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タワレコ、音楽ファンに愛されて40周年 嶺脇社長が語るシーンの変化とリアル店舗の意義

根底にあるのは、変わらない店舗づくりと企業マインド「NO MUSIC,NO LIFE.」

――いろいろお話を伺ってきて、各店舗が時代の変化に合わせたオペレーションをするという日本上陸以来のやり方が、タワーレコードが40年愛されている理由につながっているのだなと感じました。
嶺脇社長 それぞれのスタッフがこれはと思うアーティストや作品を推して展開し、それがお客様に届いて売れていく、というバイヤーのモチベーションは決して奪わないよう心がけています。面白いのはSMAPさんが解散したとき、名古屋の大高店が渋谷店に次ぐ売上だったんです。店舗にSMAPさんを熱烈に愛するバイヤーがいて、店頭とSNSで大々的に展開していきました。それがファンの皆さんから支持されて、結果、大高店はSMAPファンにとって“聖地”的な存在となったんです。ファンの方が自主企画されたバスツアーのコースに入るなど、わざわざ東京からの大高店にご来店いただけるようにもなりました。せっかく好きなアーティストの作品を買うなら、自分と同じようにそのアーティストが好きな店、人がいるところで買いたい、一緒に共感し合いたいという思いが表れたものだと思います。スタッフも本当に好きだからこそ通じ合えたんだと思います。それ以外でも店舗を回ってみると興味深いですよ。ここはNEWSが好きなんだなとか、ここは関ジャニ∞だなとか、アイドルだけではなくここはRADWIMPS、ここは星野源だなとか。お客様の気持ちを一番分かるのが先頭に立っている店舗のスタッフなので、彼らがどうやりたいかサポートするのが本部だと思っています。ただすべてがスタッフにとってやりたい放題できるわけではないですけどね。もちろん数字にもうるさいです(笑)。

――そういった“聖地化”のためにもSNSは重要。
嶺脇社長 SNSは2011年、私が社長になった時に「積極的に使って行こう」と言い始めて店舗毎、ジャンルごとにアカウントを持つというような形になりました。極々基本的な方針はありますが、細かいルールはありません。もちろん個性を出せば様々な反応はあります。でも怖がって口出しをすれば面白くなくなってしまいますよね。これからも変わらず、アーティストとユーザー、ユーザーとユーザーをつなぐことに今後のヒントがあるように思っていますから、願いは店舗それぞれが個性を出して地元のお客様にとっての“ハブ”になることです。
――「NO MUSIC, NO LIFE.」はそのような企業マインドを強く表していますよね。
嶺脇社長 あれは96年夏のセールキャンペーンのキャッチコピーだったのですが、それから音楽のある生活の豊かさをポスターで表現してすでに22年。このコピーは日本発祥でアメリカのタワーでも採用されました。タワレコは知らなくてもこの言葉は知っているという方も多くいらっしゃるでしょう。「音楽を愛している」ことに共感してもらえたから20年以上続いていると思いますし、快く出ていただけるアーティストさんがたくさんいらっしゃいます。“音楽なくして人生なし”って、今の若い子からしたらちょっと重いのかなぁ…と思ったりもするんですけど(笑)、だからこそ続けていくことが大切だとも思います。それを発信し続けるのは企業アイデンティティとして重要な部分かなと。あと、外に向けていながらも内に向けてスタッフに「僕ら自身でそれが言えなくなったらタワーレコードがタワーレコードでなくなっちゃう」という思いもあります。

――柔軟な変化と根底部分の継続があって迎える40周年、この先はどのように見ていますか。
嶺脇社長 軸は音楽やエンタメに置いてビジネス展開していますが、パッケージの売上だけに固執するという気持ちは私にはありません。常に全音楽ファンに寄り添った企業として、パッケージの販売だけでなく様々な側面で皆さんの生活をサポートしていける存在であり続けたいと思っています。さらに今後どこかで音楽業界にもっと大きな変化が起こるかもしれません。インターネットで済みますよって人が増えれば増えるほど、余計に「そんな彼らの出会いの場」としてのタワーレコードという面も、ストリーミングの会社さんとも協力しながらどんどんチャレンジしていきたいと考えています。

(文・インタビュー/衣輪晋一)

タワーレコード株式会社 嶺脇育夫 代表取締役社長

タワーレコード株式会社 嶺脇育夫 代表取締役社長

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