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May J.『苦悩の時期も!新しい自分を見つけられたきっかけはあの番組!!』

あらゆる名曲に新たなエッセンスを加え、唯一無二の歌声がそれを奏でる。May J.が、珠玉のカバーアルバム『Heartful Song Covers』を発売した。今回は“伝える”ことをテーマに、“歌詞=メッセージ性”の強い曲に特化したセレクト。世代もジャンルも超えた“名詞曲”のほか、映画『アナと雪の女王』の主題歌『Let It Go〜ありのままで〜』の別バージョンなど、泣いて笑って前を向ける、May J.のメッセージがこの1枚に詰まってる!

歌詞を読んで自分と向き合う作業、その過程がなければ(カバー曲は)歌えない

――今作も多彩なラインナップですが、選曲はどのような基準で?
May J.今回、特に重視したの“歌詞”ですね。前作『Summer Ballad Covers』はファンのリクエストに応えた曲を中心に選曲したんですが、聴いた人たちから「元気になった」とか「明日に向かう力になった」という声をたくさんいただいて。私も小さい頃から音楽に支えられてきたし、パワーの出る曲を自分からも届けたいという想いがあるので、前向きなメッセージや心に残るフレーズのある曲を歌いたいなと。で、そこから何10曲も候補曲を挙げさらに今回もカラオケに行って(笑)。最終的に自分の声に合ったものを選曲しました。


――なかには意外な曲もありますね。
May J.そうですね。特に「花〜すべての人の心に花を〜」は、私もまさか自分が歌うなんて想像もしていなかった。でもサビの<泣きなさい 笑いなさい>は私自身、辛いときはいつもとことん泣いてデトックスするようにしているので、すごく共感できるフレーズで。歌い方もちょっと民謡調で今までやったことがなかったけど、挑戦したいなと思ったんです。


――挑戦といえば「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」も、アンジェラ・アキさんのイメージが強烈でハードルの高い曲かと。
May J.これは15歳の自分と10年後の25歳の自分を、交互に表現できたら面白いと思って選んだんですよ。歌うときはまず15歳の頃の自分――自分のことがわからずただ突っ張っていた――そんな弱い自分から始まり、その後に25歳の今の自分が出てくる。で、さらに最後の落ちサビでは、ふたりの自分を俯瞰(ふかん)で見守る存在がいるっていうストーリーをイメージして歌いました。

――そこまで歌い分けるには、歌詞をかなり深く理解していないと難しいですよね?
May J.この曲に限らず、今回はとにかく曲を届けるためにはどれだけ歌詞を理解して、どう伝えるか。そのための準備にかなり時間をかけました。まず1行1行、どういう意味なのか解釈していって、さらに自分の過去と照らし合わせてリンクすることがあれば、その気持ちを引き出していく。その作業を徹底的にやったんですよ。だから歌詞カードの書き込みもすごかった。メモ書きでいっぱいになってました(笑)。

――もはやセラピーのよう。
May J.歌詞を読むって自分と向き合う作業でもあるから、まさにそんな感じ。そこで気持ちをさらけ出さないと、歌詞から引き出される“本当の自分”は見えてこないし、その過程がなければ歌えない。ただ、そうやってイメトレしたものを一番いい状態で歌声に出せるのはワンテイク目だったりするので、あえてレコーディング当日までは歌わないようにして。歌いたいって気持ちをギリギリまで温存して、本番一発目でそれを一気に出すようにしたんです。それが一番新鮮だし、クオリティも高かったんですよね。

どう表現すればいいかわからず、先が見えなくなった時期も……

――今作はテクニック的にもさらにレベルが上がっていますよね。なかでも「永遠に」は前作の「少年時代」に続く“ひとりゴスペラーズ”アレンジで、ついに本家の歌でやってしまったっていう(笑)。
May J.実は「少年時代」を聴いたゴスペラーズのメンバーからも、本当に私が全部歌ったのか聴かれたんですよ。「低い音は絶対違うよね?」って(笑)。「少年時代」は24人、「永遠に」は12人分のコーラスが入っているんですが、全部私の声です。ただ、録るときは“うー”とか“ふぁっ”とか、他の音を想像しながら1音1音別々に歌うので、これ、どうなるんだろう?って、途方にくれてしまって。できたものを聴いたときは“こうなるんだ、がんばって良かった”って思いましたね。


――あと、今回は映画『アナと雪の女王』のエンディング曲「Let It Go〜ありのままで〜」も注目ナンバー。劇場版とはまた違う、歌声とアレンジが新鮮でした。
May J.劇場版よりちょっと大人な、でもロックな要素を入れた別バージョンにしたんですけど、改めてこの曲のパワーを感じたというか。子供のときから観ていたディズニー映画の主題歌を歌わせてもらえること自体、すごいことだなと思っていたけど、歌詞の内容が今の自分にぴったりで……。私も人の期待に応えようとプレッシャーを感じたり、自分を抑えてしまうときがあるので、「自分の力を信じよう」っていう歌詞はまさに共感。映画館で自分の声が流れたときは、嬉しくて泣きそうになりました(笑)。

――May J.さんも長く歌い続ける中で、自分の力を信じられなくなった時期があった?
May J.去年、すごく落ち込んだ時期があったんです。デビューしてからアルバムを出すたびにこれが勝負だっていうものを作ってきたけど、それがなかなか届かない。じゃあ、これ以上、自分のなかから何を引き出して表現すればいいんだろう?って、先が見えなくなっちゃったんですよ。で、ちょうどその時期にカラオケの番組で、いろんなアーティストさんの曲を歌わせてもらって。そこから新しい自分を見つけられたんです。

――番組を機に一気に、シンガー・May J.の幅が広がりましたよね。
May J.そのきっかけになったのはやはり「ハナミズキ」のカバーでしょうね。それまでいわゆるJ-POP的な曲をまったく歌ったことがなかったけど、こういう自分もいるんだっていう発見があったし、求められたことも新鮮だった。この出会いがなかったら、そのまま行き詰まっていたと思いますよ。

――番組では相変わらず無敗の女王ですし。
May J.いやぁ、勝ち続けるほどツラくなってますけど……(苦笑)。今はそのプレッシャーと戦っています。

――でも、今作を聴くと番組とは別にクオリティもテクニックも、どんどん上がっていて。「May J.のカバー」という、新たな“オリジナル”が完全に確立された気がするんですが。
May J.私自身はカバーに関しては求められていることに応えたいっていう想いだけなんですけどね。どれも名曲なので、自分が歌うことでもっとたくさんの人にその良さを届けたい。そのためにアレンジャーさんもスタッフも、この曲をどう良くしていくかみんな本気でやっているっていう感じ。7月から始まるツアーもそんなバンドメンバーたちと一緒に回るので、すごく楽しみなんですよ。

――セットリストの内容は?
May J.カバーとオリジナルを交互にやる予定なんですが、バラードだけではなく今回はダンスもやろうと思っていて。前回のツアーよりも明るく、明日に向かうメッセージが届くようなライブにするつもりです。
(文:若松正子)

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