GLIM SPANKY、幅広く音楽ファンを魅了するワケを徹底検証

GLIM SPANKY、日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

GLIM SPANKY、日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

 CMソングやドラマ・映画の主題歌を聴いて、「この曲めちゃくちゃ好み!」「この声は誰?」と耳にしたその瞬間は刺さっても、次のやるべきことに追われて、そのままスルーしてしまうことは多い。しかし、いったん深掘りすれば、その魅力にすっかり囚われてしまう。今年5月にロックの聖地・日本武道館で初のワンマンを行い、超満員のファンを震わせたGLIM SPANKYは、そんな深みを持ったアーティストだ。4thアルバムの発売を目前に控える彼らの音楽の魅力を、ファンのコメントを交えながら、改めて検証してみたい。

本物志向の洋楽ファンを唸らせるGLIM SPANKYの音楽性

  • 日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

    日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

 ボーカル・ギターの松尾レミとギターの亀本寛貴からなる、男女2人組ユニット、GLIM SPANKYの音楽的バックグラウンドは60〜70年代のブルースロックだ。2014年のメジャーデビュー間もなくに放映されたスズキ「ワゴンRスティングレー」CMでは、ジャニス・ジョプリンの名曲「MOVE OVER」をカバー。その貫禄たっぷりなハスキーボイスを聴き、歌っているのが20代の新人グループであるとは、多くの人は思わなかったはずだ。

 それだけに初期からのファンは、「古いロックに通じる厚みと力強さを感じる」(50代男性/千葉)、「日頃は洋楽ロックを聴くことが多いが、違和感なく一緒に聴ける」(50代女性/兵庫)、「オールドタイプのロックのフィーリングを、現代によみがえらせている」(40代男性/兵庫)といった40オーバーの洋楽ファンが多い。

 一般的に40代を過ぎると仕事や家庭に追われて音楽から遠ざかる傾向にあるが、「洋楽にかぶれてライブとかもたくさん行っていた20代の頃を思い出しました」(40代女性/和歌山)、「このギターを聴いて、かつてものすごくハマっていた洋楽ロックを懐かしく思い出しました」(40代女性/愛知)、「初めて聴いた時から大ファン。CDも大人買いし夫婦でライブも行っている」と、GLIM SPAKNYをきっかけに再び音楽の素晴らしさを思い出したという声も散見された。

 またこの世代の洋楽ファン(特に男性)は、理屈で音楽を聴く向きも多い。言い換えれば“ホンモノ志向”なわけだが、そんな彼らをしてGLIM SPAKNYは「しゃがれた感じのギターやキーボードが、ボーカルのハスキーボイスとあいまって魅力的」(40代男性/神奈川)、「シンプルでストレートなロック感。ハスキーで媚びないボーカル、ソリッドなギターも立ってる!」(40代男性/埼玉)と納得させている。

ロックファンの期待を一身に背負う存在

  • 日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

    日本武道館での初のワンマンの模様 撮影:HAJIME KAMIIISAKA

 ちなみに桑田佳祐や佐野元春、亀田誠治など初期ファンとかぶる世代の大御所アーティストもGLIM SPAKNYを絶賛している。また、映画『ONE PIECE FILM GOLD』(16年)主題歌の「怒りをくれよ」での抜擢も、原作者の尾田栄一郎の「ラジオで初めてこの歌声を聴いた瞬間からホレてました」という大プッシュがあったからだ。

 もちろん、ホンモノは年代関係なく心を揺さぶる。最近はライブ参加者を見ても、ファンの年齢層はかなり下の世代まで広がっているようだ。とは言え、GLIM SPAKNYの2人もまだ20代だから「同世代ファン」と言えるのだが。

 2人はフェイバリットについて60〜70年代の洋楽バンドだけでなく、THE WHITE STRIPESやThe Black Keys、Arctic Monkeys、KASABIAN等々を挙げている。ルーツミュージックに現代的な解釈を加え、ロックの世界をアップデートさせようと試みている洋楽バンド勢だ。

 2000年代初頭に花開いたこのムーブメントに影響を受けてきたGLIM SPANKYの音楽性も、決して懐古趣味ではない。しかし確実に言えるのは、彼らがブレずにロックを奏で続けているということだ。

 近年は全世界的なヒップホップ隆盛に押されて、ロックが音楽シーンの中で存在感を失いつつある。しかしニール・ヤングが、ノエル・ギャラガーが、Arctic Monkeysが「Rock and roll can never die」と繰り返し言ってきたように、ロックンロールが息絶えることはなく、ロックファンも存在し続ける。「ロックがもてはやされないこの時代に、もっと活躍して欲しいと思うバンドです」(50代女性/大阪)という声からも、2010年代に登場した20代のGLIM SPANKYはロックファンにとって待ち望まれていた存在なのだ。

理屈抜きのカッコよさに惹かれてライブは若い女性も急増中

 そしてロックの魅力とは理屈抜きのカッコよさにある。GLIM SPANKYを好きな理由もまた、「骨太なサウンドとハスキーな歌声」(20代男性/愛媛)、「独特の雰囲気と表現力が魅力的」(30代女性/宮城)、「男性ロッカーに負けないボーカルの迫力」(30代女性/埼玉)、「ロックとブルースが入り混じったサウンドに惹かれる」(30代女性/愛知)といくら語り尽くしても、「カッコいい」の一言に帰結する。

 70年代風サイケデリックな衣装に身を包みしゃがれ声で歌う松尾レミを、「最近珍しいタイプのカッコよさ」(20代女性/東京)、「レミちゃんの媚びない堂々とした生き方が好き」(50代女性/東京)とファンになった理由に挙げる人も多い。J-POPシーンに久しぶりに登場した“女性が憧れる女性像”に惹かれてか、近年はライブでも若い女性を多く見かけるようになった。
  • 11月21日には4thフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』を発売する

    11月21日には4thフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』を発売する

 2人ともかなりの音楽マニアのようであり、音楽的に紐解けばいくらでも解釈はできるだろう。しかし「一聴しただけで引き込まれる力強さがある」(20代男性/埼玉)という声に代表されるように、理屈抜きのカッコよさに身を委ねたほうが、GLIM SPANKYの魅力は存分に味わえるはずだ。

 11月21日には4枚目のフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』をリリース。ユニットの認知を一気に拡大した映画『不能犯』の主題歌「愚か者たち」や、TVドラマ『警視庁・捜査一課長 season3』の主題歌「All Of Us」、アサヒ飲料「WILKINSON」とのコラボレーションから生まれた「ハートが冷める前に」など全10曲を収録。そこには、2人が追い求めてきた音楽の景色が広がっている。

文/児玉澄子
【調査概要】
全国のGLIM SPANKYファンにアーティストの好感や魅力を聞いた
調査対象:全国男女、10〜50代 
サンブル数:n=805
調査期間:2018年8月14日(火)〜8月24日(金)
調査手法:インターネット調査
調査期間:オリコン・モニターリサーチ

提供元: コンフィデンス

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