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デビュー20周年のSkoop On Somebody、語りつくせぬ年月は「ゼロに戻るため」

本当のことを知らないと、年寄りはダメになっていく

――まさに大人が満足できるリッチなアルバムだなと感じました。
TAKE そうですね。自分と同年代の人に「最近どんな音楽を聴いてるの?」と聞くと、「何を聴いていいかわからないから、何も聴いていない」と言うんです。だから僕らは、そんな大人たちのために音楽を作っていきたい。それを覗いてくれる若い人たちがいてもいいんだけど、僕らはまず、「大人が楽しめばいいんだよ!」とライブ、アルバムを作っていけばいいんじゃないかなと考えました。このアルバムは、そういう大人だけの空間、秘密の居場所みたいなものになればいいと思いますね。

――若い世代についてはいかがですか?
TAKE 若いスタッフと一緒に仕事をすることも多いんですが、そのときに最初に言うのが、「気を使わないでほしい、本当のことを言ってほしい」ということ。本当のことを知らないと、年寄りはダメになっていくと思うんですね。40代は40代のアンテナしか張れないし、50代は50代のアンテナしか張れない。ただ、若い人と本気で向き合うことによって、いろんなアンテナを増やすことはできる。だから、若いスタッフから「こんなんヤバくないっすか?」と音楽を紹介されて、「ヤバいね!」なんて会話をしています(笑)。「元ネタはプリンスなんだよ」と教えつつも、技術的な部分もあるから、過去の音より今の音の方が良かったりする。そうして時代は新しく塗り変わるから、「良くなっている」と言えないといけないんだと思います。僕らは、常に「今の人たちに何を届けられるか?」を考えるべきだし、メジャーという場所はそれができる場所だと思います。

このアルバムを作るために東京に来たんじゃないか

――そうやって、R&Bやブラックミュージックの枠に収まらず、日本の音楽シーンに溶け込むポピュラリティがあるのがSkoop On Somebodyの美学なのかなと思いました。
TAKE そうなんです。下世話なことは大好きなので(笑)。ポップさやキャッチーさ、そこがなければこのアルバムは自主制作盤だったと思います。

――そのポップさを表すのが名曲「sha la la」でもあります。公式サイトにアップされた、岸谷五朗さん、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、AIなど20組のアーティストによる大合唱の映像がとても豪華です。
TAKE スタッフから、20周年を記念してお祭り的なことをしたいという案をもらって。僕らに縁もゆかりもある人たちにお願いして、その中からスケジュールの合う方々と一緒に歌わせてもらったんです。はるな愛は、僕らの「どんなに離れても」という曲のMVで大西賢治との恋愛劇をやってくれたし、賀来賢人くんはミュージカルで共演させてもらっている。みんな自由に楽しんで歌ってくれてました。
KO-ICHIRO みんなの愛が見えますよね。岸谷五朗さんと寺脇康文さんも、その場で打ち合わせして踊ってくれたり。自分たちにできることを考えてくださったんだと思います。
TAKE 愛だね。だから正直、編集のラフが上がってきたのを見て、涙がこみ上げました。

――アルバムが完成し、多くの人の愛も確認できた今、20年という節目に強く思うことはどんなことですか?
TAKE このアルバムは、僕らにとってゼロ点だと思うんです。冷静に、「このアルバムを作るために東京に来たんじゃないか」とさえ思えるんですよ。音楽的な壁にぶつかったり、メンバーが抜けたり、それこそ語りきれないくらいいろいろなことがありました。でも、KO-ICHIROと話すたびに、「応援してくれる人のために続けるべきだ」という結論になって、今に至ります。20年という長い年月かかったけど、このゼロに戻るための20年なんだとしたら、すごく意味があったなと思う。デビューした頃はすごく肩に力が入っていたけれど、今はすごく自然に「僕とKO-ICHIROから生まれるもので幸せになってくれるなら、それだけでいい」と思えている。そこにやっと到達できて、今度はそこから何ができるだろう?って、今すごく楽しみなんです。
KO-ICHIRO 20年と言っても、目の前の明日に向かって…みたいな積み重ねでしかないんです。一曲一曲ごとに今できることをやり、ライブでは一期一会を大切に目の前のお客さんに向かって最高のものを届けようとやってきたわけですから。このアルバムでSkoop On Somebodyのコアな部分を出せたのは、また一つ自信になりました。二人の向き合い方は強固に、人との繋がりはより柔軟に、いいものを作っていければいいと思っています。
(写真:草刈雅之 文:川上きくえ)

Skoop On Somebody 『sha la la』20years Anniversary Ver.

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