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いきものがかり、15年目で初めての試みも!良質のポップスアルバムが完成

いまや国民的J−POPグループとなった“いきものがかり”から、待望のニューアルバム『FUN! FUN! FANFARE!』が到着。シングル「ラブソングはとまらないよ」「熱情のスペクトラム」「涙がきえるなら」「GOLDEN GIRL」を含む本作は、さらに幅を広げたソングライティングと的確なアレンジメント、表情豊かなボーカルがひとつになった、きわめて質の高いポップスアルバムに仕上がっている。1年3ヶ月ぶりとなる全国ツアーも楽しみ!

今年は、自然と新しいところに踏み込めた

  • いきものがかり(左から)水野良樹、吉岡聖恵、山下穂尊

    いきものがかり(左から)水野良樹、吉岡聖恵、山下穂尊

――個性の強い曲が揃っているのにものすごく聴きやすい。まさに理想的なポップスアルバムだと思いますが、みなさんの手ごたえはどうですか?
水野良樹 いま言ってもらったように、それぞれの曲が色濃く存在してくれてるなと思いますね。これまで以上に曲の守備範囲を広げられたんじゃないかなって。それはいつも意識していることなんですが、1つひとつの球種がさらに磨かれている感じはあります。
山下穂尊 比較的、新しい曲が多いんですよ。今までは学生のときやインディーズ時代に作った曲も入ってたんですけど、今回はここ1〜2年の間に書いた曲がほとんどで。特に意識していたわけではなくて、いつも通りに選曲したら、こういうラインナップになったんですけどね。

――現在のいきものがかりのモードが強く反映されたアルバムなのかも。
吉岡聖恵 確かに今年は新曲を書く機会が多かったんですよね。アルバムの選曲に関しても、いつもと同じようにシングルとは違う色の曲を選んでいったんですけど、自然と新しいところに踏み込めた感じがあって。歌謡曲っぽい「陽炎」もいつもとは趣が違うと思うし。

――“ラテン歌謡”みたいな雰囲気ですよね。
吉岡 最初と最後にインストを入れたのも初めてですからね。アルバムのタイトルから派生して、「インストを入れてみよう」ということになったんですけど。
山下 うん。イントロとアウトロにファンファーレをイメージさせるインストがあったらおもしろいんじゃないかなって。すごく苦労したんですけどね、このタイトル。ずっと話し合ってたんですけど、なかなか決まらなくて。
吉岡 そうだね。
山下 もう決めないと間に合わないっていうときに、聖恵から「ファンファーレ」っていう言葉がポロッと落ちてきて。
吉岡 その前にリーダー(水野)が「ファン、ファン…」って言って、そこから「ファンファーレ!」っていう言葉が出てきたんですけどね(笑)。「NEWTRAL」「I」っていうわりとストイックな印象のタイトルが続いていたから、今回は元気なタイトルがいいねって話してたんです。何より、みんなが(ファンファーレという言葉に)“おっ!”って引っかかってくれたし。

――『FUN! FUN! FANFARE!』って、いきものがかりのパブリックイメージにもすごく合ってますよね。
水野 そうですね(笑)。“ファンファーレ”には何かが終わっていく儚さもあると思ったんですよね。何かが終わって、また始まってということの象徴だなって。

――単に華やかなだけではない、と。
水野 このタイトルによって、アルバムのイメージが広がった感じはありますね。CDジャケットのイメージ――尋常じゃない量の紙ふぶきを飛ばしながら撮影したんですけど――にもつながったし、良かったと思います。

――楽曲のことについても聞かせてください。まず吉岡さんが作詞・作曲したシングル「GOLDEN GIRL」ですが、オープニングのインストの直後という大事な位置に収録されてますね。
吉岡 亀田(誠治)さんにアレンジをしてもらったことで華やかな曲になったし、飛び出していくイメージもあって。この曲で勢いをつけられたらいいな、と。

――吉岡さん、曲を書くペースも上がってきてるんですか?
吉岡 いやあ、そんなことないですね(笑)。曲出し会にはいつも出してるんですけど、1曲作るだけでもすごくカロリーを使うので。たくさん曲を書き続けるってすごいことだなって思いますね、単純に。

