by 3.11MVプロジェクト/apple ribbon

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索