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わずか4年で“ハマスタ”ライブを実現 Suchmosが音楽シーンに与えた影響とは

苦難乗り越え、わずか4年で実現させた“ハマスタ”ライブ

 その一方で彼らは、バンドの急激なブレイクに伴う戸惑いや葛藤にも見舞われている。3rdアルバム『THE ANYMAL』の制作が難航。『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM 2019.09.08』に収められているドキュメンタリー映像で、「個々の趣味趣向がいろんなところに飛んでいって、最初にあった軸をまとめきれなかった」(HSU)、「6人がギクシャクして、崩れるか崩れないかを全員が遠巻きに見ていた」(YONCE)と語っている。また初のアリーナツアーが延期になるなど、Suchmosにとっては試練の時期だったと言っていい。

 しかし6人は、この壁を見事に乗り越えた。アルバム『THE ANYMAL』は“70年代ロックの雰囲気をまとった、シリアスな表現を追求した作品”として高い評価を獲得。HSUも復帰し、ライブにおけるバンドのグルーヴもさらに深さを増した。さまざまな出来事を経験した末に辿り着いたのが、2019年9月の“ハマスタ”だったというわけだ。

 “臭くて汚い”ライブハウスからハマスタへ、わずか4年で大きな夢が実現したこの日のライブには、全国から約3万人の観客が足を運んだ。台風が接近するなか、時折雨に見舞われながらも、奇跡的に開催された初のスタジアムライブで6人は、R&B、ロック、ソウル、HIP HOP、アシッドジャズなどを肉体的に取り入れたサウンド、そして、何にも媚びることなく、自らのスタイルを貫いた堂々たるステージを見せてくれた。筆者も会場にいたのだが、名実ともにスタジアムクラスのバンドになったSuchmosの姿は強く記憶に刻まれている。「YMM」「Miree」といったデビュー当時の楽曲から、代表曲「STAY TUNE」「MINT」「808」など、2019年までのSuchmosの集大成のライブともいえる本作。の進化と変化、まったくブレることのないスタンスを示した記念碑的なライブをぜひ、『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM 2019.09.08』で体感して欲しい。

(文/森朋之)

Suchmos THE DOCUMENT 2013-2019 “A.N.D.” HIGHLIGHT

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