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「レコ大新人賞」受賞のUNIONE、“歌だけ”で勝負する気概とその魅力とは?

UNIONE

 先ごろ『第59回輝く!日本レコード大賞』の各賞が発表され、「最優秀新人賞」の候補となる「新人賞」に、男性5人組ボーカルユニット・UNIONE(ユニオネ)が選出。路上やライブハウスで地道にライブ活動を行った“下積み”を経て、2017年5月には初の全国ワンマンツアー、そして「レコード大賞新人賞」受賞と、着実に成長の歩を進めるUNIONE。彼らが歩んだ“苦闘”と“成長”のストーリーを聞いた。

「最初は半信半疑」グループ誕生はカラオケ店でのスカウト!?

  • 【JIN】3カ国語(日韓英)を操り、ステージのセンターを司るパーフェクト・シンガー。クールな外見とは裏腹に、細美武士(ELLEGARDEN、the HIATUS他)を敬愛するなど、メロコアの血も通うエモーショナルな唱法はまさにワン&オンリー。

    【JIN】3カ国語(日韓英)を操り、ステージのセンターを司るパーフェクト・シンガー。クールな外見とは裏腹に、細美武士(ELLEGARDEN、the HIATUS他)を敬愛するなど、メロコアの血も通うエモーショナルな唱法はまさにワン&オンリー。

  • 持ち前の明るさと体育会系ノリでUNIONEのエンジン部を司る。アップチューンでのパワフルな歌声と、バラードで見せる繊細さが生む「哀愁」を併せ持った”ハイブリッド”仕様の歌唱力が魅力。

    【ISSY】持ち前の明るさと体育会系ノリでUNIONEのエンジン部を司る。アップチューンでのパワフルな歌声と、バラードで見せる繊細さが生む「哀愁」を併せ持った”ハイブリッド”仕様の歌唱力が魅力。

 2015年、音楽仲間であったボーカル5人で結成されたUNIONE。世にダンス・ボーカルユニットは数多く存在するが、ボーカルだけで勝負するユニットはなかなかいない。そんな彼らの魅力にいち早く気づいたのは元NU'ESTのマネージャーで、現在は「韓流ぴあ」副編集長のYAN氏だ。「あるK-POP情報サイトでファーストシングルのリリース記事を見たのがきっかけでした。そのときの写真を見て、韓国のどこかの事務所の新人アイドルかと思ったんです」とYAN氏。とはいえ、よく見ると韓国のアイドルらしさだけでなく、日本の男の子っぽい雰囲気のメンバーもいる。気づいたら、彼らについて調べていたと振り返る。

 YAN氏の言うように、UNIONEには日本語、韓国語、英語を話せる大阪出身の韓国人・JIN、フィリピンと日本のハーフ・SAM、そして日本出身のYUUKI、ISSY、YUTAという個性豊かなメンバーが揃う。音楽のバックボーンもバラエティーに富んでおり、ISSYは沖縄民謡や昭和歌謡に親しんできた。グループ最年少のYUUKIは高橋優の「福笑い」や、竹内まりあの「元気を出して」といった歌詞から活力をもらってきたと語る。JINはELLEGARDENに影響を受け、SAMは常に洋楽のある環境で育ち、J-POPやフィリピンの音楽を聴いてきたという。そしてグループ最年長のYUTAは、やわらかく真っ直ぐなJ-POPを好む。

 そんな様々な音楽背景を持つ彼らは、オーディションで集められたメンバーではなく、下積み時代からの音楽仲間なのだという。グループ発足の経緯について聞くと、「僕らは同じライブハウスのイベントで出会った、シンガーを目指す仲間だったんです。ある日、僕とSAMとYUTAがカラオケ屋で歌っていたときに、今の事務所の社長に声をかけてもらったのがデビューに繋がるきっかけ。もちろん、最初は半信半疑でした」とJINは当時を語る。

 その後JINたちは、3人ではなく今の5人でやりたいと自ら申し出たのだという。SAMは「グループで活動することを考えたときに、自分に欠けている部分を補い合いたいと思った」と話す。JINも「僕たちは声が楽器みたいなもの。バンドでギターはいるけどベースが足りないってすぐにわかるように、僕たちにも、このパートのメンバーが足りないっていうのを自覚していた」と話すように、グループとしての完成度を追い求めたのだという。そして、それを補ってくれるのがISSYとYUYAだと確信し、事務所に自ら申し出たようだ。
 とはいえ、デビュー前は同じ夢を持つライバルでもあったはず。その気持ちは今ではどう変わったのだろうかと聞くと、ISSYは「ライバルではあるけど、僕以外の4人は僕にないものを持っていて、足りないものを補えるのがこの5人」と強調。そしてSAMも、「ライバル心は今でも忘れてないけれど、今はその気持ちは後ろにあって、5人の中で自分がどこの役割なのか、どうやったらひとつの音楽を作れるのかってほうが大きいんです」と、グループとしてのパワーを実感しているのだという。特にYUTAは「いまだにライブでメンバーの歌を聞いてゾクっとする瞬間があって、自分もそういう表現をしないといけないなって思うし、5人が成長していける秘訣」だと明かす。

