ORICON NEWS
東京から“今の日本”を発信、和楽器バンドが巻き起こす音楽の渦
「コロナ禍じゃなければまったく違う内容になっていた」、今の“日本らしさ”に焦点
「デビューからこれまで、止まることなく走り続けてきたので、急に時間ができたことは私たちにとってプラスでもありました。『せっかくだから曲を書こう!』って、みんながゼロから曲を作る時間を取れたし、最初から収録することが決まっていた「Ignite」以外は全部、自粛中に書き下ろした曲なんです。世界中が同じ状況になった今、共感できるであろう“今できること”を表現者として楽曲に込めた、すごくコンセプチュアルな作品になりました。これも、それぞれがメンバーに会わずに、“和楽器バンドとは何か?”と向き合えたからだとも思います」(ボーカル/鈴華ゆう子)
「自粛を経て、久しぶりにメンバーとレコーディングして、やっぱりすごい人たちが集まってるんだなと、あらためて思いました。コロナ禍の中でそれぞれが自分のやるべきことを消化していて、確実に成長してるのを感じたんです。バンドに戻って、このアルバムを作れたというのが嬉しかったですね」(尺八/神永大輔)
「いろんな文化が入り混じり、今の“日本らしさ”ができていると思っていて。それを音楽で表現することこそが、和楽器バンドというジャンルだと思うんです。今回はその、いろんな文化が入り混じった東京から発信する、“日本らしさ”に焦点を絞りました。浅草の粋な感じや、情報の最先端である原宿っぽさとか、いろんな“東京らしさ”が楽曲から見えてくると思います。六本木や新宿歌舞伎町、いろんな場所を感じながら聴いてもらえたら嬉しいです」(鈴華)
「これがコロナ禍じゃなければ、まったく違う内容になっていたと思います。そのくらい、今の日本への想いが詰まってる。1曲目の「Calling」という曲は、すべての和楽器の音を詰め込んで、アルバム全体を物語っています。そこから派手にスタートする世界観を楽しんでほしいですね」(町屋)
有観客アリーナライブも成功、師範級のメンバーたちの絶対的な信頼感
「メンバー同士、変に寄りかかったりしないんですよね。それぞれが、各分野のプロフェッショナルとしての“座”を持っているぶん、自分のやるべきこと、バンドでやるべきことに責任を持ちながら楽しめているんです」(箏/いぶくろ聖志)
「うちのメンバーは、いざというときにエネルギーを高めて放つ…という感じではないんです。淡々と、目の前にやることがあるからやる、みたいな(笑)。みんながそんな感じです。どれだけ忙しい時期でも、余裕がある時期でも、ペースは変わらないまま。きっとそれは、何があってもお互いを信じて乗り越えられるとわかっているからでしょう。心の中では、実は慌ててたりするのかもしれないけど(笑)、どう見ても淡々としている人たちなんですよね」(鈴華ゆう子)
「アリーナでやると決まったとき、8人の中に一人でも『やりたくない』と言う人がいたら、ライブは決行しませんでした。スタッフさんを含めた和楽器バンドチームで、『やると決めたなら、きちんとやり遂げよう』と全員が思ったんです」(鈴華)
「一人ひとりが、パズルのピースであることを自覚しているんです。自分の形を保っていれば、全員がちゃんとハマることがわかっているから、大きな1枚を作るためにまず自分のことを処理する。誰かが辛そうだったり、欠けてるときは、横の人がちょっとだけ手を差し伸べて形を合わせればいい。変に相手の形を変えようとしないから、いつもキレイに一つの作品ができるんだと思うんですよね」(いぶくろ)
「今回のアルバムにある「Ignite」で、まさにそういう我々の生き方を歌っています。<そう、強かな意志を持った ひとつの流れる渦だ>という歌詞にあるように、スタッフを含めた和楽器バンドのチームは、大きな一つの流れみたいなものなんです」(町屋)
海外でも高い評価、ライブでしか味わえない魅力も
「今のエンタメ業界に国境はないというか、SNSやサブスクなどのおかげで、手にできるものの領域はどんどん広がっている。日本に向けて、海外に向けて…という概念を取り払う時代になっていると思います。今後はさらにその隔たりを外していって、世界中の一人ひとりに届けていく気持ちで音楽を作っていきたいですね」(鈴華)
「海外の人たちは、そもそも和楽器を知らない方が多いので、日本の伝統楽器というよりも、純粋に音楽ジャンルのひとつとして聴いてくれているんです。むしろ日本の人のほうが、和楽器という前提、固まったイメージがあるのかなと。僕たち自身、その前提を取っ払って、いい音楽を届けるという意識で世界に広げていきたいなと思ってます」(神永)
「ライブに来ていただくことで、見えることもすごく大きいと思うんですよね。うちの尺八は、日本で一番アグレッシブな尺八ですから(笑)。ライブでしか味わえないエンタテインメントを、ぜひ楽しみにきてください」(いぶくろ)
雅なサウンドが弾けるロックが、どれだけの快感を人に与えるか。そんな和楽器バンドの音楽は、全世界にとっての新たなカルチャーとなるだろう。
(文:川上きくえ)
アルバム『TOKYO SINGING』
10月24日(土)東京・ガーデンシアターよりスタート
★『和楽器バンド Japan Tour 2020 TOKYO SINGING』東京公演を有料ライブ配信
□配信日時:10月25日(日)16:00〜
※アーカイブ期間 10月27日(火)18:00まで
<配信プラットフォーム>
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