――「LIFE」「春」などのミディアム、バラード系のナンバーも深みがありますね。
水野 ありがとうございます。「LIFE」「春」「マイステージ」は、“生と死”ということが範疇に入っている曲なんですよね。全体的にはすごく明るいアルバムなんだけど、このあたりの曲が実は核になってるんですよ。さっきも言いましたけど、“終わって、また始まる”ということを担っているというか。

――そういう切実なテーマを取り上げようと思ったのはどうしてですか?
水野 まあ、たまたまですけどね。自分の身の周りにそういうことを意識させる出来事があったり、あとは震災から3年経ったっていうのもあるし。グループ的にも“いつか終わりが来る”ということはわりと歌ってきたんだけど、“そのあと、残された人はどうやって生きていくのか”ということも書かなくちゃなと思ってたんですよね。

――「マイステージ」は山下さんの曲ですが、やはり同じような意識があった?
山下 すごく個人的なことなんですよ。ちょうど10年前に友人が亡くなったんですけど、曲を書いてる時期に“そのことに向き合ってみよう”と思って。

15年目で初めて!3人で一緒に作った「涙がきえるなら」

  • アルバム『FUN! FUN! FANFARE!』(12月24日発売)

    アルバム『FUN! FUN! FANFARE!』(12月24日発売)

――もうひとつ、「涙がきえるなら」について。3人の共作による楽曲ですが、この作り方も初めてですよね?
山下 そうですね。3人で一緒に作ったのは、15年やってて初めてでした。
水野 吉岡がベーシックを作って、僕がメロディーを書き足して、山下が歌詞を完成させたんですよ。
山下 これも“たまたま”なんですよ。聖恵が作ってきた曲があって、ディレクターが「これ、共作してみない?」って提案してくれて。僕はもともとあった歌詞を広げた感じなんですけど、そんなに気負いもなかったし、すごく自然な感じでやれましたね。

――トライが多いアルバムになりましたね、結果的に。新しいことにも自然体で臨むところも“いきものがかり”らしいと思います。
水野 時の流れに身を任せて(笑)。とは言え、1つひとつのセクションでは力が入ってますけどね。歌入れのときは吉岡もピリピリしてるし、僕も曲を書くときはそうだし。山下は自然体ですけど。
山下 (笑)。
水野 自然体の“体(てい)”だと思いますけどね。でも、今回のアルバムは淡々と録っていった印象があるんですよね。1曲1曲、ただやるべきことをやったというか。ドラマティックなエピソードはないですけど(笑)、それがいちばん理想なのかなって。良いものを作りたいっていうプレッシャーはありますけど、まあ、それはそれとして。

――なるほど。このアルバムは“2014年のいきものがかり”の象徴とも言えると思うんですが、みなさんにとってはどんな1年でした?
水野 ずっと曲を作ってて、けっこう大変でした(笑)。
吉岡 今年最初のライブが、国立競技場のイベント(SAYONARA 国立競技場FINAL WEEK『JAPAN NIGHT』)だったんですよね。
山下 貴重な経験になりましたね、あのイベントは。「これが最後の国立競技場」という雰囲気があって。
水野 “島田会”(音楽プロデューサー・島田昌典の活動30周年を記念したライブ「『Great Stuidio Live at BUDOKAN』」)も楽しかったですね〜。
山下 5年前に一度やったことがあるんですよ。300人くらいのお客さんの前で、秦 基博さんとウチらと島田さんで。今回はさらにback numberが加わって、えらい大きな規模になったんですけど。
水野 もちろん島田さんの音楽は素晴らしいんですけど、緊張してちょっとMCを間違えられたりしていたのも印象に残ってますね(笑)。いい思い出になりました。
山下 あとは何だろう?夏以降はなんとなく「アルバムだよね〜」って感じになったのかな。

――わりと緩めのテンションだったんですか?
山下 そういうことでもないんですけど(笑)、「よっしゃ!アルバムを作るぞ!」っていう感じではなかったかな。「じゃあ、曲とか書き始めますか」って。
吉岡 夏以降は集中的にレコーディングをやってましたからね。1曲1曲、しっかり濃い色を出しながら作っていって……。今年はツアーがなかったんですけど、その分、アルバムに力を注げたかなって。
水野 ずっと制作を続けて、それがアルバムという形になって。来年のツアーにもしっかりパワーをぶつけられると思います。

(文:森朋之)
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