今年からテーマ一新したソフトバンク新CM、音楽制作に取り組む狙い 第3弾は足立佳奈を抜擢

「しばられるな」をテーマに今年からスタートしたソフトバンクの新CMは、今まで以上に音楽にフォーカスした作りとなっている。そこに登場しているアーティストは、若い世代に人気のいきものがかり、クリープハイプ、足立佳奈。そんな本作を手がけた電通のエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター澤本嘉光氏とクリエーティブ・プランナー嶋野裕介氏の2人に、音楽を主軸とした「SoftBank Music Project」のアプローチと新CMの狙いについて聞いた。

サポーターとしてアーティストと一緒に音楽を作っていく

「昨年、SNSで一番つぶやかれたテレビ番組が『ミュージックステーション』であることからもわかるように、SNSと音楽番組は親和性が高く、しかも音楽は若者から愛され、親子世代、さらには世の中をつなぐ象徴です。一方、スマートフォンは個で楽しむものですが、離れた家族や友人をつなぐツールでもあり、その真ん中に音楽があれば、分断化と言われる世の中でも人々がつながっていける。そんな大きな志を持ったCMをソフトバンクさんと作っていこうと、このプロジェクトがスタートしました」(嶋野氏)

 そこで澤本・嶋野両氏がソフトバンクに提案したのは、“スポンサー”としてではなく、アーティストと一緒に音楽を作っていく“サポーター”になりませんかというもの。アーティストと共同で楽曲を制作し、そこから多くの人々に評価される楽曲やアーティストが生まれれば、トータルで“ソフトバンク=音楽”という新しいブランディングにつながり、キャリアが重視する10〜20代とのエンゲージも高められるという戦略だ。

「ソフトバンクさんは、常に“予想外”をやり続けてきた企業ですから、既存曲を使う従来のやり方ではなく、ゼロベースでアーティストと新曲をコラボレーションすることを考えました。でもさかのぼれば、80年代に資生堂さんとカネボウさんがCMで音楽を競い合い、広告と音楽で共同キャンペーンを展開していました。それを今、きちんとやろうと考えたんです」(澤本氏)

 こうして第1弾となる、いきものがかり「WE DO」に乗せたCMが元日に登場し、2月に入ると第2弾クリープハイプ「ニガツノナミダ」とのコラボCMがスタートした。いずれも書き下ろしの新曲で、流行りの音楽を使うのではなく、流行りそのものを生みだそうというアプローチになる。

「『WE DO』の曲作りに関しては、まずメンバー3人に会って、“しばられるな”というコピーでやりたい、だから今までのいきものがかりに縛られない曲を作って欲しい、そして歌詞にコピーの言葉を入れて欲しいという相談から始めました。結果、これまでの彼らのイメージよりも勢いのある、ロックっぽい曲を作ってくれました」(澤本氏)

 音楽へのこだわりはCMの尺にも表れている。15秒ではサビの一部分しか使えないが、30秒あれば、ワンフレーズを聴かせられ、楽曲の世界観をきちんと表現することが可能。そのため15秒CMは作らないという徹底ぶりだ。

テレビCMとは方向性が違う第3弾 10代のリアルで生々しい恋を歌う

 一方、テレビCMとは違う方向性でスタートした第3弾は、ソフトバンクとAbemaTVの恋愛リアリティショー『今日、好きになりました。』のコラボから誕生した「ウタコク」だ。同曲はバレンタイン前にデジタル配信され、LINE MUSICで初日に最高位2位を記録。MVはスペシャルCMもあわせてYouTubeですでに100万再生を超えている。
「10代に高い支持を得ている『今日好き』で一番盛り上がるのは、最後の告白シーン。その歴代の言葉をすべて抽出し、“マジ告白”の言葉だけで歌詞を作りました。だから、とてもリアルかつ生々しい歌詞になっています。また、最後に“付き合って欲しいんです”と、この曲を歌うこと自体が告白になるように歌詞を構築し、その歌詞に対してDJ Massさんに作曲してもらいました」(嶋野氏)

 この恋愛ソングを歌うのは、『今日好き』と親和性が高く、10代に人気の高い足立佳奈。「Yahoo!検索トレンドマップ2018(ミュージシャン編)」では、検索数とトレンド指数がともに高い“ブレイクエリア”の上位にランキングするアーティストだ。
「歌が上手なことはもちろん、応援したくなる人間性と人柄が、歌ににじみ出ている気がします。この曲のように、10代の生々しい歌詞を歌えるのは同世代じゃないと無理。当然、足立さんが歌うからこそ成立するように歌詞を作っていきました」(嶋野氏)

 これらアーティストの選出基準は、マーケティング的観点から選び出しているのか思いきや、データはあくまでも参考程度だと、澤本氏は言い切る。

「いい曲を作れることと、タイミングという“運”を持っている人。そして何よりも、このコラボレーションをおもしろがってくれる人と音楽を作っていきたい。たとえばクリープハイプの尾崎世界観さんは、将来なくなる言葉は嫌いで、『WiFiスポット』なんて言葉は普段なら絶対に使わないけど、今回に限っては取り入れた方がおもしろいからやりましょうと言ってくれました。いきものがかりの水野良樹さんも、『しばられるな』というテーマを逆に利用してくれました。そこを楽しむ才能が、2人ともすばらしかったですね」(澤本氏)
 こうしたCM業界からのアプローチは、アーティストにとっても今までとは違う楽曲の生み出し方につながり、音楽業界にとっても新しい風と成り得そうだ。

「CM業界でも音楽業界でも、変化を起こさずに元々の地に安住してものを作るより、違う風を入れた方が、結果的に失敗であったとしても、動いたぶんだけ前に進めるんです。それに賛同してくれるアーティストの方々と、一緒にCMと音楽を作っていきたいですね」(澤本氏)

 広告業界はCMの枠組みに縛られず、音楽業界も従来の音楽の生み出し方に縛られないことで、未来に光を見出すことができる。「しばられるな」は、1企業のテレビCMのテーマを超えて、アーティストやクリエイターが今の時代を生き抜いていくためのあらゆる面でのキーワードとなるだろう。
(文/布施雄一郎)

【足立佳奈「ウタコク」ミュージックビデオ】

<楽曲詳細>
配信限定曲
足立佳奈「ウタコク」2019年2月1日より各配信サイトにて配信開始!
▼各配信サイトはこちら
https://adachikana.lnk.to/utakoku(外部サイト)
▼今日好きコラボCM 「ウタコク」篇 
https://youtu.be/Ph0wwj7jyh0(外部サイト)
▼今日好きコラボCM「ウタコク 電車」篇
https://youtu.be/JFsZ-MoX3mI(外部サイト)
▼足立佳奈「ウタコク」−今日好き版MV−
https://www.youtube.com/watch?v=TsZuNW_GpMM(外部サイト)

提供元: コンフィデンス

オリコンニュース公式SNS

Facebook、Twitterからもオリコンニュースの最新情報を受け取ることができます!

メニューを閉じる