誰にも聞いてもらえなかった下積み時代「自然と人が集まると思っていた…」

  • 【YUUKI】コーラスグループでの経験を生かしたハーモニーに対する造詣からUNIONEの緻密なコーラスワークでも才能を発揮。絶対音感の持ち主。

    【YUUKI】コーラスグループでの経験を生かしたハーモニーに対する造詣からUNIONEの緻密なコーラスワークでも才能を発揮。絶対音感の持ち主。

  • 【SAM】彼の持つ天性のソウル、R&Bテイストは彼らの楽曲・パフォーマンスに欠かせない最重要スパイス。時折見せる女性シンガー的なアプローチも彼の真骨頂。5オクターブの持ち主。

    【SAM】彼の持つ天性のソウル、R&Bテイストは彼らの楽曲・パフォーマンスに欠かせない最重要スパイス。時折見せる女性シンガー的なアプローチも彼の真骨頂。5オクターブの持ち主。

 飛躍を続ける彼らだが、デビュー当初は、ショッピングモールや路上でライブを行い、10人に満たない観客に向けて歌った下積み時代があった。前出のYAN氏は自身がプロデュースするイベントに彼らにゲスト出演してもらったときのことを振り返る。「そのときのイベントでは、デビュー間もないということでアウェイな空気もあって、彼らも自分たちのスタイルを探しているようでした。そこから時間が経ち、赤坂ブリッツでのワンマンライブを見に行ったら、短期間でステージ慣れして、アーティストとしても自信がついていると感じました」

 実際、デビュー前は、通りすがりの人たちに全く聞いてもらえない日もあって、どうやったら聞いてくれるんだろうと常に模索しながらの活動だったようだ。しかし、路上ライブでの苦闘を経て、メンバー自身、空気が変わったと思う瞬間があったという。
「歌いながらチラシを配ったり、ライブハウスも片っ端から出てみたり。でも、そのときに一生懸命考えたことが今の力になってると思います」とJIN。そんな中、YUUKIは「ファンが増えたのを実感したのは静岡だった」と話す。「僕ら、静岡出身者が三人いて、月に一回、静岡の商業施設で野外ライブをしていたんです。最初は数人だったけど、倍々で増えていって、最終的には警備員さんが交通整理をするほどに。これは本当に自信になりました」。YUTAも、「デビューする前は、リリースイベントって自然と人が集まると思ってたけど、いざ蓋をあけてみると自分たちの場合は10人もいなくて……。でも、ひと夏リリースイベントを続けたら、池袋でやった最後のイベントには300人以上の人が集まってくれた」と、当時との環境の変化を笑顔で語ってくれた。

“歌だけ”で勝負するUNIONEのことをもっと知ってもらいたい

  • 【YUTA】UNIONE随一のシルキー・ヴォイスの持ち主。包み込まれるような柔らかい歌声は、玄人はだしの写真の作品にも通じていて、その作品もエッジの柔らかな質感に溢れている。

    【YUTA】UNIONE随一のシルキー・ヴォイスの持ち主。包み込まれるような柔らかい歌声は、玄人はだしの写真の作品にも通じていて、その作品もエッジの柔らかな質感に溢れている。

 2017年を『レコード大賞』で締めくくるUNIONEだが、今後はどんな目標を抱いているのだろうか聞くと、JINは「まず2000人規模のライブをやるってファンの方と約束しているので、それを実現させて、歌だけで勝負する5人ということを伝えたい」と即答。また、SAMは「UNIONEの活動でどうやればいいか試行錯誤してる途中は、セルフプロデュースを間違っていて、自分じゃない自分を作ろうとしていたことがあった」と過去の苦悩を告白。しかし、『レコード大賞』の「最優秀新人賞」の候補となった際、家族にもっと自分というものを表現するようアドバイスされ、全力で自己表現しようと今は思えるようになったのだという。

 メンバー5人の魅力を自分たちが一番知っていて、そしてそれを生かす方法を模索しながら進化し続けるUNIONE。ダンスボーカルグループが多い中、5人の総和で戦う唯一無二のグループとして、今後も成長していくだろう。

(文:西森路代)
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