今年からテーマ一新したソフトバンク新CM、音楽制作に取り組む狙い 第3弾は足立佳奈を抜擢
サポーターとしてアーティストと一緒に音楽を作っていく
そこで澤本・嶋野両氏がソフトバンクに提案したのは、“スポンサー”としてではなく、アーティストと一緒に音楽を作っていく“サポーター”になりませんかというもの。アーティストと共同で楽曲を制作し、そこから多くの人々に評価される楽曲やアーティストが生まれれば、トータルで“ソフトバンク=音楽”という新しいブランディングにつながり、キャリアが重視する10〜20代とのエンゲージも高められるという戦略だ。
「ソフトバンクさんは、常に“予想外”をやり続けてきた企業ですから、既存曲を使う従来のやり方ではなく、ゼロベースでアーティストと新曲をコラボレーションすることを考えました。でもさかのぼれば、80年代に資生堂さんとカネボウさんがCMで音楽を競い合い、広告と音楽で共同キャンペーンを展開していました。それを今、きちんとやろうと考えたんです」(澤本氏)
こうして第1弾となる、いきものがかり「WE DO」に乗せたCMが元日に登場し、2月に入ると第2弾クリープハイプ「ニガツノナミダ」とのコラボCMがスタートした。いずれも書き下ろしの新曲で、流行りの音楽を使うのではなく、流行りそのものを生みだそうというアプローチになる。
「『WE DO』の曲作りに関しては、まずメンバー3人に会って、“しばられるな”というコピーでやりたい、だから今までのいきものがかりに縛られない曲を作って欲しい、そして歌詞にコピーの言葉を入れて欲しいという相談から始めました。結果、これまでの彼らのイメージよりも勢いのある、ロックっぽい曲を作ってくれました」(澤本氏)
音楽へのこだわりはCMの尺にも表れている。15秒ではサビの一部分しか使えないが、30秒あれば、ワンフレーズを聴かせられ、楽曲の世界観をきちんと表現することが可能。そのため15秒CMは作らないという徹底ぶりだ。
テレビCMとは方向性が違う第3弾 10代のリアルで生々しい恋を歌う
この恋愛ソングを歌うのは、『今日好き』と親和性が高く、10代に人気の高い足立佳奈。「Yahoo!検索トレンドマップ2018(ミュージシャン編)」では、検索数とトレンド指数がともに高い“ブレイクエリア”の上位にランキングするアーティストだ。
これらアーティストの選出基準は、マーケティング的観点から選び出しているのか思いきや、データはあくまでも参考程度だと、澤本氏は言い切る。
「いい曲を作れることと、タイミングという“運”を持っている人。そして何よりも、このコラボレーションをおもしろがってくれる人と音楽を作っていきたい。たとえばクリープハイプの尾崎世界観さんは、将来なくなる言葉は嫌いで、『WiFiスポット』なんて言葉は普段なら絶対に使わないけど、今回に限っては取り入れた方がおもしろいからやりましょうと言ってくれました。いきものがかりの水野良樹さんも、『しばられるな』というテーマを逆に利用してくれました。そこを楽しむ才能が、2人ともすばらしかったですね」(澤本氏)
「CM業界でも音楽業界でも、変化を起こさずに元々の地に安住してものを作るより、違う風を入れた方が、結果的に失敗であったとしても、動いたぶんだけ前に進めるんです。それに賛同してくれるアーティストの方々と、一緒にCMと音楽を作っていきたいですね」(澤本氏)
広告業界はCMの枠組みに縛られず、音楽業界も従来の音楽の生み出し方に縛られないことで、未来に光を見出すことができる。「しばられるな」は、1企業のテレビCMのテーマを超えて、アーティストやクリエイターが今の時代を生き抜いていくためのあらゆる面でのキーワードとなるだろう。
(文/布施雄一郎)
【足立佳奈「ウタコク」ミュージックビデオ】
配信限定曲
足立佳奈「ウタコク」2019年2月1日より各配信サイトにて配信開始!
▼各配信サイトはこちら
https://adachikana.lnk.to/utakoku(外部サイト)
▼今日好きコラボCM 「ウタコク」篇
https://youtu.be/Ph0wwj7jyh0(外部サイト)
▼今日好きコラボCM「ウタコク 電車」篇
https://youtu.be/JFsZ-MoX3mI(外部サイト)
▼足立佳奈「ウタコク」−今日好き版MV−
https://www.youtube.com/watch?v=TsZuNW_GpMM(外部サイト)